人間ほど活発に動き回る哺乳動物はいない | 中村祐介 オフィシャルブログ 「中村祐介のユーマネーダイアリー」 Powered by Ameba

人間ほど活発に動き回る哺乳動物はいない

ナショナル ジオグラフィック125周年特別号が発売されています。この中の表紙、開くとまた表紙がでてきます。そんな表紙が中に4つ。

「野生の楽園 WILDEST」
「微小な世界 SMALLEST」
「地球の頂点 HIGHEST」
「未知の深海 DEEPEST」

「終わりなき 探求の旅路」「限界への挑戦」と銘打つ、本号はまさに記念すべき一冊。創刊当時にナショナル ジオグラフィックが作成した世界地図と、現在のナショナル ジオグラフィックが作成した世界地図が裏表にプリントされた地図が付録でついてきます。

さすがに特別号だけあって、読み応えがあるのですが、中でも僕が感銘を受けたのはサイエンスライターのデビッド・ドブズがが書いた「落ち着きのない遺伝子」です。人類は役6万年前にアフリカを出て以来、未知の領域にあえて挑戦し、未踏の陸地を発見し、新たな可能性を追求してきました。それは今なお続く人類の物語です。

「落ち着きのない遺伝子」では、こうした人類の「尋常ならざる探求心」の源について探ります。


「これほど活発に動き回る哺乳動物はほかにいません」と語るのは、ドイツのライプチヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボだ。彼は遺伝学の立場から、人類の起源を探っている。「今いる場所でも十分生きていけるのに、境界を乗り越え、新天地を目指す。ほかの動物はこんなことはしません。同じ人類でも、ネアンデルタール人は10万年以上繁栄しましたが、世界各地に広がったわけではありません。ところが私たち現生人類(ホモ・サピエンス)は、たった5万年で世界中に広がりました。ある意味、尋常ではありませんよ。何が待ち受けているかわからないのに大海原へ船を進め、さらに火星にまで行こうという勢いです。私たちは決して立ち止まらない。これは、なぜでしょう?」——p61,落ち着きのない遺伝子


この謎を解く鍵として、ドーパミンD4受容体の遺伝子DRD4。およそ20%の人が持っているDRD4-7R遺伝子は好奇心や落ち着きのなさと結びつけられる。この遺伝子を持つ人たちは、知らない場所に行きたがり、新しい考えや珍しい食べ物や薬物に飛びつき、人間関係にも新しさを求める。

面白いのは、この遺伝子を持つ人は遊牧生活では持たない人よりも体力や栄養状態が良好な傾向にあるのに対し、定住生活においては、栄養状態が相対的に低くなったそうです。つまり、変化の激しい環境では活躍し、安定した暮らしでは精彩を欠く。

もちろん、この遺伝子がすべて原因というわけではないですが、あくまでそうしたレポートもあるという意味で、興味深いと思いませんか? 確かに不安定な場で強さを発揮する人と、安定した場で強さを発揮する人は、違う個性を感じられることが多いはず。この遺伝子研究を含めた内容が、今後のマネジメントや組織経営にも活かされるなんてことがあったら面白いと個人的には思います。



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