ギターの練習で、僕がとても大切だと思っている方法がある。

 

「ゆっくり弾く」練習だ。

具体的なやり方は、例えばこちらの動画にとてもよくまとまっているので、興味がある人はぜひ見ていただきたい。

 



ここで推奨されているのは、ざっくりいうと、こんなやり方。

・自分が「だいたい弾けるわ」と思ってる曲の、普段の演奏テンポを、メトロノームで把握する。
・そのテンポの20%減のスピードで、弾いてみる。
  →ほとんどの場合、あれ?弾けてない?って気がつく出来事が起きる
・これなら弾ける(一音一音綺麗に鳴らせる)と確信できるテンポまで、さらにスピードを落として、15分集中して弾く

※一部抜粋です。推奨されているやり方を正確に知るには、動画を見てくださいね〜


20%減のスピードって、感覚的には、相当遅いです。
もともと「だいたい弾けるわ」って思っていた曲をさらにスピードダウンするんだから、普通に考えたら、全然楽勝で弾けるはず、、と思いきや、なかなか、そうはならないところが面白いんで。

遅くすることで、かえって、アラが目立つんです。

スピードに乗ってシャカシャカシャカって弾いてた時にはなんとなく誤魔化せていたフレーズが、ゆっくり弾いてみると、実は音がクリアに出てないとか、粒が揃っていないとか、ぶつぶつ切れてるとか、リズムが甘いとか、、、そういった問題が、どんどん見えてくる。

で、、、そうやって浮き上がってきた問題を、ちゃんとこなせるところまで、もっとさらにスピードを落として、弾いてみる。

気分は、そう、まるで「太極拳」。武道の「型」の動きを、ものすごいスローペースでやるような、そんな感じ。



これ、、僕も実際、自分の練習に取り入れてるんだけど、、めちゃくちゃいいです。
ギターとか、楽器をやっている人は、みんな取り入れたらいいんじゃないか、って思います。




これをやってみて、一つ、強く感じるのは、、

「ゆっくり弾く」っていうのは、単にテンポだけの話じゃない、ってこと。



「ていねいさ」が、ものすごくアップする。


一音一音を、きちんと、しっかりと、芯のある音で、フレットの奥にまで振動が染み込むようなイメージで、鳴らす。


そのためには、指先と弦があたる角度とか、タイミングとか、左手の抑え方の角度とか、そういう細かいところが全部、ピタッと振動の芯を捉えるような感じになっている必要がある。

1曲を構成する全ての音において、そういう、きっちり芯を食った鳴らし方を積み上げていこうと思ったら、、、

めちゃめちゃ集中することになる。

一音一音を、惰性とかにならないように、明確に意識して、鳴らすから。


こんなに音一つ一つをていねいに弾いたこと、ないわ、ってくらい、ほんとに、ていねいになぞっていく。



そういうのをしばらくやってると、、、普通のテンポに戻った時の、指先のタッチのセンサーとか、リズムをとる時の時間の分割感覚とか、そういう部分の繊細さが、1ランク、2ランクアップしたような感じになるんです。


こういうのはね、、口で説明するだけじゃなかなか伝わらないかもしれない。体感してもらうしかないんだろうな、、って思う。


で、、、、話はいきなり飛びますが。

マインドフルネスっていう言葉があります。瞑想とか、そういう世界でよく使われる言葉。

「いまここ」にいる感覚というか。今を生きる充実感をつかまえてる感じ、っていうのかな。


その感じと、このギター演奏の「ていねいさアップ」の感じは、すごくよく似てる。。というか、おそらく全く同じものだと思う。


マインドフルネスの練習では、例えば食事をする時に、一口ずつ頬張るたびに、箸を置いて、目を閉じて、ゆっくりと噛み締めて、味わって、、なんていうことをやるんです。


その感じと、この「ゆっくり弾く練習」の感じは、すごくよく似ている。


つまり、、、ゆっくり弾く練習は、「ていねいに生きる」っていうところに、繋がっている。


そんなことを感じながら、今日もポロポロとギターを鳴らすのでした。