少し前から報じられた、カラテカ入江に端を発した闇営業騒動ですが、
当初は入江の解雇だけでなんとかなるかと思われたものの
ギャラを受け取っていたことが発覚し、参加した13人の芸人が謹慎処分となりました。



ま、ぼくは「そもそもギャラを1円ももらってないんだとすればそのほうがおかしいだろ」
と思ってましたので、「ほらやっぱり」としか思いませんでした。
入江からの話で、大先輩たちがノーギャラで営業するというほうが不自然ですからね
(そこまで義理があったり弱みを握られてない限り、ビジネスはビジネスでないと)

松ちゃんも言ってましたが、確実にギャラはもらってるだろうと思ってましたので、
あれだけかたくなにもらってないと言い張ってたのは
「それを認めるとマズいことになるんだろうな」ということは察しがつきました。

案の定、ということになりましたが……。



さて、これを受けて世間では
「お金はもらってないって嘘ついてたとか最悪」
「ギャラを受け取ったのなら同罪でしょ」

みたいな芸人たちへの批判をよく聞きます。

まぁね、そう言いたくなる気持ちもわかりますけど。

でも、仲介してた入江はクロだと思いますが(しっかり反社と認識してたなんて話もありますし)、
それ以外の人たちはふつうの営業だと思って受けただけかもしれないですからね。
それが「じつは反社だった。おまえらも同罪だ!」
とかいう話になったんだとしたら、ぼくは彼らも被害者ではないかと思ってしまいます。

いちいち詳細な素性まで調べないでしょうからね。
話を持ってきた入江に確認はするでしょうけど、入江が大丈夫だと言えばそれ以上は調べないでしょうし
(このあたりは、未成年者に飲酒させたことが問題になった話と通じるものがありますね)


……話を総合すると、事務所を通さない営業(現場では「直営業」と呼ぶようです)なんてものは
わりとずいぶん昔から横行してたような雰囲気ですし、入江から話があって吉本を通さない
ギャラが発生したとしてもなんの疑問も感じないんじゃないかと思いますからね。

「ギャラは受け取ってない」と言ってた頃の話ですが、ジュニアの話が核心をついてる気がします。

千原ジュニア“闇営業”のシステムを解説
「仕事なくなるくらいなら直で」

6/11(火) 10:27配信


 お笑いタレントの千原ジュニア(45)が11日、TBS系「ビビット」に出演し、芸人の“闇営業”の実業を明かした。

 反社会勢力の忘年会に所属事務所を通さずに芸人を出席させる「闇営業」をしたとして、お笑いコンビ「カラテカ」の入江慎也(42)が吉本興業との契約を解除された。ジュニアは「記事が出る前日くらいに入江から電話があった」と告白。「久しぶりの後輩からの電話って、だいたい結婚の報告なんですよ。山ちゃん(山里亮太)のこともあったし、『おお結婚か』と言ったら、鼻をすすっているんです」とやりとりを明かした。記事が出ることを聞かされたジュニアは「そういう記事がでることも、そういうことになるかもしれんぞという噂も一切なかった。寝耳に水だった」という。



 バイクの事故後、世話をしてくれた入江について「事件のことは別にして、僕個人との関係からすると、誰にでもやさしいいいやつです」と話した。今回の騒動について2つのショックを受けた。「会社を通さず営業したことと、反社会勢力とつながっていたこと、こっちは完全にアウト。だから解雇です」と突き放した。

 ジュニアは「僕らは闇営業という言葉になじみがなくて、ひと世代下くらいの芸人が言いだした言葉。僕らのころは直(ちょく)って言ってました。会社を通さず直で行ってる(活動する)芸人がいて、うわ、カッコ悪と思ってました。ちゃんと会社を通して仕事をもらえるように頑張ろうとやっていたんですけど、今は芸人の絶対数が増えてきて、そういう意識が変わってきている。僕らのころは直で行く芸人はヨゴレみたいに見ていたけど、だんだん薄れてきているのかもしれない」と意識差があると話した。

 芸人の闇営業について「会社はうっすらと分かっているだろうし、芸人には『お前ら、直で行くなよ』と言っている」闇営業が横行していると明かす。その方法について「芸人に(ギャラ)5万円でお願いしますと言われ、会社(吉本)を通すと『10万円いただきます』にとなる。10万円は払えない。今回はちょっと…」と出演料が膨れあがりオファーが消える。それで「仕事がなくなるくらいなら」「5万円もらえるなら直で」と闇営業になるシステムを解説した。

