「入社後に、あなたがやりたいこと、実現したいことはなんですか?」――新卒入社でも中途入社でも、採用面接の際にはこのような質問をされるのではないだろうか。
面接での質問は、表面的な言葉のやり取り以上の意味を持つというのは、必ず押さえておくべき鉄則である。例えば、「自分を動物にたとえなさい」などの想定外の質問には、論理やアドリブといった総合的なコミュニケーション能力を見る意味がある。
そのような観点で見ると冒頭の質問は少々特殊で、そこには3つの意図が含まれている。
・その1 将来的なビジョンがあるか
学生時代を通じてある程度の社会経験を積み、「こういうキャリアを伸ばしたい」というビジョンを育てておくのが理想である。
・その2 その実現のために臨機応変に動けるか
ビジョンが素晴らしいものであればあるほど、そこに到達するまでの道筋は果てしなく険しくなるものだ。当然、立派なことを言われた面接官は「でも本当にそれを実現できるの?」と考える。ここに第2の意図が隠れている。そのため面接で他者に勝とうと思えば、この意図に対する補完は必須である。
・その3 そのための投資をしているか
そして最も重要な意図がこれだ。「質問内容と全然関係ないように見えるのに、これが重要なの?」と思う人もいるかもしれない。しかし、どれほど崇高なビジョンを語り、そのために泥をすする覚悟があると語っても、それまでの人生でそのための努力を全然していない人の言うことなど、まったく信じられないのだ。
最後に、面接と会議の違いについてフォローしておこう。優秀なのに、なぜか面接で落とされる人の多くは、この違いを理解していない。
両者の最大の違いは、自分を多くの競合者の中でいかにして売り込むかという視点の有無だ。面接とは、基本的に自分の売り込みなのだ。あくまで、自分を魅力的に見せて売り込む場だと理解するべきだろう。
面接って緊張もするし、質問の意図を考える時間が短いから、難しいですよね。どんなにイメージトレーニングしても必ずその通りに質問されることはないですもんね。そういう意味では、付け焼刃じゃなくて普段からいろんなことを考えたり、感じたりしながら行動していかないと、自分をアピールすることは難しいということですね。