「このテープもってないですか?」という番組が本気で怖かったので紹介と感想を書きます。

 

 

本作をオススメする人:Jホラー的なものが見たい方

 

オススメしない人:怖さを覚ましかねない要素があるのは嫌だという方

 

 

 

本作は当ブログでも過去に感想や考察を書いた「SIX HACK」「aマッソのがんばれ奥様ッソ!」を手掛けた大森時生プロデューサーによる作品です。

なので両作と同じく、架空のバラエティー番組を造り込み、その中にホラー要素を入れた、いわゆる"モキュメンタリー"作品となっております。

 

 

本作は、

 

「昔のTV番組はもうTV局内にも映像テープが残ってないものがあるので、そうした当時の貴重な番組映像を録画したテープを視聴者から募集し提供して貰い、そのテープに録画された番組を放送する」

 

という特別バラエティー番組企画が舞台です。

出演者はいとうせいこう氏、井桁弘恵氏、水原恵理氏ら。

何気に「テレビ放送開始69年記念番組」という位置づけの企画だそう。

 

 

送られてきたテープを再生し映る昔のTV番組の内容にスタジオゲスト達がコメントしながら進むのですが、この再生される昔の番組というのもまたバラエティー番組であり、しかもその内容も当時の視聴者からホームビデオを録画したテープを募集、同じくそれを流してスタジオ内で司会やゲスト達がコメントしていくという形式の番組(番組名は「坂谷一郎のミッドナイトパラダイス」、略して"ミッパラ")ですので、入れ子構造、二重構造になっていますね。

 

 

この「ミッパラ」、初めは普通に視聴者から送られてきたビデオテープを流してそれについてスタジオでコメントしていくんですが、紹介されるビデオテープ映像の内容もスタジオの様子も次第におかしくなっていき・・・・・・

 

というのが大筋です。

各話24分の全3話なので気軽に見やすいですよ。 

(一応最後にオマケの4話目もありますが1分しかないので即終わる)

 

 

自分が本作でオススメしたいのは何と言っても冒頭にも書いた通り、Jホラー感です。

「ミッパラ」内で紹介されるビデオテープの映像のJホラー感が凄いです。

 

怖いの好きだけどビビりでもある自分はJホラーの代表的作品(「リング」とか「呪怨」とか)は怖そうすぎて見てないのでJホラーについて語るのも憚られる想いが無きにしも非ずですが(原作小説版「リング」は読みました、本当によく出来ていてとても面白かったですね)、それでもJホラーがどういう作風を指すかは分かっているつもりです。

派手な流血や虐殺による直接的スプラッタではなく、ジワジワ・ジメジメした不気味さで心理的恐怖に迫り、絡め取っていく。そういうタイプのホラーなイメージです。

そして本作の「ミッパラ」で登場するビデオ映像のホラー性が正にそれに合致すると思うのですよ。

 

 

まず冒頭で触れた同プロデューサー担当作である「SIX HACK」や「aマッソのがんばれ奥様ッソ!」と違い、本作は思いっきり心霊・オカルト系ホラーです(なので心霊系、オカルト系ホラーが好きな方にもオススメです)。

そこにJホラー感の凄い恐怖映像・・・それも別に衝撃的なことが起こるわけでも、露骨な恐怖映像が含まれる訳でもないにもかかわらず怖い(これも凄い事だと思う)映像群が来ます。

しかも「昔の番組に寄せられた投稿ビデオテープ映像」なので、画質も悪いし色合いも一応カラーではあるけど不鮮明だし、音質も悪い。

これが映像の怖さを更に抜群に増しています。

なのでJホラーっぽいのが見てみたい、Jホラー好きな方にオススメしたい次第です。

 

 

本作「このテープもってないですか?」には構成作家として「梨」という名前の、近年活動を始めたホラー作家が携わっているそうで、このJホラー感はその方によるものなのかな?

凄いと思います。

 

 

上述した通り「リング」や「呪怨」などの金字塔的作品を見ていない身なので、それらは当然のものとして見ているし他にも数多のJホラーを見ているJホラーマスターにとって本作のビデオテープ映像がどう映るかはわかりませんが、少なくとも自分にとっては物凄く怖かったです。

Jホラー的に、見てる最中も見終わった後も気味の悪い不気味な怖さがジメジメと纏わりつき続けました。

ビビりな自分は何日間も怖さが尾を引き続けましたからね(自分が過剰に怖がりなだけ説もありますが)。

 

 

 

ただ正直、そうした怖さを大きく減じてくる要素もビデオテープ映像以外の部分で本作内に存在していたなぁ(特に第3話目において)というのが自分の感想なので、徹頭徹尾、全編に渡って恐怖に浸れる作品としてのオススメではありません。

「せっかく怖いのにそれを打ち消すような要素があると萎える、嫌だ」という方にはオススメしにくいですね。

たとえ恐怖を減じる部分があったとしてもビデオテープ映像部分が怖いなら見てみたいという方にはオススメです。

 

 

 

ネタバレ全開での感想および考察的なもの(妄想ともいう)はまた後日別記事として書きます。

           ↓

追記:書きました。