たびたび読みたくなる岩波少年文庫。
今日はルイザ・メイ・オルコットの『若草物語』を読みました。

読み終わった瞬間に
「ああああもっと早く読んでおけば良かったああぁ(´;ω;`)」という後悔の念が爆発しました。笑

『若草物語』は牧師の父と賢く愛情深い母のもとで育った四姉妹の成長物語。

中心人物は16歳のメグ(マーガレット)、15歳のジョー(ジョセフィーン)、13歳のベス(エリザベス)、12歳のエイミーの四姉妹で、彼女たちは貧しい生活ながらも慎ましく楽しく過ごそうとする物語です。

この物語の面白いところは、四姉妹の性格がバラバラでそれぞれのストーリーが楽しめることと、どんなに苦しい環境に置かれても腐らずに健やかに生き抜く少女たちのサバイバル物語(大げさ?笑)として読めることです。

大人が読んでもハッとさせられるところが多く、もはや自己啓発本だとすら思いました。笑

そんな四姉妹のキャラクターですが、
長女のメグは美しくておしとやかだけれど、少しひ弱で愚痴っぽくなってしまう性格。

次女のジョーはわんぱくで正義感が強く、男勝りなぶんちょっとがさつな性格。

三女のベスは謙虚でおとなしく、恥ずかしがり屋な性格。

四女のエイミーは天真爛漫でおしゃれが好きだけれど、ちょっとおませでわがままな性格と、てんでバラバラです。

彼女たちは協力したりケンカをしたりしてそれぞれの長所と短所に気づき、長所を伸ばしたり短所を直そうとしたりします。

彼女たちの成長に欠かせないのが、両親のマーチ牧師とマーチ夫人。

マーチ牧師は戦争のために家族のもとを離れており、マーチ夫人と家政婦のハンナで四姉妹を育てていくのですが、父親がいないことと暮らしぶりが貧しいことで四姉妹はけっこう苦労します。

メグとジョーは働きに出て、ベスとエイミーは家の仕事を手伝います。労働の苦しさと自由な時間が減ったことに不満がつのり、父がいないこともあって家の空気は重くなります。

このままではいけないと思ったマーチ夫人は、彼女たちのクリスマスプレゼントに4冊の聖書を贈り、毎日読んで自分を律するように促します。

母が大好きな四姉妹はそれぞれ母の言いつけを守り、それぞれの「重荷」を背負い、立派に生きようと努めるのです……。

彼女たちはその後さまざまな試練や失敗を経験しますが、けなげに母の言いつけ通りに立派な人間であろうとします。

欲を言えばキリがないけれど、彼女たちはあるものだけで心を満たそうと工夫して暮らしていて、その姿に胸打たれます。

とは言え、たまにサボったりケンカをしたりして失敗することがあるのですが、そこで登場するマーチ夫人のお説教が読むたびにハッとさせられます。

「じゃあ、もう一度、自分たちの小さな重荷を担いでごらんなさい。時には重たく感じることがあるかもしれないわ。でも自分たちのためになることなんだし、慣れれば軽くなってくるものよ。働くのはからだにいいことだし、やるべきことはだれにでもたくさんあるわ。働いていれば退屈なんかしないし、まちがいを犯すこともない。からだのためや心のためになるばかりでなく、お金や流行などでは手に入れられない信念や自立心を養うことができるのよ」(下巻 32頁)

働かずにぐーたらしてたらダメ人間になっちゃうよなぁ……くらいは考えていましたが、働くことの良さをここまでわかりやすく考えたことはなく、けっこうな大人であるにもかかわらず「ハッ! そうか……!!」と胸にがっつり突き刺さりました。

四姉妹もそれぞれハッとして、気を引き締めて自分の与えられた仕事を全うしようとします。

そうして彼女たちは「重荷」を背負った生活を続けていきますが、一年後のクリスマスには彼女たちに思わぬ素敵なプレゼントが贈られてハッピーエンドを迎えます。

愚痴を堂々めぐりさせても仕方がないこと。
イライラはすぐに人に伝染してしまうこと。
感謝の気持ちを忘れないこと。
何事も当たり前だと思わないこと。

『若草物語』は、毎日忙しく働いているとつい忘れがちになる大事なことをたびたび思い出させてくれます。
どれも、言うのはこんなに簡単なのにやるのはなんて難しいだろうと失敗するたびに思います。

特に「当たり前」がくせもので、すぐに忘れてしまう。
絶対忘れない!!と思ってもきっと無理で、できるだけ思い出す、くらいのレベルで頑張って生きていきたいと思わされます。

四姉妹の性格はバラバラだけれど、どの子にも感情移入し、自分ごとのように読み進めることができました。

メグの愚痴っぽさや、ジョーの負けず嫌いなところ、ベスの恥ずかしがり屋なところやエイミーのわがままなところはわたしにも心当たりがあり、わたし全然「重荷」背負えてないなぁとがっくりさせられます。

きっとわたしのように感情移入する人が多いから、今まで読み続けられてきたのでしょう。

19世紀後半のアメリカ文学には感じられない、現代にも読み継がれるべき名著でした。

……ああぁもっと早く読んでいれば良かった!!!!!