MCS-48の成功をうけ、さらなる高性能をめざして開発されたのがMCS-51シリーズでした。タイマを強化し、シリアルインターフェースを付加し、命令も強力にして高速化しています。
命令の強化については、プログラムメモリとデータメモリ空間をそれぞれ16 bitアドレスに拡張し、16 bitポインタレジスタを追加して、乗除算やビット演算を含む高度な命令が追加されています。1 - 3 Byteの可変長命令が使用され、8 bitマイクロプロセッサとしては普通の設計といえるでしょうか。ビット演算はキャリーフラグを一種のアキュムレータとして、内部データメモリの一部とI/Oポートやレジスタの一部をビット単位で指定して演算や条件分岐の判定条件として使用できるようになっています。8048と比べて高速化も行われ、12 MHzクロックで1 usの命令実行時間と約2.5倍のスピードアップとなっています。
タイマは16 bitタイマが2本(数種類のカウンタ構成をプログラム可能)となって使いやすくなり、シリアルインターフェースもSPI風のクロック同期や9 bitデータ構成の調歩同期方式も可能となっています。ボーレートはタイマの一部を使用して内部で生成することができ、9 bitデータ構成の場合に受信データの9 bit目が1の場合にのみ割り込みを発生させることもできます。このため、一種の簡易LANのようなことも内蔵I/Oだけで効率良く実現できます。
I/Oポートは32本まで使用できます。シリアルやタイマ回路の機能ピンとパラレル入出力ポートの端子の一部が兼用になっています。また、外部にデータメモリやプログラムメモリを拡張することも可能ですが、その場合もパラレル入出力ポートの一部というか半分ほどがメモリインターフェースに使用されてしまいます。
割り込みも強化されており、5要因の割り込みを受け付ける他、割り込み要因に2レベルの優先順位を付けることも可能です。