 番組には入江らが出演した忘年会に出席した人物がVTR出演し「パーティー出席者は表(フロント企業)と裏(詐欺グループ)の人間が半々」と証言。会場の予約なども、フロント企業が行うため反社会勢力とのつながりは分かりにくいという。ジュニアは「入江が反社会勢力とは本当に知らなかったと思います」と強調した。

引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190611-00000005-tospoweb-ent


まぁいまも昔も全然声をかけられなかったという土台の上にある
ジュニアの「闇(直)営業カッコ悪い」という認識はいいとしても(笑)
闇営業の存在を吉本が認識してたり、吉本を通すことになると
仕事自体がなくなってしまうという危機感の話は
こういうことが起こりうる土壌となっている超重要な話だと思いました。


けっきょく、ギャラが満足にもらえないから、
当たり前のように横行してる闇営業の話に乗っからないとやっていけない
……という状況ができあがっていたということですよね?

テレビで散々言われてるように、若手の給料なんて本当にスズメの涙のようですし
そこそこ売れだした中堅ですらバイトをやめられないなんて話もいまだに聞くほどですし。
たしかにジュニアの言うように、10万もらえる営業の話が直であったとしたら
その仕事がなくなるリスクを犯してまで吉本に話をすることなんかないかもしれません。

……まぁこれはあくまでも闇営業の話についてのことですので、
反社会勢力とのつながりはまったく別の話です。
が、こういう土壌があったからこそ
入江からの話に乗っかって13人が直での営業に行ったんでしょう。

13人からしたら、それがたまたま反社会勢力の集まりだった
という感じなんじゃないかと思います。

だからぼくはこの13人を責める気にはあまりなれません。


……それよりもむしろ、です。

ここまでに書いたことを読まれれば思われてる方もいらっしゃると思いますが、
薄給で酷使し続ける吉本の体質の方が大問題
なんじゃないかという気がしてきませんか?



そんなことをずっと思ってたんですが、やはりそういう論調の記事が出てました。

吉本芸人の「闇営業」を生んだ構造的問題──果たして責任はタレントだけにあるのか?
松谷創一郎 | ライター、リサーチャー
6/26(水) 9:00


吉本興業の責任は?
 2014年に、多数の芸人が反社会的勢力のパーティーに出演していた「闇営業」問題は、事態が大きく進展した。24日になって宮迫博之さん(雨上がり決死隊)や、田村亮さん(ロンドンブーツ1号2号)など、吉本興業とワタナベエンターテインメントの13名の芸人が、金銭を授受していたことが確認され、無期限の謹慎処分となった。なお、組織と直接取り引きをしていたカラテカ・入江慎也さんは、すでに4日の段階で吉本興業との契約を解除されている。

 人気芸人も含まれるために大きな注目が集まっているが、報道では個々の芸人の問題とするものが多い。しかし、責任の所在は果たして芸人だけにあるのだろうか。彼らの多くが所属する芸能プロダクション・吉本興業の責任はないのか。

 ギャランティ、マネジメント、契約等──構造的にこの一件を捉えると、芸能人と芸能プロダクションの特殊な関係が見えてくる。 

マネジメント体制の不備
 吉本所属の芸人は、しばしば「ギャラが安い」と口にする。テレビ番組でなかば冗談かのように話すが、これは芸能界まわりで当然のこととして知られている。ピースの綾部祐二さんは、ギャランティの取り分は、タレントと事務所側で1:9の配分だと番組で話したこともある(日本テレビ『ナカイの窓』2014年11月26日)。こうした状況もあって、売れていない芸人はアルバイトなどを余儀なくされる。

 加えて表にはあまり出てこない話では、マネージャーが足りていない現実もある。中堅タレントでもマネージャーが複数を掛け持ちしていることは珍しくない。そのため番組制作サイドと連絡がつきにくく、現場で多くの苦労があるという話をしばしば耳にする。らちが明かないので、制作側とタレントが直接メールや電話でやりとりをするケースもあるそうだ。つまり、そもそもマネジメント体制が機能していない側面がある。

