※FBに載せた記事で想い出編です。

 

私は長野県で小さな音楽ホテルを約20年営んでいました。
その頃はバブルの終わりの頃で、イタリアのイムジチ、舘野泉さん、
藤井一興さんほか、世界ツアーに行くような演奏家の皆様と
コンサートや音楽祭を行う事ができ、とても貴重な経験をする事が
できました。



 

そんなある年イムジチメンバーが毎年伴奏者として、ヨーロッパ
各国の大学の教授やピアニストの方々を連れて来日されて
いました。

その中の1つエピソードとしてハノファー音大だったかハーグ音大
だったか忘れましたが、その頃小学校1年生だった私の生徒さん
(A子ちゃん)が、「ばら」という曲でピアニストからレッスンを受けました。

 

子供用のその可愛い曲を弾き終わると(バイエル80番程度)、
そんな簡単な曲にもかかわらず、その時のピアニストが通訳を通して、
「君には何色のバラが見えたかい?」と聞きました。

A子ちゃんは「黄色」と答えました。ピアニストの先生は「僕には
白いバラが見えたよ」と答え、「赤ならどう弾こう?」と尋ねて
レッスンは進んで行きました。
 

こんな事が違う年も違う生徒も、違うピアニストでも起こりました。
私は「日本と違うんだなあ」と強くい感じ、それからイメージする事を
心がけ、そのイメージに合った音が出るために練習する、という事を
考えるようになりました。

 

演奏する時緊張はしますが、毎日「間違えないための練習」をすると
「間違える」が脳に刷り込まれてしまい、そのために返って間違え
やすくなります。

音楽的にも自分の世界を想像&創造するための練習をすると、
良い音色、自分の世界、様々な音色が創れると感じています。
 

そして何より本番の時、その世界を創ろう、音にしようとするので
集中しやすく、より良い演奏になりやすいです。これは本当に
貴重な良い経験でした。