本日付の読売新聞

「必要な存在」に涙








両親は3歳の時に離婚
祖母と古い一軒家に母と妹と四人暮らしの少年

6年生の時に母が出ていき

祖母のアルバイトと年金で生活を支えてきたが生活は厳しくなり

夕食はご飯と味噌汁におかずが1品

うさをはらすように万引きやけんかをしていた

高校に上がる頃からガソリンスタンドでバイトを始め
接し方がわからず「ありがとう」と言う客に返事をしないでいると
「礼儀をつくせ」としかられる

「常識を覚えろ」と繰り返す店長に父親を感じ始めた頃

上級生を殴り鑑別所に

少年院送致をされてもおかしくはなかったが保護観察処分

店長の嘆願書のおかげ

嘆願書は店長の直筆で

「額に汗して働き、お客様にも可愛がられ、会社にとって不可欠、必要な存在です。
必ず更生できると信じています」



嘆願書を出したら店長は中学の時に父親を亡くしていた

家の仕事を手伝うために高校を諦め、近所の知人からお米や野菜を分けてもらっての暮らしをしていた

店で働き出した少年が親に見捨てられ貧しさの中にあることを知り、かつての自分の姿と重ねて見ていた

万引きをした過去も知ってはいたが少年が仕事中に「人の役に立って気持ちがいいですね」と言って浮かべた笑顔は本物だと感じ、「この子を信じよう」と思った

少年は審判の翌日からバイトに出た
高校をやめ、無遅刻、無欠勤で働いている

給料を5万円ずつ貯めて上級生の治療費の支払いも終えた

「信じてくれた店長に恩返しするためにも、自分と家族に責任が持てる大人になる」と誓う

店長は隣に座る少年の肩を抱きながら語った
「もし、また道を踏み外しても、私はこの子を信じる。そんな大人が一人でも多くなれば、救われる子供も増えるんじゃないかな」