 こうしたマネージャー不足は、4月に吉本興業が労働基準監督署から是正勧告を受けたことからも確認できる。そこで問題とされたのは、従業員の過重労働(労使協定に反する月50時間以上の残業)や休日勤務手当の未払いだった。4月の段階で吉本興業は、「現在は人員を増やし、労働時間の管理をより厳しくするなど対応を取っている」と報道に答えているが(「吉本興業とアミューズに是正勧告 上限超える長時間労働」朝日新聞デジタル2019年4月15日)、マネージャーの人員不足は明らかだった。

 それでも吉本所属の芸人が活躍できているのは、本人たちの自主性によるところが大きい。男性の芸人が多いのでNGT48の一件のようなセキュリティの問題は生じにくいかもしれないが、中堅の芸人でもみずから仕事を作ったり取ってきたりすることがある。だが、今回の「闇営業」がまさにその自主性によるものであれば、吉本側のマネジメント体制の不備が引き起こしたとも言えるだろう。

〜 後略 〜


引用元:https://news.yahoo.co.jp/byline/soichiromatsutani/20190626-00131644/


そうそう、マネージャーも少ないんですよ吉本って。

ジュニアですら専属ではなく他何組かの芸人と掛け持ちになってて、
「現場集合やねん」とボヤいてるのを見たことがあります。
売れはじめの中堅とかではなく、ジュニアのレベルででもですよ?

そんな掛け持ちの管理をしてれば、闇営業してるかなんて把握できるわけもないでしょうし、
芸人としても本気で頼ることなんてできないんじゃないかと思います。

それもこれも、吉本のケチケチ体質ですよ。
マネージャーの人数を削るのは人件費削減ですし、ギャラも極限まで削ってるわけです。

他の事務所であればここまでのキツい搾取もないようで、
そんなにめちゃめちゃ売れてるわけでもない若手〜中堅芸人でも
わりとそれなりの給料をもらってるというのを吉本の芸人が羨ましがってる
……なんていうシーンはいままで山のように見てきました。

だから、やればできるんですよ。

ただ、吉本は会社の取り分が異常なのと、
超大御所へのギャラが莫大という極端なピラミッド構造になってるのが
こういう事態を引き起こす根本的な原因になってるんじゃないかと思います。
なので、吉本は他人事のように「再度ちゃんと教育します」的なスタンスで
済ませられるような話ではないと思うんですけどね。

所属タレントを管理できず、しかも
過度な精神的プレッシャーを感じさせてしまうほど
ギャラが安すぎるというこの旧態依然の構造こそ、
まずは見直すべき
なんじゃないかと思います。


吉本興業


……松っちゃんは「ギャラもらってると思う」と発言したり、
ジュニアも「闇営業が横行してた」と発言したりしましたが、
そういうことが起こりうる土壌を吉本が作り出してることに対し
再発防止と若手の保護の観点から、集団で吉本に陳情すべきなんじゃないですかね?
力のある立場の人でなければ話がまずできませんから。

それでも吉本が動かないのであれば、ぼくが松っちゃんであったなら
不当に低いギャラで苦労してそうな若手にギャラの何%かを分配して、
本業に集中できる環境を作ってあげられないか……なんてことも考えるかもしれません。

まぁあくまでも一案ですし、松っちゃんくらい
うなるほどのギャラじゃなければこんな発想はできませんけどね。
いやいくらもらってるか知りませんけど(笑)


……とまぁ、つらつらと書きましたが。

べつにぼくはなんにも困ることはないのでこんなに熱心に書く必要もないのですが、
どうも13人の芸人たちが厳しい目でさらされすぎてるのがちょっと違和感を感じてしまったので
「事の本質をもっと見ないと意味ないんじゃないの?」
という警鐘を鳴らすことも含めて書かせていただきました。

業界のこともなにも知らないただの一般人ですが……(´∀`;)



……しかしまぁ、知名度と影響の大きさから宮迫と亮が矢面に立ってますが、
ムーディ勝山と天津木村は本当に気の毒だなぁと思ってしまいますね(;´ω`)
数少ない仕事だったでしょうに……(木村はいまやロケバスの運転手が本業)

あ、ディエゴって人はこれで初めて知ったくらいなんでもっと気の毒かもしれませんが。



うーん、なんとか彼らがちゃんと復帰できるといいですね。
そして吉本にもっと批判の声が上がることをぼくは期待したいです。




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