続きです
前回記事↓
前回に引き続き、施工管理業務における具体的な苦痛をお伝えします。
今回は身体的な苦痛にとどまらず、人生の節目・人間関係・精神状態にまで及んだダメージについてお話しします。
① 知人の結婚式に出席できなかった
休みが取れないため、当然のように出席できませんでした。
お金には比較的余裕があったため、祝儀として3万〜5万円を渡すことはありました。
しかし式に参加できないまま現金だけを渡す——今思い返しても、非常に勿体ないことをしたと感じています。
② 祖父母の死に際に立ち会えなかった
遠方に住んでいたわけではなく、比較的近くに住んでいた祖父母でした。
しかし多忙な日々の中で会う機会も、話す機会も作れないまま時間が過ぎていきました。
危篤の知らせを受けて駆けつけるまでに4時間かかり、死に目には会えませんでした。
体調が悪化していることすら把握できていなかったことを、今でも後悔しています。
その後、急遽週末に通夜・葬式が行われることになりましたが、ここで仕事との間で葛藤が生まれました。
筆者としては通夜・葬式を最優先にするのは当然でしたが、当時の現場所長はこう言いました。
所長「お前がいなければ現場が回らない。現場と通夜・葬式、どちらが大事なんだ?」
筆者「通夜と葬式が優先に決まっています。この現場に配属されたせいで、死に目にすら会えなかったんですよ?」
所長「は?現場はどうするんだ?」
所長は筆者が折れるまで話を続けようとしていました。
是が非でも休む意志があった筆者は、すぐに本社の上長へ連絡を入れ状況を説明。
上長はコンプライアンス上の問題を即座に察し、所長を抑えて休ませるよう指示を出しました。
もし会社が応じなければ、休日出勤せずに通夜・葬式へ出席し、その後労働基準監督署へ報告するつもりでいました。
③ 健康診断が受けられない
時間が取れず、休みもないため、10年間の施工管理業務を通じて健康診断に行けたのはわずか3回です。
20代の時点で高血圧を指摘され再検査を求められましたが、その後受診することはありませんでした。
毎月、産業医との面談を促されていましたが、実際に行ったのは2回だけです。
産業医の面談の実態は
「大丈夫?問題ないよね?問題があったら倒れてるよね」という確認をするだけで、企業から高額な報酬を受け取っているとは到底思えない内容でした。
④ 結婚できない
プライベートの時間がないため、恋人を作ることもままなりません。
気づけば友人全員が結婚しており、気軽に飲みに行ける相手もいなくなっていました。
「異性をどうやって口説くのか」すら感覚が分からなくなります。
それでも結婚している施工管理者は一定数います。
学生時代からの交際が続いているケース、あるいは昔であれば取引先の異性と業務中の電話を通じて関係を深めていくパターンが多かったようです。
ただし現在のコンプライアンス重視の環境では、そういった手法は難しくなっています。
プライベートを持てないまま時間だけが過ぎていきます。
⑤ 遊ぶ時間がない
休日がいつ取れるか分からないため、予定を事前に組むことができません。
友人を遊びに誘おうにも、社会人になった友人にはそれぞれの予定があり、急な誘いには応じてもらえないことがほとんどです。
唯一、現場が竣工して次の配属先が決まるまでの狭間のタイミングを狙って予定を組む——それくらいしか選択肢がありませんでした。
孤独感は相当なものですが、お金だけは貯まっていきます。
⑥ 物が盗まれる
現場での窃盗は日常茶飯事です。
不用意に物を置いておけば現場内の関係者に持ち去られ、酷い場合は外部の関係者を装った窃盗グループに狙われます。
筆者が最も腹立たしかった経験は、事務所デスクの文房具が日に日に消えていくことでした。
観察していたところ、社外の人間が打ち合わせのたびに文房具を「借りるふり」をして持ち去り、一切返さないまま次回も同じことを繰り返していたのです。
筆者が目の前に座っているにもかかわらず堂々と手を伸ばしてきたことで発覚しました。
⑦ 話が通じない人・言語的に通じない人がいる
自己主張が激しく感情的な人、立場を利用してパワハラしてくる人——会話は一方通行で、まともな話し合いにならないケースが多発します。
また近年は現場での外国人作業員が増え、通訳が必要な場面が増加しています。
中国・東南アジア出身の方が多いため英語も通じないケースがほとんどで、コミュニケーションが思うように進みません。
⑧ 金銭感覚が狂う
お金を使う機会がほとんどないため、気づかないうちに口座残高が積み上がっていきます。
普段の出費といえば食事代程度で、金額を気にしなくなります。
数か月ぶりにATMで残高を確認して驚き、衝動的に数十万〜数百万円の買い物を現金一括で済ませる——借金があるわけでも、養う家族がいるわけでもないため、高額な衝動買いに対して躊躇がなくなっていきます。
この金銭感覚の歪みは、業界を離れた後にじわじわと問題として表れてきます。
⑨ ストレスMAXで感情的になる
仕事中も、プライベートでも、常にイライラした状態が続きます。
些細な一言に激情して怒鳴り散らすこともあります。
一日100件近くかかってくる電話に耐えかね、仕事用のスマートフォンを真っ二つに叩き割ったこともありました。
後悔は、しませんでした。
⑩ この世の全てが憎くなる
休みなく朝早く夜遅く働き続けているのに、外を見れば気楽そうに過ごしている人たちばかり。
疲れ果てているのに電車では座れない。
終業後に店が開いていないから日用品の買い物すらできない。
周囲の人間が充実した生活を送っている中で、自分は一体何をしているのか。
年中、臭い・汚い・きつい「3K」現場に缶詰にされ、上長の駒として使い回される。
月100時間を超える残業をしても、拘束時間を時給換算すればアルバイト以下ではないかと感じる瞬間がありました。
残業が200時間を超えた月には、残業代が全額支給されないこともありました。
完成した建物を竣工で引き渡しても、施主から感謝されることはなく、労いの席には会社の上層部だけが呼ばれ、現場で汗を流した自分には何の見返りもない。
溜息と行き場のない怒りだけが積み重なり、それを解消する術もない——。
「全て消し炭になってしまえばいい」
そんな思いに駆られることが続きました。
おわりに
そんな建設業界を卒業した今は、人間らしい生活をある程度取り戻せています。
しかし業界での経験が残した「後遺症」は今も続いており、完全に真っ当とは言えない部分が残っているのが正直なところです。
これまで2回にわたって、施工管理業務における具体的な苦痛をお伝えしてきました。
過激な表現も含まれていますが、これが現場で生きた人間の偽りのないリアルです。
これから建設業界への就職・転職を検討している方に、ひとつの現実として届けば幸いです。
「もっと詳しく聞きたい」「この点が気になる」という方は、ぜひコメント欄に質問・要望をお寄せください。
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