面白いホラードラマを見たのでネタバレなしで紹介します。

 

見始めたら止められなくなり一気に見てしまった程の面白さです。

 

 

現代テクノロジーの存在あってこそ成立するドラマ構成とストーリー造りがなされており、この現代だからこそ造れるドラマ、現代でないと見ることができないホラードラマだ!という興奮が味わえる内容となっております。

 

 

 

題名は「何かおかしい」。

メチャクチャ不気味なキービジュアルです。

 

この覆面人間が得体の知れない動機からオカルト現象を生み出し、関わった犠牲者たちの物語が描かれる・・・

 

といった印象を自分は抱きましたし、同様の方もおられるかもしれませんが、全く違います。

 

 

この覆面人物は各話の冒頭と終盤で解説を行う役に過ぎず、ストーリーに関わる登場人物ではありません。

 

 

また、ホラードラマではありますがオカルト物ではありません。

 

一応オカルト要素が含まれる回もありますが、その場合でもあくまでホラーの主体を担うのは人間と言えると思います。

 

 

ですので「オカルト系は見たくない」という方や、このキービジュアルからあまりにも不気味な内容を想像し腰が引ける方にも本作はオススメです。

 

逆に「オカルトこそ見たい!」という方にオススメするかというと微妙ですが、そういう方でも楽しめるのではないかと思います。自分が正にそうだったからです。

 

一部オカルト要素が登場する回ではテンションが上がりました。

 

 

どんな内容か

 

>リアルタイム進行型ヒューマンホラードラマ

 

公式でこう銘打たれている本作。正にこの表現がピッタリな造りとなっております。

 

 

本作の舞台はとある生放送のラジオ番組です。

 

 

このラジオ番組は番組内でリスナーからの投稿を基に企画を行っていきます。

 

投稿はメールやSNS(というか明らかにTwitterがモデル)の番組公式アカウントにその場で送られてきたものに対し、構成作家がコンタクトを取っていきます。

 

そのコンタクトの様子が我々視聴者にも映し出され、パーソナリティはリスナーの投稿を基に企画を進行。

 

企画への他のリスナーの反応はリアルタイムでSNS(というかどう見てもTwitter)に公式ハッシュタグ付き呟き、あるいは番組公式アカウントへのリプライと言った形で続々と現れて行きます。

 

その反応により構成作家達はある時は企画を更に押し進め、ある時は進行中の企画への違和感を抱いていきます・・・

 

 

 

生放送だから失敗は許されないしやり直しは効かない。

 

そんな状況下で浮かび上がった「何かおかしい」という違和感を置き去りにして次々と番組は進んで行くし、リスナー達からの反応も寄せられる。

 

番組スタッフとそれを見ている我々視聴者の中でだんだん膨れ上がる違和感や不安感。生放送とSNSという媒体がこれらをスピード感を伴って連れてきます。

 

 

そしてインターネット。

 

構成作家は違和感に対して、あるいはリスナー達の反響を受けてその場でネット検索を行い情報を調べて行きます。

 

一瞬でアクセスできる検索結果からは何も得られない時もあれば、一部の人間だけが知っている都市伝説的な情報に行き当たり、違和感の正体に迫りその後の対応を大きく変えることもある。

 

 

生放送ラジオという形態、投稿者との現在進行形でのやり取り、それに対するリスナーからのSNS上での反響、反響に対するネット検索での調査実施というアクション。

 

これら全てが揃うのはこの現代だからこそですし、この条件下であるが故に生じる臨場感や緊迫感、増幅する怖さや核心に迫って行く謎解きの要素等々があります。

 

これらがとても上手く組み合わされてドラマが紡がれて行くのです。

 

良く出来ているなという感心と、「現代だからこそ見られるドラマだ!」という興奮とが同時に味わえます。

 

 

定点カメラ的な面白さ

 

また、そんなスタジオ内の様子が定点カメラのごとき雰囲気で映し出されるのも面白いです。

 

ノートPCの画面を見てリスナーの投稿とコンタクトを取ったり、リスナーの反響を見るのは構成作家やディレクター達のみで、同席しているパーソナリティは司会に専念しています。

 

リスナーの反応を見て「何かおかしい」という違和感を抱き始めている人物と、何も知らない人物とが同じスタジオ内で同居している。

 

