2024年度定期総会で決定したNPO法人シンフォニーの2024年の活動方針である。

(1)基本方針


 「貧困ビジネス」が大阪西成から誕生し、全国に広がっている。今や、生活保護受給者、障害者は囲い込みビジネスのターゲットにされ、生活保護受給者や障害者など社会的弱者を病院や福祉事業者に紹介するビジネスまで登場している。
 私たちは1995年の阪神・淡路大震災時のボランティア活動を母体にして誕生した団体であるが、その当時から「支援を受ける側から支援ウする側に」(スローガン)を社会的弱者にたいして提起し、地域清掃などの様々な活動を社会的弱者を巻き込んで展開してきた。
 しかし、当時比べての貧富の差は拡大し、社会的弱者を食い物にするビジネスは拡大している。
 この現状を変革するには、ボランティア活動は限界がある。社会的弱者自身が主体的にビジネス領域に進出し活動していくしか道は残されていない。世界史的にはみれば貧困者自身がビジネスの主体になっていく「リバースイノベーション」も登場している。
 「リバースイノベーション」は一般的に、新興国や途上国で誕生した製品やサービスを、先進国市場にも逆輸入することを指します。従来の「先進国から発展途上国へ」という技術移転とは逆の流れであり、近年注目を集める戦略である。
  この「リバースイノベーション」戦略を、貧困者自身が主体となるソーシャルビジネスにしていくというのが私たちの主張である。
 日本における貧困者の特徴は、親兄弟・親族の強力な「助け合いネットワーク」によって、場末のスナック等で居場所づくり型のコミュニティーを運営している点によく現れている。助け合いは、人材、資源、資金の分野で共有する仕組みで実現している。いろんな経験知を持っているのも特徴である。このシャアするという仕組みをオープンかたちで、地域の事業者、他のネットワークと協働を「資金、人材、資源」を共有していく形で、市場を地域団体間のネットワークから地域の中小企業まで拡大していくとを目指してはどうかというわけである。
 そこで注目したのが、SDGsの169のターゲットです。17のゴールだけでなく、169のターゲットに焦点を当てることで、世界共通のピープルズプランとして実践し、共有するという考え方たです。そしてそれこそ、地域団体や個人事業主の実践の評価基準にすべきでないでしょうか。
 これにより、SDGsの169のターゲットがピープルズプラン(実践的部分)として、ポスト資本主義をめぐる「世界共通の目標」となり、みんなの共通目標=実践的指針ととして日々変革していく方向を考えています。みんなの目標であり実践であることの意味は、経営者と従業員で目的を共有する枠組みを超え、市民、企業、自治体の共通の目標として、ピープルズプランに作り変えていくことである。

(2)SDGsをピープルズプランとして推進 

 ① ピープルズプランでSDGsを推進
 資本主義を超えた新しい社会を築くために、私たちはSDGsを「ピープルズプラン」として前面に押し出していきます。これは、17の目標と169のターゲットを、地域の人々や企業と連携して、より具体的に実行可能な計画に作り替えていくものです。
 具体的には、地域団体のネットワークから始め、企業を巻き込みながら、以下の取り組みを進めていきます。
貧困ビジネスから貧困者自身の起業・ビジネス・リバースイノベーションへの転換: 従来の貧困対策ではなく、貧困者自身が起業し、ビジネスを展開することで、自らの力で貧困から脱却できる仕組みを構築します。
 ② SDGs推進協議会によるオープンな取引統治
 これらの取り組みを推進するために、超党派の「SDGs推進プロジェクト」を設立します。プロジェクトは、地域、企業、NPOなどの関係者が連携し、協働するためのプラットフォームです。
 プロジェクトでは、以下の活動を行います。
 ①情報共有と連携強化: それぞれの取り組みの情報を共有し、連携を強化することで、より効率的なSDGs推進を目指します。
オープンな取引統治の構築: 関係者間の「取引」を透明化し、公平なルールに基づいて運営することで、コミュニティビジネスの活性化を促進します。
 ②コミュニティビジネスによる地域活性化
 SDGs推進プロジェクトを通じて、地域の人々や企業が主体的に取り組むコミュニティビジネスを活性化していきます。コミュニティビジネスとは、地域課題の解決に貢献しながら、利益を生み出すビジネスモデルです。
 ③具体的には、以下の取り組みを進めていきます。
 地域課題の解決に貢献するコミュニティビジネスの支援: 地域課題の解決に貢献するコミュニティビジネスのアイデアを募集し、資金調達や人材育成などの支援を行います。
 ④コミュニティビジネスのネットワークを市場として再編します。 地域を超えたコミュニティビジネスのネットワークを構築し、情報交換や相互支援を促進します。
 ⑤期待される効果
 これらの取り組みを通じて、以下の効果を期待しています。
 〇貧困削減です。 貧困者自身の起業・ビジネス・リバースイノベーションによって、貧困削減を目指します。
 〇次に持続可能な地域活性化です。コミュニティビジネスの活性化によって、地域経済の活性化と雇用創出を目指します。
 私たちは、SDGsをピープルズプランとして推進し、貧困ビジネスからコミュニティビジネスへの転換を図ることで、より良い社会を実現していくことを目指しています。
 地域資源を活かしたコミュニティビジネス創出をSDGs推進プロジェクトによる市場形成と機会(チャンス)の提供による人材育成をめざします。「実践しながら学ぶ」というスタイイルを商店街など街そのものをキャンパスにして作り出していきます。

