今日は2ヵ月ぶりのビジネス読書会でした(↑読書ノートとってますよアピール笑)。


今回の課題図書は斎藤孝浩『アパレル・サバイバル』。
第2回に読んだ『誰がアパレルを殺すのか』に近い一冊で、アパレル業界のこれまでの変遷と、10年後の未来予測を示唆した一冊になっています。

本書を読んで強く思ったのは、「モノを売る」時代から変わりつつある! ということ。
(『誰がアパレルを殺すのか』でも言及していますが)

アパレル業界では、
高級ブランドが率先してトレンドを作る→トレンドに合った服を作る→売る→売りさばく(セール)

という感じのループが定着していましたが、現代ではファストファッションの登場によってトレンド消費の速さや在庫リスクの問題が浮上し、さらにオンラインショッピングが浸透したことで消費者は「早く・賢く(安く)」洋服を求めるようになり、店舗とどう使い分けていくか?という課題も浮き彫りになりました。

つまり、アパレル企業は、これまでのような「トレンドを作って売る!」という方法が通用しなくなっている現実を突きつけられているのです。

その課題にいち早く気づいた企業は、オンラインで予約し、店舗で試着・購入ができるサービスや、オンラインで購入したものを自宅近くの店舗でピックアップできるサービスなどを導入してオンラインと店舗の両方を活用したり、在庫リスクを減らす工夫をしたりといった努力を続けています。

これらのことに加え、アパレル企業の課題にいち早く気づいた企業が注力したのが「消費者の“悩み”」を予測し、ファッションにおけるストレスを解消しようとするサービスの提案でした。

一例としては、さいきん前澤社長の退任が話題になったZOZO。

コーディネートを検索できるSNSサイト「WEAR」では、ZOZOTOWNで買った服とコーディネートを紐付けすることで「洋服を買ったその先の“コーディネート提案”」を実現させ、かつSNS形式にすることで多数のコーディネート事例が集まるような仕組みを作りました。

ZOZOはその後も「ZOZOスーツ」でサイズのパーソナリティ問題を解消しようとしたり、「おまかせ定期便」でコーディネートの手間やストレスを解消しようとしたり、「ZOZOUSED」で二次流通の門戸を開いたりと、あらゆる挑戦をしていて、新時代のアパレル企業の先頭を走っている印象を強く感じます。

こうしてみると、ZOZOがやっていることはただのファッション通販サイトではなく、その先の「消費者の“悩み”」にフォーカスした事業を作り続けている、ということがよくわかります。
ほんと、賢いなぁ〜。笑

本書の著者は、この先、ZOZOのように「消費者の“悩み”」をいかに解決できるか?という視点を持って事業展開していくことが課題でもあり、生き残りの不可欠な要素なのだろうと言います。

これはアパレルに限った話じゃないでしょう。
モノや情報ができるだけ手軽に安く買えるようになった時代、どうしたって安く提供できるところにお客様は流れていってしまいます。

「消費者がその先に何を得たいか?」「モノをもつことでどんな悩みを解決したいのか?」を分析し、フォーカスしていくことが大事だ! というのはほんとにそうだなぁ、と大きくうなずくばかりでした。

ちかごろ、本当に便利なサービスがどんどん出てきています。
ファッション関係に絞って言えば、ファッションレンタルサービス(Rentable Runway)や、「おせっかいサービス」が話題のクリーニング店リナビス、ZOZOの「おまかせ定期便」や自分のクローゼットの可視化+コーデ提案をするアプリ(XZ)などがあります。

これらのサービスは
「手軽にいろんなファッションを楽しみたい!」
「お気に入りの洋服を長く使いたい!」
「コーデに悩む時間と手間が惜しい!」
といった悩みにフォーカスした事業です。

「悩みの解決」って、裏返すと「自分らしい生き方の追求」でもあると思います。
ということは、さいきんのアパレル企業はおしゃれな服をただ売るのではなく、その先にある「自分らしい生き方」を売っていることになるのかもしれません。

だから、ZOZOスーツやXZといった「パーソナライズ」を追求する事業が伸びていったのではないかと思います。

パーソナライズを追求できたほうが、売れない色を作りすぎて在庫が残ってしまった…!なんていうリスクも減りそうですしね。
地球にも優しく、消費者の悩みも解決する企業が今後生き残っていくのだろう、と改めて感じた一冊でした。

読書会メンバーの友人がファッション関係の事業を立ち上げているため、読書会では実務的な話にも及び、とても実のあるひとときになりました。

いや〜しかし、アマゾンやZOZOは賢いなぁと改めて感服します。

自分にできることで「消費者の悩み」を解消できるサービスってなんだろう?
という、大事な課題がひとつ見えた一日になりました。


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