それぞれの認識の差から来る温度感の違いが、見ているこちらに歪さや不安感、焦燥感を生んできます。

 

 

 企画のために、あるいは別コーナーのためにリポーターが現地へ行き中継を行う時もあり、基本的にこのスタジオ内の様子と現地中継の二地点の映像だけで構成されているドラマなのです。

 

そんな制約下でよくこれだけの展開を描けるなという驚きもありますし、

視点が限られてるが故に生まれている面白さもあります。

 

 

人間の怖さ>オカルト、ではない

 

そして人間が主体となる怖さ。

 

こちらも上述した舞台や条件下の環境を活かして描かれ、見応えがあります。

 

ちなみに本作には「一番怖いのは人間だった!」という公式キャッチコピーもあるのですが、人間の怖さを描いてはいても「オカルトより人間の方が怖い」という内容や描き方ではありません。

 

ですので「死んだ人間(幽霊)より生きている人間の方が怖い」「一番怖いのは生きた人間」的なよくあるフレーズが好きじゃない、嫌いという方でも楽しめるのではないかと思います。自分が正にそうだったからです。

 

「物理的に対処可能な人間より物理的な対処が不可能な幽霊やオカルトの方が怖いに決まってるじゃん」と思うタチなので、それに反する内容、あるいはオカルト系の怖さを貶しながら人間の怖さを持ち上げる類の内容だったら反感を抱いていたでしょうが、そういう感想は持たなかったのでその点でも良かったですね。

 

 

造り込みと発見

 

また、各話内に様々に伏線があり、それらが話の最期に結実していくのですが、冒頭で貼ったキービジュアルの覆面人間が終盤で解説してくれるので伏線を見落としたりよく意味が理解できなかった場合でも安心親切な造りとなっております。

 

しかしそれでいて、あくまで解説してくれるのは主軸とそのオチくらいで、各話内に散らばっている細かい描写や登場人物の表情変化などからも読み取れる情報が多々あり、それらに気付くと更に一層深みや面白みが増す造りともなっております。

 

ですので成り行きに任せて見ても重要部分は解説してくれて楽しめるし、自分で細かく考えながら見て行ってももっと楽しめるという、美味しいドラマなのです。

 

自分は各話を見た後で巻き戻しを多用しながら見返して「そういう事か!」と合点が行ったり、初見で見進めつつも巻き戻しを使って細かく見たりと、非常にのめり込まされました。

謎解きのミステリー的な楽しみもあると言えます。

視聴途中で巻き戻したり、その回のオチまで知ってから見返してこそ分かる造り込みだったり・・・様々な発見ができます。

 

 

手ごろな尺

 

そしてそんな造りでありつつも、1話23分の長さで全6話で完結という、

手軽に見終われる分量である点も手を出しやすいと思います。

 

とりあえず見てみたい、何か1作サクッと見終えたいという方にも大変オススメです。

 

しかし各話共に「よく23分の中にこれだけの要素や展開を入れられたなぁ」と感じる充実感があり、決して短い時間と話数の分だけ物足りない、薄いといった感想には繋がらない出来だとも思います。

 

繰り返し見て造り込まれた伏線部分を読み解く事をすれば自動的に本来の尺以上のボリュームになりますし、「薄いのはちょっとな・・・」という方にもオススメです。

 

 

演技力と本人役出演による現実感

 

そして登場人物の演技もみんな上手いです。

毎話出る役者も、1~2話しか出ない役者もみんな上手いので、その点も安心です。

話によくのめり込ませてくれます。

 

しかも役者の中には実際の芸能人がそのまま本人役として出ている例もあり、その点でも現代性、現実的な臨場感を醸してきます(自分が芸能人や俳優に詳しくないせいで、ほとんどの例は出演者への公式インタビュー記事の存在など見て後から知ったのですが・・・^^;)

 

 

世相を反映した内容

 

あと、ストーリー内でも現実の世相を反映した部分が少しあるのですよ。

 

そうした部分も現代ならでは、現代だからこそのドラマだと思わせてきますし、現実感、臨場感を生んでいます。

(これが回によっては相当な重さを生んでもいましたね。。)

 

 

Twitterの危険性

 

あと、これは少し変なオススメの仕方になりますが・・・

 

