春を感じる日が続いて気持ち良いこのごろです。幼稚園や保育園、
小学校などで入学式を終え、初めて登園登校するお子さまを見送
られたお母様も多い事でしょう。
最初は「親子」で泣いて分かれたり(笑)、帰ってくるまで心配で
しんぱいで、たまらなかったりしますよね。
さてそんな新入学の時期を過ぎてやってくるのが「子供の日」です。
子供の日には「菖蒲湯に入る」と言われ、これは「邪気をはらう」
という意味があるそうです。
これを今流に置き換えると「ストレスをとる」にあたります。
新年度で新しい生活が始まり、5月5日ぐらいになると新生
活にも少し慣れ、どどっとストレスが出てくるというころで、
昔もきっと同じだったのでしょう。
そのストレスを昔は邪気と呼び、菖蒲湯に入ることで払った
んですね。今日はそんな今頃溜まりやすい「子供のストレス」
と、それをとるための音楽の感じ方です。
まず皆様に質問です。さっきまでの話とは関係ないようですが、
俗に人間にとって「頭が良い」とはどういう事でしょうか?
一般的には学校で「成績が良い」と思われがちですが、これは
左脳的に頭が良いという事です。しかし人間には右脳もあります。
「右脳的に頭が良い=本当に頭が良い」ということだと、私は
思っています。
例えば学校にろくに行っていないのに、とても社会で成功した
社長さんとか、何か今までになかったものを創りだした創始者
などは、誰かにものを習って成功したのではありません。自分で
気づいたり、発想した考えを形にできた人です。
繰り返しになりますが、学者でも科学者でもノーベル賞を取った
ような人は、「人の考えていなかった物、人の考えていなかった
発想」を生み出し、実際にそれらを人が使えるようにした人です。
そしてそれら考えの基礎となるのが右脳の働き、またその上に
のっかって勉強して成績が良くなる事は左脳の働きです。
右脳の働きは「感じる」「努力する」「前向きに考える」「発想する」
など、左脳の下支えになるものばかりです。そしてその下支えの
大元が「感じる」です。「もっと良くなりたい」と感じるから、
何かの行動に出るのです。
前が長くなりましたが、先ほどの5月に噴き出す子供のストレスを
とり、なおかつ「感じる」という感性を発達せるにはどうすれば
よいか。
そこで「こいのぼり」の歌が出てくるのです。
まずは歌ってみましょう。そして「歌詞」を感じてみてください。
♪こいのぼり
やねよりたかい こいのぼり おおきいまごいは おとうさん
ちいさいひごいは こどもたち おもしろそうに およいでる
みどりのかぜに さそわれて ひらひらはためく ふきながし
くるくるまわる かざぐるま おもしろそうに およいでる
さああなたはこの歌から何を感じましたか?
分かりやすくお話しするなら、「この歌の絵を描いて」と言わ
れたらどんな絵を描くでしょうか?
大抵描かれる絵は、こいのぼりが青空に泳いでいる絵ではない
でしょうか。その絵の中にあるものはこいのぼり、青空、そして
「風」なのです。
こいのぼりが泳いでいる=風が吹いている=5月の気持ちいい
自然=風ではないでしょうか。もちろん晴天も、青空も気持ち
良いですが、こいのぼりのコイが直接表現しているのが「風」
です。
こいのぼりから心地よい風を感じる、または心地よい風を感じる
ためにこいのぼりを歌う、という事が重要なのです。
お子様とこの歌を歌う時、「屋根より高い所だから高くて気持ち
良いね」「面白そうに泳ぐのはなぜ?」と話しかけてあげましょう。
この事から子供達は「風」を感じ、五感が刺激されます。
風の肌さわり感、風の温度、空の広さ、空の青さ、髪の毛が揺れる
感じ、これらの共通点は全て「気持ち良い」です。
幼稚園などでよく見かけるように、「大声で怒鳴るように歌う」
のではなく、幼いうちから「良い声で」「美しく」「やさしく」、
そして「お歌に書いてあることを感じてごらん」と導いてあ
げましょう。
この時お母様も一緒に「気持ち良い風が吹いているね」「お花の
良い香りがするね」など、ご自身の5感にも刺激を与え、風を
感じましょう。
自然に触れることはストレスをとることに大きく影響します。
大きな木の下に行くと「ほっと」したり、美しい川のそばに
立つとゆったりするのは、人間のDNAの中に「自然の思い出」
があるからなのです。
大きな木は人間のDNAの中に「森の記憶」があり、それら自然は
安らぎを導く「F分の1」のゆらぎがあるからです。
この歌詞の2番の「みどりのかぜに さそわれて ひらひらはため
く ふきながし」などは風そのものを歌っています。
今月はこの歌でお子様と一緒に「どんな風だろう?」と、空想の
しあいっこを親子でやってみてください。