先日コンクールに出した生徒S君の2次予選の演奏です。
曲はラモーの「めんどり」とチャイコフスキーの「ひばり」
です。バロック&ロマン派。
この「めんどり」がめちゃくちゃ楽しかったです。
S君3年生は昨年コンクールでダカンの「かっこう」を弾き、
1次予選1位通過、2次予選2位通過決勝大敗でした
今年はリベンジで出場し、昨年決勝まで行ったので2次予選から
参戦でした。
バロックというとバッハやヘンデルを浮かべる人が多いですが、
ラモーやダカン、クープランなどのフランス、スカルラッティ等の
イタリアもとても面白いです。
S君は大阪市内で育ち、長野にいた私からするとほとんどと
言って良いほど自然を知りません。バロックの時代では電気も
なく、パリの真中でも自然がたくさんあり、今で言うなら日本の
山の中の田舎と同じような生活環境だったと思います。
また卵を食材とするために、ラモーの身近にもめんどりが
放し飼いで飼われていたのでしょう。
しかしS君は鳥の名前、鳴き方、大きささえ分かりません。
そこで昨年は「かっこう」だったので、今年は「めんどり」と「ひばり」を
弾くことで、小学校3年生の理科の勉強になります。田舎に住んで
いる子なら知っているような事です。
かっこう、ひばり、めんどり、ブルグでせきれいも弾いていたのでどう
違うか、見ている距離間、鳴き声が聞こえてくる距離感まで教えました。
そしてどんな音で弾けば良いか2人で考えました。
またラモーはなぜ題名を「にわとり」「おんどり」にしなかったのか?
そう卵を産むからです。めんどりは産卵前後、結構ヒステリックに
鳴きます。他の鳥を威嚇するためです。YOUTUBEなどご覧ください。
S君とこの曲を練習し始める時、バロックとして弾くか、ピアノとして
弾くか、どちらにするか決め「ピアノとして弾く」事にしました。しかし
バロックの要素も入れたいため、まためんどりの産卵前後キンキン
鳴くことも重ねて、ピアノでも少しヒステリックに固い音で弾くことにし、
その後ひばりはロシアの春、雪溶けた野原の高い空で、のーんびり
鳴いているという要素でレッスンしました。
めんどりは見ている距離が近い、ひばりはどこで鳴いているか分から
ないくらい遠い、固い音と丸い音等いろいろ考えました。
特にめんどりは曲のどこで卵を産むか、何色の音色にするか等、
2人で色々検討して決めました。それが本当に楽しかったです
ただ演奏では焦ってあまり出ていませんが
合わせて本番では非常に力んでしまい、速く弾きすぎてしまって
間違えたため敗退でしたが、都会の少年が音楽を通して「鳥」を知り、
フランスとロシアについて学べました。また本番で速くなると言う癖も
分かりました。
落ちた割に講評は全部良かったのですが、ある先生がめんどりに
ついて小鳥と勘違いされたのか、装飾音はもっと滑らかに美しく鳥が
鳴くようにと書かれていました。かなりややヒヨドリとの勘違いでは
と思いました。
ラモーはめんどりの曲を2曲書いており、片方は静かです。こちらは
騒がしい。だからお産の陣痛と威嚇の曲。そんな文化や自然も分
かって弾かないといけないと思います。
ピアノでは楽譜だけを追うのではなく、文化や歴史、作曲家の意図
した意味も良く伝わるようにレッスンしなければなりません。
おかげでめんどりの鳴きまねがうまくなりました(笑)
♪めんどり&ひばり