ジャズ界の巨匠チック・コリア氏が亡くなられて
いたのですね。知りませんでした。
残念です。生で聞いてみたかった。。
そのことを知ったのは先日のNHKのニュース。
たった2,3分の内容でしたが、とても濃い内容だったので
ここでご紹介したいと思います。
彼はこう話していました。
「練習には2つある」
「1つはうまくなりたいための練習」
「もう1つは自分を表現したいための練習」
これ、よく読んで下さい。
これを話した後、彼は練習を始めてしまいます。
ニュースの中のこのひとこまは、どこかの高校の吹奏楽部を、
チックコリア氏がネットでレッスンしている内容でした。
うまくなりたい、表現したい、どちらも自分の気持ちです。
~たい、がないといけないのです。練習はそのため。
そしてうまくなりたいと表現したいは何が違うか。
ピアノで言うなら、うまくなりたいはハノンやツェルニー。
速く指が動いたり、はっきり弾けたり、大きな音や小さな音が
たくさん出せたり。。
表現したいは「どう演奏するか」。これは日本人は苦手。
先日やはりお亡くなりになった田村正和さん。この方も大好きでした。
田村さんの「古畑任三郎」。この脚本は三谷幸喜さん。
脚本にはそれぞれのセリフやドアを強く蹴る、など全ての事は
書いてあります。
これは音楽で言うなら「楽譜」。
文字は音符、ト書きは強弱や音楽用語。
田村さんは古畑任三郎のイメージを、黒い服しか着ない、
考えている時はいつも人差し指でおでこを抑える、犯人を
追い詰める時はだんだん早口にする、など脚本には書かれ
ていないご自身のイメージを、たくさんつけて演技をされました。
これは楽器の演奏そのものです。
音符はセリフ。ト書きは音符以外の五線上の音楽用語。
チックコリアはこれを「自分が表現したいため」と言いました。
自分が何か感じ、それを音の上に、音符の上に付け加える。。
そしてそれを表すために練習するのであって、間違えてはいけない
ための練習ではない。言い換えれば全然間違えずに弾けても、
音符の上に「自分」を付け加えていない演奏はだめという事。
また練習はとても楽しいと、ネットでの先ほどの高校生との
レッスン中に、自分の練習を始めてしまったのです。
自分を表現するための練習=曲に自分のイメージをのせるための練習
私は長野でたくさんの演奏家を見て、生で演奏をたくさん聞いて、
まだまだ日本人にはこの「自分を表現する=曲に自分のイメージを加えて
演奏する」が足りないと思いました。
ジャズもクラシックもみな同じ。
チックコリアの偉大な言葉でした。
聞けて良かった❕