人物は仮名、実在する人物かも想像にお任せします。私の妄想かも…それならまだ救いがあるのに。。。


職場に経験年数20年目近い、大ベテランの先輩がいる。サカモトさんといい、新人の時から救命救急一筋。某大学病院の救命救急でも働いていて、何年か前に救急の専門看護師の資格も取ろうとした事があるらしい。仕事は常に冷静沈着、迅速かつ的確、ドクターからも頼りにされているのは周知の事実。そして、センター内の氷の女王。絶対に笑わず、微笑みすらもらさない感情を極限までコントロールできる自制心の人。自分の認めた一部の下僕ナースとしか口をきかない。口を開く時は割りと高圧的な口調。など、いろいろ曰くのある人物。


ほんの数日前、とある疾患の患者さんが搬送され、そのドクター介助に私がついていた。この処置は外科でも何度かしていたし、そのときの外科の先生から口頭で細かく指示を出してもらい、完璧に覚えたものだったので不安も無くむしろ自信はあった。特に問題なく処置も進んでいたのに、いきなり後ろからサカモトさんに肩をつかまれて、押しのけられた。その弾みでよろけて転びそうになる私。一瞬何が起こったのか分からずに、その場で立ち尽くしてしまった。ドクターは介助がサカモトさんに代わったのをチラッと見て確認したけど何も言わない。


周りにいたナースは、関わりたくないと思っているようで、私の方を見ようともせずあからさまに避けられた。その処置には師長も加わっていたのに、一言もなし。もちろん緊急の処置中だから私に何か言う人も、そんな余裕がある人もいないのは分かる。ドクター介助につかなくてもやらなくてはいけない事は沢山あるので、他の処置をしていた。でも頭の中では何がいけなかったのか?介助していてミスがあったのか?手順が間違っていたのか?いやいや、そしたらその場でドクターに怒られるはずし。


上手く行っていた処置の介助の途中で、サカモトナースから無言で処置から追い出されて、もう頭の中は軽いパニック。自信を持って行える処置だったけど、今まで全て間違った手順や留意点でもって介助していたのか・・・?手の空いた時に院内の処置マニュアルで確認したけど、何も間違っていない。もうこれは、サカモトさんに直接私に何が悪かったのか指摘してもらい、指導してもらわないと自分では納得できなし分からない。そう思って、処置や検査が全て済んで処置の片づけをしていたサカモトさんに話しかけたのだけど。


私「サカモトさん、私さっきの処置で何かミスや手順を間違えたりしたんでしょうか?

  マニュアルを確認してドクターにも聞いたのですが、何がいけなかったのか分からないんです」

サカモト「・・・・・・・・・・」


回診車やカートの後片付けを黙々とこなしている。周囲のナースたちは仕事をしながらも、全員が聞き耳を立てているのがもう手に取るようにわかる。そんなに耳をダンボにしなくても、聞きたければ最前列に来てもいいんだよ~。今だから思えるんだけど、もしかしたらナースのみんなはきっとこれからサカモトさんが、どういう行動に出るのか分かっていたのかもしれない。


私「忙しいところ、本当に申し訳ありません。出来ていなかった部分とか間違っていた所を

  指摘して指導してもらえたら、今後は皆さんに迷惑をかけることもないと思うので教えてください。

  お願いします。」

サカモト「・・・・・・・・・・」


ひたすら沈黙を守り、私が側で話しかけているのも、側にいる事も気が付いていないかのような素振りで、手早く摂氏やクーパー、コッヘルなど膿盆に分け、血液付着物を破棄したりしている。私の言葉聞こえていないのか?それともこの人は無言の行でもしているのか?

私「外科でもさっきと・・・」同じ処置はした事がある。と言おうとしたのだけど、サカモトさんは最後までは言わせてくれませんでした。




ガッシャーーン!!!







サカモトさんは手にしていた膿盆やセッシを床に落として、そのまま足早に処置室から出て行きました。私の足元には器具が散乱し、膿盆から落ちた血液付着のガーゼまで、飛び散っていた。あまりの事に、私はその場から動く事もできず、あちこちに散らばったセッシやクーパーをしばらく眺めてしまった。


サカモトさんは間違って物品を落としたのではなく、彼女は私に話しかけられるのが我慢ならなかった。話しをする気も無かったし、話しかけてくるバカなナースの口を封じるために、ワザと盛大に物品を落とす。こうすれば、私に話す事なんかない・話しかけられるのもウザイし迷惑だという事を、口を開かずに相手に知らしめて、その上で見えないところに傷を付ける事もできるんだもの。大した策士だ。


きっと、「誰に対してモノを言っているの?誰がこのワタクシに発言してもいいなんて許したのかしら?この卑しい下等なよそ者が!ホホホッ」って思っているサカモトさんの心の声が聞こえてくるようだった。


スタッフの目の前でこんな扱いを受けても、私は所詮新参者だ。我慢するしかない、我慢だ。そう思いながら床に散らばったセッシやクーパーを片付けるためにしゃがみ込んだら、泣きそうになった。でも泣いたりしたら傲慢陰険氷の女王の思う壺だ。唇を噛み締めて、精一杯泣かないように瞬きを繰り返して最後まで片付けをした。途中から新人のモチヅキさんが手伝ってくれて、すぐに片付けは終わらせることが出来た。


こんな状況で泣くのを堪えるのって本当に辛いね。特に優しい新人に「クルミさん、大丈夫ですか?ああいう人だから良くあるんですから。クルミさんのせいじゃないと思います」 もうね、このあとトイレに直行して号泣してしまった。仕事中なんだから、早く泣き止め自分!!って思ってもなかなか涙が止まらなくて困った。今までこんな理不尽な仕打ちを受けた事がないから、ショックは大きかったよ。外科で新人だった頃もこんな事はされたことない。

モチヅキさんから聞いたのだけど、サカモトさんがご立腹になった原因は、私が処置の介助を間違えたからとかではなく、勝手にサカモトさんのお気に入りのドクターの介助に私がついたから。もう、、、情けなく笑止千万もいいところだ。自分の思い通りにならないと、悪感情丸出しになり普通の人には理解できない行動も平気でとる。これが堅氷の女王の特権、権限として認められているんだろう。女王サカモトは職場のイニシアチブを取り、ヘゲモニーを握っていて、それを少しでも脅かす敵がきたら徹底的に叩きのめすのがお気に入りのようだ。


そういうことは、9月の研修に来た時点で教えてもらいたかったものだね。それにしても、ERの師長、今回の全てを近くで聞いていたくせに、私に対して何一つ手助けも助言もなかった。結局、ここの師長はただのお飾りなんだね。影の支配者の一人はサカモトさん。異動してきて、他にも細かい嫌がらせは山のようにあった。こういった事が今後も続いていくだろう事は簡単に予測できるのだけど、これでも頑張るべきだという人います?ま、私には無理だからね(‐^▽^‐)