(3)実施方針

 

 ① 地域資源のデータベース構築
地域団体、企業の「得意技」や「資源」をデータベース化し、地域活性化に繋がる情報共有プラットフォーム「アディアゴラ」を構築します。アディアゴラは毎月第4日曜日に開催される交流会を通じて、参加者同士のマッチングや情報交換を促進する。
 

 ②地域団体間のネットワーク・連携の市場化
アディアゴラで共有された地域資源を、SDGs推進プロジェクトが運営する「市場」で「取引」として提供する。市場では、地域団体や企業が得意技や資源を相互に提供することで、新たな事業の創出や協働プロジェクトの推進を目指す。
 

 ③コミュニティービジネスの市場を活用した事業展開
 SDGs推進プロジェクトは、市場で取引される地域資源を活用した事業を展開します。具体的には、以下の事業である。

 〇コミュニティビジネス支援事業として地域住民が主体となって取り組むコミュニティビジネスの企画・運営を支援する。
 〇産学官連携事業として地域大学や研究機関と連携し、地域課題解決に貢献する技術や製品の開発を進める。
 〇人材育成事業として地域住民に必要なスキルや知識を習得できる研修プログラムを地域の全体で取り組む。
 

 ④地域で岡江を廻すプロジェクト
 地域団体や企業が独自に取得した助成金・補助金を市場内で活用することで、外部関係者との発注を促進します。
市場での出会いをきっかけに、助成金の委託先や講師として地域団体・企業が参画することで、資金調達と専門性の向上を図る。
 ⑤助成金申請支援士業グループによる助成金申請支援サービスを提供します。具体的なサポート内容は、次の通りです。
 〇助成金制度に関する情報提供と申請書類の作成支援
 また、地域でお金を回すプロジェクトを目的とした「助成金トライやるワークショップ」を開催し、助成金の活用方法について実践的に学ぶ。


 

 ➆ エンセンシャルワーカーの育成を軸に、域活性化を担う人材を育成するため、以下のプログラムを実施する。
 〇子どもの未来応援プロジェクト

 〇コミュニティビジネスによる地域活性化(社会的起業とらいやる事業)

 〇定住外国人向け職業訓練、語学講座
 〇スタディツアー・リサイクル事業
これらの研修プログラムを通じて、地域住民が主体的に地域課題の解決に取り組めるよう、必要なスキルや知識を習得できる環境を整備する。

⑧期待される効果
本取り組みを通じて、以下の効果を期待している。

 〇子どもたちの選択肢を増やす
 〇地域資源の有効活用による地域経済の活性化
 〇コミュニティビジネスの創出による雇用創出
 〇SDGs(ピープルズプラン)の実践と目標達成に向けた地域社会の持続的な発展

 〇エッセンシャルワーカーの底上げ