本作はTwitterのシステムやTwitterの持つ影響力の大きさ、民度などに対して嫌悪感、絶望感、そこまで行かずとも少し辟易した気持ちや「Twitterってもしかしてヤバくね?」という感触を抱いている方で、その気持ちを後押しして欲しい、または傍証となる意見に触れたいという場合でも、とても有用なドラマだとも思います。

 

このドラマで描かれるTwitter(をどう見てもモデルにしてる架空のSNS)模様には多少誇張された部分もあるかもしれませんが、基本的には現実のTwitterでも同じ事が十分に起こり得るものであると思います。

 

Twitterでなくともインターネットなら再現可能・・・とも思うのですが、人口、拡散力を増すシステム、影響力の大きさ、その危険性、それらを孕んでいるにも関わらず世間一般に浸透しており各種公式アカウント等も大量進出している土壌などの点も考えると、こうした出来事が起こり得るのは第一にはTwitterだろう・・・とも思えるのです。

 

 

覆面人間(雨穴)とは

 

ちなみにキービジュアルの不気味な覆面人間ですが、各話冒頭で「雨穴です」と名乗っています。

 

これはドラマ内での設定ではなく、実際にあの覆面姿でホラー系のYoutuberやライターとして活躍している人物だそうなのです。

 

それら方面に全く詳しくないせいで存じなかったのですが、雨穴という方を知っている方だと「実在する人物が実際に行っているようにホラーの紹介と解説を行っている」と映り、尚更に現実感や臨場感を味わえるかもしれません(雨穴という方について調べたところ本ドラマのような活動を行っている、または行っていてもおかしくない印象を受けての判断ですが、現実にはあのような活動をするイメージはないという事でしたらすみません)。

 

また、雨穴さんが各話登場するわけですので、ファンの方にもオススメですね。

しかも本作のストーリー原案は同氏が担当しているそうなので、

雨穴さんの手掛けるホラーストーリーが好きな方にもオススメです。

 

かといって、同氏を知らなくても全く問題はありません。

 

ドラマのオリジナルキャラクターだと思って見ていても全く問題ない内容になっていると思います。

 

 

配信状況

 

この「なにかおかしい」ですが、おそらくU-NEXTという動画配信サイトでの独占配信ではないかな?と思います。

 

公式サイトには「ParaviとYouTubeで先行配信」とありますが、このParaviという動画配信サービスは先日U-NEXTという動画配信サービスと統合されましたし、

 

公式サイトにも「U-NEXTにて配信中!」とデカデカと書かれているためです。

 

ちなみにParaviに登録していた方は自動的にU-NEXTに契約内容が移行されるようで、正にそのパターンだった自分はいつの間にかU-NEXT会員になっていました。

 

Paraviに登録したままU-NEXTへ移行された場合のみ自動加入される「Paraviベーシックプラン」という契約内容だと、U-NEXTの全作品が見られるわけではない代わりに、Paravi準拠の安い料金で登録&視聴が可能な様ですので、U-NEXT加入者はもちろん、Paraviを解約しないまま登録していたという方にも本作はオススメです(もし契約内容について誤解していたらすみません)。

 

 

2期もある!

 

そして本作、1年前である2022年に放送されたばかりのホヤホヤ新作であると同時に、更にその直後に「なにかおかしい2」も制作・放送されたそうです。

 

自分はまだ見ていないのですが、そちらも是非見てみるつもりです。

 

ですので「やっぱり23分6話じゃ物足りない!」という方にも長く楽しむことができると思います。

 

しかも第2期では23分の全12話に増大したようですので、1期以上のボリュームです。

 

かといって1期だけでは中途半端にぶつ切りな終わり方をするのかと言うと、全然そんなことはありません。

1期全6話までだけでも十分に面白く、完結したドラマだと思いました。

ですので「えー2期も見ないといけないのー?面倒だなー」という方にも無問題だと思います。

 

 

 

というわけで、ドラマ「なにかおかしい」のオススメ記事でした。

 

個人的な感想記事の方も気が向いたり書けたら書くかもしれません。

 

 

とにかく1、2話見て頂ければそのスピード感やスリリングさ、面白さは伝わると思いますので、興味を抱いた方、何か見てみたいといった方にはとてもオススメでございます。