江國香織『東京タワー』(新潮文庫)を読みました。


まず個人的な話をしますが、田舎出身のわたしにとって「東京タワー」という存在はなかなか思い出深いものがあります。


真っ赤な東京タワーを見るたびに「東京にきたんだなぁ」という気持ちになりましたし、今の夫氏とのデートでもよく行きましたし、階段で上までのぼったこともあります(めちゃくちゃ辛かった…笑)。


そんな思い出深い東京タワーが題された江國香織さんの作品。
なんとなく甘酸っぱい感じを想像していたのですが、予想は全然違いました。笑
(江國香織さんで甘酸っぱい感じってあんまりないですもんね)


この物語の中心人物はふたりの男子大学生・透と耕二。
おとなしめな透に対して社交的な耕二は高校時代の親友で、大学生になった今でも連絡を取り合い食事をする付き合いが続いています。


彼らの共通点は、ふたりとも年上の女性に夢中になっていること。
透は母親の知人でセレクトショップを経営している詩史(しふみ)に恋い焦がれ、詩史さんからの電話を待つ以外、何も手につかない日々を過ごします。


かたや耕二は本命の彼女がいながら専業主婦の喜美子とも関係を持っていました。
喜美子とは身体だけ、と思いながらも気がつけば喜美子の身体に夢中になっている自分に気づき、耕二は抑えられない欲望に戸惑います。


詩史も喜美子も既婚者として「別の世界」を持っていて、その世界とうまくやりながら彼らと関係を続けます。


透は詩史さん以外のものには目もくれず、耕二は要領よくやれているようでそうでもなく、結局ふたりとも年上の女性の魅力から逃れられずに悶々とする・・という様子が描かれているのです。


この物語を読むと、恋愛って暴力的になるときがあるよな・・としみじみ思いました。


たとえ「正しい関係性」でなかったとしても、魅力的な女性にどうしようもなく夢中になってしまう透と耕二の切なさと痛ましさはよくわかり、理性をなくさせてしまう恋愛の暴力的な力に圧倒されました。


恋に溺れる青年ふたりの無力さとはかなさは、東京タワーほどの高さから俯瞰して描かれています。
けっしてふたりの都合の良い展開にはならず、彼らには時間がなく、現実が容赦なく迫っていることも描かれます。


彼らは先行きの見えない将来がわかっているからこそ、今この瞬間を思いっきり味わわせて欲しい・・と願うように溺れているのかもしれない、と感じました。


今この瞬間を思いっきり堪能する、ということがどれほど尊いことか。


大人になればなるほど難しくなる「今を堪能すること」の尊さが身に染み、彼らの行いが少しまぶしく感じました。


恋愛は今を夢中にさせるという、素晴らしくあり恐ろしくもある力を持っているんだ・・ということを思い出させてくれました。


今の夫氏と結婚して2年。
スーパー仲良しですがここまでの感情の昂ぶりはなく。
恋愛ってこういうものだったなぁ、と新鮮な気持ちで読み終えた一冊でした。


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