海外メディアはどう報じているのか? 東日本大震災の衝撃
大震災を一面で報じる地方紙『フランクフルター・ルントシャウ』(3月13日付)。見出しは「衝撃波」
 筆者がよく読む地方紙『フランクフルター・ルントシャウ』の3月13日付第1面にも震災の写真が掲載された。見出しは「衝撃波」。被災地の津波被害のみならず、日本の受けたショック、そしてドイツと世界が受けた衝撃の意でもある。

 今号は大震災のもたらした衝撃をドイツの視点から緊急報告したい。【松田雅央】

●国際共通語「TSUNAMI」

 津波が堤防を越え街に流れ込む様子、漁船、クルマ、家屋が濁流に流される光景はドイツ人をも震撼(しんかん)させた。また市原のコンビナート火災、さらには福島第1原発1号機、続く3号機の水素爆発の決定的映像など、信じ難い現実にショックを受けているのは日本人だけではない。

 筆者が最初に大震災のニュースに接したのは、ドイツのニュース専門チャンネル「N24」の速報だった。ドイツ時間11日午前8時ごろ、テレビをつけると田畑とビニールハウスを押し流す濁流が映し出されている。最初は何のニュースか分からなかったが、その光景は紛れもなく日本のもの。日本時間の午後4時ごろだから、地震発生から約1時間後のことであり、ドイツメディア、特にテレビの反応は大変早かった。その後も、N24の大震災関連放送はCMと天気予報を除き一切の中断なく3日間以上続いている。これは異例の扱いだ。

 「TSUNAMI」という言葉は2004年のスマトラ島沖大地震で繰り返し報道されたこともあり、ドイツ人にも解説抜きで通じる国際共通語となっている。とはいえ、ほとんどのドイツ人が地震を経験していないので、津波を実感としてとらえられる人はごく少数に限られる。もっとも、日本人であっても真の恐ろしさは「経験者でなければ分からない」と言われるが。

●世界を駆ける震災情報

 インターネット上の日本語情報と照らし合わせると、ドイツメディアの報道内容はかなり正確だ。日本にいるドイツ人特派員のレポート、在日ドイツ人の生の声を交えながら、極力感情を抑えた等身大の震災状況が伝えられていると思う。

 被災各地から寄せられる悲報だけでなく、日本の建物の耐震が優れていることや、そもそも耐震構造とはどういったものなのかが報じられている。大阪のゲーテインスティテュート(国際ドイツ語教育機関)はビルの35階にあるそうだが「古い建物よりも、耐震構造のしっかりした高層ビルの方が安全」といった話はドイツ人には新鮮に聞こえるだろう。また日頃から学校や職場で避難訓練が行われていること、津波に対して設置された水門なども折に触れ紹介されている。

 「日本はおそらく世界最高水準の防災対策を講じてきた。それにもかかわらず、これだけの被害を出した」というのが共通認識だ。

 なお、震災の甚大さに比較して救援活動が迅速かつ効率的に組織されている点も評価されている。発展途上国ではこういった際に暴動や略奪が起きるのが常とされるが、パニックに陥らず秩序を保った対処の様子も驚きをもって受け取られている。

●救助隊を派遣

 ドイツ側のアクティブな対応、例えば災害救助隊派遣は早かった。

 ドイツの災害救助は公的組織「THW(技術救援隊)」が担当し、職員約900人とボランティア約4万人で構成されている。今回の震災を受け、11日中にはすでに派遣が決まりチーム編成と資材準備が始まった。

 約40人のTHWチームは遅延なく日本に到着したものの、福島第1原発1号機の爆発事故を受け、隊員の安全を確保できないという理由でしばらく空港待機を余儀なくされた。最も活躍が期待される震災初期に活動しなかったのは残念だったが、日本時間14日午後4時の最新報道によれば原発事故の先行きが不透明ながらも現地入りを始めたそうだ。彼らの勇気には心から敬意を表したい。

●原発事故を注視

 ドイツが最も関心を寄せるのは原発事故の状況である。現在のところ、震災報道のおよそ3分の1は原発爆発事故が占めている。

 世界中の国が原発事故を注視しているのは当然として、その中でもドイツはとりわけ敏感と感じる。たとえ日本の原発で大事故が起きても、地理的距離から日本近隣諸国ほど深刻な影響は受けないはずだが、1986年のチェルノブイリ原発事故の被災国としての記憶が非常に強いのだろう。また、市民活動により原発からの完全撤退(運用年数を終えた原発から停止)を決めたという事情もある。

 メルケル首相は原発の安全性を強調しながらも、国内全原発の緊急安全点検を指示した。当然、環境保全団体は今回の事故を受けて反原発の姿勢を強めており、稼働中の原発を数万人の人間の鎖で囲むなどの直接行動に出ている。

●世界が見守っている

 死亡者、行方不明者数は刻々と増え、最終的な死亡者数は万単位に達するとの悲しい見通しはドイツにも伝わっている。個人的な話になるが、筆者自身が日本人として多くのドイツ人から見舞いの言葉をいただいた。

 日本がこれまで海外の災害に人道的な立場から貢献してきた実績は、極めて大きく評価されている。恥ずかしながらこれまで実感したことがなかったこの事実を、今、肌で感じているところだ。被災地の方々のみならず、すべての日本人にこういった国際評価をぜひ知っていただきたい。ドイツ人もまた、日本の1日も早い立ち直りを祈っている。

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