最近注目されている「子どもの香害」問題は、
柔軟剤や制汗剤などの香料を含む製品によって、
子どもたちが体調不良を訴えるケースが増えていることを指します。
以下にその概略をまとめてみます。
🧒 子どもの香害とは?
「香害」とは、人工的な香りによって不快感や健康被害を受ける現象のこと。
特に子どもは感受性が高く、
香料に含まれる化学物質に過敏に反応する傾向があります。
📊 全国調査の結果(2025年)
- 全国約1万人の調査で、8.3%の子どもが香害による体調不良を経験。
- 小中学生に限ると、10.1%が香害被害あり
- 主な症状
頭痛、腹痛、吐き気、鼻水、目のかゆみ、集中力低下など。
- 香害を体験する場所
教室(4.4%)、交通機関(3.2%)、店舗(2.1%)、自宅・隣家(1.8%)。
- 香害が原因で登校を嫌がるケースも報告されており、
不登校につながる可能性も指摘されています。
🏫 教育現場での課題
- クラスメートの服や髪、給食白衣などの香りが原因で不快感を訴える子どもが増加。
- 教室から外に出ると症状が軽くなるという報告もあり、学校環境の改善が求められています。
🏫 学校での香害症例
- 給食用エプロンの香りで体調不良
各家庭で洗濯された共用の給食当番エプロンに残る柔軟剤の香りが原因で、
頭痛や吐き気を訴える児童が複数報告されています。
- 授業参観で保護者の香水に反応
入学式や授業参観などで来校した保護者の香水の香りにより、
気分が悪くなったり、教室から退室を余儀なくされた子どももいます。
- トイレの芳香剤や制汗剤に反応
校内のトイレに設置された芳香剤や、他の児童が使用する制汗剤の香りで、
鼻水や目のかゆみ、集中力の低下などの症状が出るケースもあります。
- 消毒用アルコールによる反応
コロナ禍以降、消毒用アルコールの使用が増えたことで、
それに反応して体調不良を訴える児童も報告されています。
📊 調査結果から見える傾向
- 小学5年生の約1割、中学2年生の約2割が「香料などの香り」で体調不良を感じた経験あり。
- 香害による症状は、頭痛、吐き気、腹痛、関節痛、呼吸困難、集中力低下など多岐にわたります。
- 症状が重く、教室で学習できずオンライン授業や個別教室での対応が必要になるケースもあります。
👩🏫 教育現場の対応
- 柔軟剤や香水の使用を控えるよう保護者に呼びかけ。
- 換気の良い窓側の席に固定するなどの配慮。
- 症状が重い児童には個別対応やオンライン授業の導入。
香害はまだ医学的に完全に解明されていない部分もありますが、
実際に苦しんでいる子どもがいることを認識し、
周囲の理解と配慮が求められています。
🏛️ 行政・政策レベルの動き
- 文部科学省による参考資料の作成(2012年)
「学校における化学物質による健康障害に関する参考資料」を発行し、
香害への対応を整理。
- 香害をなくす議員の会による要望書提出(2025年)
文科省に対し、全国調査・啓発活動・予防策の強化を求める
要望が提出されました。
- フレグランスフリー環境の推進
学校を「香りのない空間」に整えることを目指し、
ガイドライン策定や製品使用制限の検討が進行中。
💡 今後の課題と展望
- 医学的なエビデンスがまだ少ないため、強制的な規制が難しい。
- 香りを使う側の自由とのバランスをどう取るかが課題。
- 教育委員会・学校・保護者・企業が協力して、子どもが安心して学べる環境づくりが求められています。