前回の続きです

前回記事↓

 

 

前回に引き続き、建設業界がブラックと言われる理由を施工管理経験者の視点から深掘りしていきます。

今回取り上げるテーマは以下の3つです。

 

  • 早出必須なのに「早出残業」の概念がない
  • 感情的な人が多く、パワハラ・口論・暴力行為に及ぶ人がいる
  • 現場で泥棒が出現する

 


 

① 早出必須なのに「早出残業」の概念がない

始業前にこなすべき業務が山積み

工事現場の始業時間が8:00であることは前回お伝えしました。

しかし施工管理者が8:00ちょうどに出勤して、そのまま現場をスタートさせることはほぼ不可能です。

始業前には以下のような業務をこなす必要があります。

 

  • 作業着への着替え
  • 現場の開錠
  • ブレーカー操作による電源の確保
  • 朝礼会場の整備・設営
  • 職人へ渡す図面・書類・資料の準備と配布
  • その他の雑務

 

現場に関わる全員が当たり前のように早出しているにもかかわらず、勤怠表の始業時刻は8:00で固定されており、早出残業をつけるという概念自体が存在しませんでした。

「それが当たり前」という洗脳

他の業界でも、始業準備は業務時間外に行うものだと考えている昭和的な価値観を持つ方はいます。

しかし建設業界では、それが長年の慣習として定着しており、当事者でさえ疑問を持たないまま受け入れてしまっているのが現実です。

私自身、1年目の頃にパワハラ気味の先輩から「下っ端は誰よりも早く現場に来て、開錠・掃除・始業の段取りをやれ」と言われていました。

しかしそのとき、早出残業を勤怠につけるよう指導された記憶は一切ありません。

知らないうちに「早出は無給で当然」という価値観に洗脳されていたのです。

 


 

② 感情的な人が多く、パワハラ・口論・暴力行為に及ぶ人がいる

なぜ気が短い人が多いのか

建設業界では、ストレスを抱えた感情的な人が多いのが実態です。

これは個人の性格の問題というより、業界の構造的な環境が人をそうさせていると私は考えています。

主な要因として以下が挙げられます。

 

  • 朝早く・夜遅く・週6勤務の肉体的疲労が慢性化している
  • パワハラ・暴力が横行していた先輩世代に育てられ、それが「普通」として継承されている
  • 些細なことでも怒鳴られるシチュエーションが日常的に発生する
  • 死亡事故につながる責任の重い仕事を日々こなしており、上下からの圧力が強い
  • 道徳観が希薄な人と同じ現場で働かざるを得ず、言葉遣いや感覚が徐々に荒れていく

 

要するに、業界全体のストレスが人間関係や言動にそのまま表れているのです。

「昔は殴られるのが当たり前だった」という文化

パワハラを行う先輩方の口癖として「昔は朝礼で見せしめにボコボコにされるのが普通だった」という言葉をよく耳にしました。

暴力やパワハラを受けて育った世代が、それを「指導」として再現しているわけです。

ただし物理的な暴力はあまり見かけませんでした…

私自身もうんざりするほどパワハラを受け続けましたが、ある時点から何も感じなくなり、精神的には無敵に近い状態で仕事をしていました。

今思えば、それ自体が異常な適応だったと思います。

昇進・昇給に関わる人物には愛想よく振る舞い、そうでない相手には攻撃的になる——そういった人間性の歪みを持つ人が多く、そのような人物しか生き残れない環境が業界の特性とも言えるかもしれません。

 


 

③ 現場で泥棒が出現する

一般の職場ではあり得ない現実

通常の職場で窃盗事件が発生することはほとんどありません。

しかし工事現場では、警察を呼ぶレベルの窃盗事件が頻繁に起きます。

主な理由は2点です。

 

  • 高額な資材・工具が持ち出しやすい環境に置かれている
  • 道徳観が希薄な人が一定数おり、盗むことへの罪悪感が薄い

 

狙われやすい物とその理由

資材では銅・真鍮が特に標的になります。

 

  • 電気配線
  • エアコンの室内機・室外機をつなぐ銅管
  • 一部の配管材料に使用される真鍮部品

 

これらは買い取り業者に売却しやすく、換金性が高いため狙われます。

 

工具では電動工具全般が対象です。

中古買取店・闇市・ネットオークションで高額で売りさばくことが容易なため、少し目を離しただけで盗まれるという事案が日常的に発生します。

私自身の被害経験

私も実際に盗難被害に遭ったことがあります。

充電のために一晩置いておいたヘルメットライトが、ヘルメットごと盗まれたのです。

自分の名前が入っているヘルメットごと持っていくとは想定しておらず、結局見つかることはありませんでした。

犯人が捕まるケースは少ないですが、手口としては関係業者を装って車で乗りつけ、夜中に現場へ侵入して大量の資材・工具を持ち去るパターンが多かったです。

**外国の観光地の話ではなく、これが国内の現実です。

 


 

おわりに

2回にわたって建設業界がブラックと言われる理由をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回取り上げたのはあくまで主な理由の一部に過ぎず、詳細に語ればさらに多くのブラックな実態があります。

この記事が、これから建設業界への就職・転職を考えている方への参考に、またネット上の表面的な情報では伝わらなかったリアルな実態を知りたい方の一助になれば幸いです。

次回からは「施工管理をやっている人が嫌いなこと」をテーマに記事を書いていきます。

引き続きよろしくお願いします。

 

「もっと詳しく聞きたい」「この点が気になる」という方は、ぜひコメント欄に質問・要望をお寄せください。