世の中、寂しい人が多いのか、それとも変態が多いのか?

人間って(特に男の人は)快楽を求める事に貪欲というか、本能のまま行動する生き物。突き詰めていけば、人はみんな誰でも変なところはあるし、変人と言えるかもしれないけれど、救急外来に来る本物の変態にはもう勘弁して欲しいと思います。この記事を読んで、嫌な気分になる方もいるかもしれないという事は初めに断っておきます。同じ事をしてみようと思う方もいるかもしれませんが、全て自己責任で行ってくださいね。これを読んで、何かしてどうなってもクルミさんは一切責任は負いません。



この間の夜勤での出来事です。東京は昼間から雨が降っていて凄く寒い夜でした。



23時頃に1次救急の某病院から直接転院依頼の連絡がありました。「ウチでは処置する事ができないので、そちらで診て欲しい」とのことで、救急車で転院されてきた。患者さんは30代男性。亀頭から尿道にプラスチックの棒を自分で挿入して遊んでいたらしいんだけど、何かのはずみで手を滑らせて(?)プラスチックの棒が尿道の奥に入り込んでしまい、取れなくなり困り果てて近医を受診。そこの病院の当直医は 耳鼻科の先生で、こんな患者さんを診ても取り出す処置が出来ないと困惑し、当院に搬送依頼をしてきた。



レントゲンと超音波エコーの結果で確かに膀胱内まで、6~7cmくらいの細長い異物が挿入されています。もし泌尿器科の先生がいればすぐにでも取り出してくれたのでしょうけど、今日は泌尿器の先生は当直ではありません。とりあえず救急部の先生と研修医から「ウロ外来から膀胱鏡を持って来い」との御達しが。真っ暗な病院を事務の人と一緒にウロ外来までダッシュですよ。でも、本音で言えば釈然としない気持ちがありました。なんで、へんたi 患者さんのお遊びの後始末をするために夜中の病院をダッシュしているんだろう・・・。



で、先生が膀胱鏡を使って、膀胱内にブラスチックの棒が入っている事を確認し、そのまま内視鏡下で尿道から異物の摘出を試みました。膀胱鏡を挿入する時には軽い麻酔もかけますけど、それでもちょっと痛そうでした。でも私には同情はできませんでしたね。というか患者さんに、ねぇそれも気持ち良いんじゃないの?どうなのよ?って聞いてみたい衝動に駆られました。(・・・なんか、本当にERに来て性格ゆがんできたな。・・・元々悪かったけど) 先生も専門は泌尿器ではないので、だいぶ時間はかかりましたけどちゃんとブラスチックの棒は取り出す事ができました。



今回は運良くというか、先生の手技が確かだったから膀胱鏡で除去できました。先生曰く、内視鏡操作では取り出す事ができない事も多いそうです。異物の大きさや形状によっては開腹手術をして取り出すしかないそうです。それに、男女ともに性器に異物を挿入して取り出せず病院に来るへんたi 患者さんはよくいるよ~とのこと。なんか、そういうのって都市伝説の一部かと思っていたのに、みんな凄いよ・・・何考えているんだろう。



私は異動してきて日が浅いし、経験部署も外科だけなので、こんな患者さんを看たのは2人目ですが、先生や他のナースは色々見てきたようです。鉛筆やら綿棒やら割り箸で自作した棒だとか・・・。膀胱損傷まで引き起こしていて緊急オペになったケースもあったそうです。最近、そういう行為って流行っているの?私が知らないだけ?それってやっぱり流行に乗り遅れてるの?



だいたい、膀胱内は本来無菌状態です。そこに、素人が異物を入れるという行為はとてもリスクを伴うという事だと考えないのでしょうか?膀胱に異物を入れる事は細菌感染や粘膜の損傷、排尿時疼痛、血尿、膀胱炎の原因となりますからね。病院では導尿や尿管カテーテル挿入はよく行う処置ですが、必ず清潔操作で行う医療行為なんです。快楽を得るという遊び半分で、異物を入れることは絶対に止めましょう。取り出せなくなって、開腹手術までするなんて事になったら末代までの恥だと思います。病名「膀胱内異物」 術式「膀胱内異物摘出術」とか診断書に書かれたらイヤでしょ?でも病院に行くのが恥ずかしいからといって、挿入した物をそのまま放置したりしたらもっと大変な事になりますよ。



先生曰く、不潔な状態で膀胱内に異物を挿入した場合には、細菌などの病原体がつきやすいため、慢性膀胱炎の原因になるし、もしそれを放置したりすると膀胱異物が核となり膀胱結石ができることもある、異物によっては膀胱を貫き、腸管やその周囲の臓器を損傷させる事もあるので、取れなくなったら即病院に来るべきだと話していました。・・・先生はたくさんのケースを見てきたんだな~、私も勉強になったよ。



今回の夜勤はサカモトさんも一緒だったんですけど、少しだけサカモトさんが好きになったというか、本物の女王様なのかもしれないから、理不尽な事をされても我慢しなくちゃいけないのかもしれないなぁ~と思いました。
患者さんが搬送されて来て、すぐに先生が対応できなかったので、サカモトさんが問診して色々訊いたのですが、彼女は患者さんにこう質問していました。
「これは事故なんですか?故意なんですか?」
彼は
「はい・・・故意です・・・」と答えさせられてました。可哀想すぎて顔を見られませんでした。

さすがサカモトさん、患者さんに対しても精神的なダメージを与えるのが得意・・・。

どう考えても膀胱までプラスチックの棒が入るのは故意。それ以外考えられないでしょう。

患者さんもイタイ人間だけど、サカモトさんはもっとイタイ人間です。

こんなの書いている私の方が一番イタイのかもしれないけど。



次回は気が向いたら、異物挿入男 肛門編をお送りします。外科で新人の時に看た患者さん。