人生最後に食べたいおやつはなんですか?
と聞かれたら、なんて答えるだろう。



小川糸『ライオンのおやつ』を読みながら悩んでしまいました。


振りかえると「思い出のあるおやつ」ってそんなになくて、
セブンイレブンのバナナチップスチョコにずっとハマってるな、とか
小さい頃はエンゼルパイが大好きだったんだけどあれのせいでめちゃくちゃ太ったんだよな……とか
そんなしょうもないことばかり思い出してしまうのです。
(バナナチップスチョコは本当におすすめ)


小川糸『ライオンのおやつ』は、瀬戸内の「レモン島」と呼ばれる島にあるホスピス「ライオンの家」に暮らすゲストとその周りの人々を描いた物語です。


ゲストは 穏やかなレモン島の気候のなかで 「ライオンの家」のスタッフのあたたかなおもてなしを受け、安らかな最期を迎えます。


この物語の主人公・海野雫もその一人。
雫は余命数か月と宣告され、失意のどん底になりながらも最期は穏やかに過ごしたいと思い「ライオンの家」にたどり着きます。


レモン島にたどり着いた雫を待っていたのは空気・人・自然のあたたかさでした。


メイド服を着たスタッフ・マドンナがあたたかく雫を迎え、「ライオンの家」では食事係の姉妹・シマさんと舞さんが丹精込めて作るお粥の美味しさに心を癒される日々を送ります。


「ライオンの家」には雫と同じ境遇のゲストが何人かいて、ゲストたちと交流しながら雫は新たな出会いに新鮮な思いを抱きます。


そして「ライオンの家」の外では葡萄畑を管理する青年・タヒチ君と出会い、雫は淡い恋心を抱きながら穏やかな日々を過ごすのです…。


そうした日々を過ごしながらも、雫は自分の人生の終わりを日々噛みしめます。


時には「生きたい!」という自分の感情をあらわにし、現実に嘆き悲しみながらも「ライオンの家」で出会った人々から雫は生きるエネルギーをもらい、 自分の人生を全うしようと固く心に誓い、最期を受け入れる覚悟をととのえるのです。


「ライオンの家」にはそうした心穏やかな環境が整っているだけでなく、週に一度の素敵な「おもてなし」の場があります。


それは、毎週日曜日にゲストから寄せられたアンケートにより、「人生最後に食べたいおやつ」を再現してみんなでいただくというものです。


台湾スイーツの豆花、西洋菓子のカヌレ、大福、アップルパイなどなど…
そこで出てくるおやつが本当においしそうで。


「人生最後」ということで希望したゲストの思い入れもあり、ゲストそれぞれがおやつを噛みしめていただく姿が強く印象に残りました。


小川糸『ライオンのおやつ』を読み終わってもなお「人生最後に食べたいおやつ」が 思い浮かばず、自分は「おやつ」の本領(?)を発揮させないままお菓子をむさぼっていたのだなぁ、と思い、反省しました。


「おやつは、体には必要のないものかもしれませんが、おやつがあることで、人生が豊かになるのは事実です。おやつは、心の栄養、人生へのご褒美だと思っています。」(248頁)


『ライオンのおやつ』では、おやつを「心の栄養」「人生へのご褒美」といい、とても大切に扱っています。
自分の人生を振り返りながら、自分の・もしくは誰かの思い出のおやつをゆっくり味わう……きっとそのおやつはおやつの味そのものだけじゃなく、生命力も込められているのだと感じます。


こうした心の栄養・人生のご褒美をどれだけ味わえるか。
それが人生の醍醐味のひとつなのではないかと『ライオンのおやつ』を読みながら感じました。


自分のとっておきのおやつが思い浮かばないのであれば、これから見つけてゆくしかない。
いまの自分にはいろんな課題や宿題(自分のなかでこれはやらなきゃ!と思っていること)がたくさんあるのですが、
そのうちのひとつに「人生最後に食べたいおやつ」探しを付け加えたいと思います。
なんかちょっとほっこりする。
わくわくもします。


ここ最近はコロナ問題で騒がしいですが、すこしでも心穏やかにすごせるよう、とっておきのおやつを探してみるのもアリなのではないでしょうか。


また更新します。


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