緑のカーテンの元祖がここに。「自分のためのエコロジー」 | 中村祐介 オフィシャルブログ 「中村祐介のユーマネーダイアリー」 Powered by Ameba

緑のカーテンの元祖がここに。「自分のためのエコロジー」

夏の節電対策として、ベランダなどで植物を育てて日除けにする「緑のカーテン」が人気だ。ゴーヤやヘチマ、キュウリといった成長性の早いツル性植物が飛ぶように売れているそうだ。

この「緑のカーテン」をいちはやく考え、導入したのが著者だ。本書の初版は2006年と5年前だが、著者が住み、「緑のカーテン」が通年存在する世田谷「経堂の杜」はもっと古くから存在する。

「緑のカーテン」の魅力は、輻射熱の影響を防ぐことだ。家のまわりにある表面温度が高いもの。たとえばコンクリートやバルコニーの床などからは、輻射熱が放射され、その熱は家の中に飛び込んでくる。

『多くの皆さんは、「夏は気温が30度を超えるから暑い」と思っているでしょう。でも、そうではなくて、実際は60度、70度という空気よりずっと高温のものがそばにあって、その熱が自分に放射されているために暑いのです。ですから、暑さの原因を絶つには、この放射熱を断ってしまうことが重要です』(P58「暑さ寒さの正体がわかればここまでできる!」)

こうした熱を防ぐのに日本は古来から簾を用いてきた。でも、それよりももっと涼しいのが緑の日陰、「緑のカーテン」なのだ。

簾と緑の違いは、「水」にある。植物は根から水を吸い上げているので、その葉っぱは常に濡れている。陽が当たれば当たるほど植物は地下水を汲み上げて、葉っぱから水を蒸発させる。そうすころで葉っぱの温度は一定の保たれ、輻射熱を防ぐ役割を果たす。

さらなる「緑のカーテン」の夜の活用法を含む知見の数々は本書を読んでもらうとして、エコの考え方について、ここでもふれよう。

中村も「ワールドシフト WorldShift」の戦略ボードに加わっていることもあり、エコについてはいろいろと考えていることがある。でも、なかなかそのことについて言及することはできなかった。

もともと自分も含む生活者一人ひとりの心をどう動かすかという、コミュニケーションの設計を長らくやっていた手前、「自分ごとにならないと動かない」と思っていたからだ。

本書では、この考えを「エゴから始めないと広がらない」と書いている。自分たちの損得を考えた上で、外側に働きかける。つまり、利害をベースにエコについて調整をしていくことが、浸透への近道と考えている。なるほど、性善説にのっとる部分は多少あるかもしれないけど、納得できる。



自分のためのエコロジー (ちくまプリマー新書)/甲斐 徹郎

¥735
Amazon.co.jp