2006年1月20日(金曜日)朝刊、読売新聞に中村のコラムが掲載されました。
読売新聞コラム

国や自治体を挙げて地震に強い住宅づくりを

以下前文

◎前文
 これからも大きな地震が予想されるのに、まだすべての住宅が頑強だとは言えない。シリーズ最終回は、「人命を守るためには倒壊しない家を、財産を守るためには損傷しない家を目指して、もっと耐震改修工事を進めていかなければ」と話す日本プランニング一級建築士事務所代表の建築家、中村一幸氏に話を聞いた。

◎本文
●年々進んできた耐震工法

何度も大きな地震を経験してきただけに、わが国では耐震性に関する研究が進んだ。法律も改正され、1981年には旧来の耐震基準を見直して「新耐震基準」が打ち出された。1995年の阪神・淡路大震災以降、地震に強い建築工法の開発が進んでいる。

主には「耐震構造」「免震構造」「制震構造」が挙げられる。
 耐震構造は、構造材を頑強にすることで、ふんばって地震の揺れにもちこたえるもの。木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などで広く採用され、コストはそれほど高くないが、巨大な地震の際には建物や家具の被害が大きくなることも。

 免震構造は、建物の下に免震層をつくり、建物に伝わる揺れの大きさを地震力の5分の1程度に軽減させるもの。家具の転倒や移動も減らすことができる。

が、軟弱な地盤や液状化地盤では不向きで、敷地の四方に一定の空きがないと施工できないため、密集地や狭小地ではつくりにくい。建築コストも300万円から400万円ほど高くなる。

 制震構造は、建物の中に設置する制震ダンパーに地震の揺れを集めるもの。ダンパーは変形するが、建物の機能は確保でき、地震力を30%から40%ほど軽減する。コストも100万円前後と比較的リーズナブル。ただし、地震の後にダンパーを交換する場合には、改修費用が必要だ。

●建物と地盤の組み合わせも重要

 地震に強い住宅にすればするほど安心感は強まるが、その分、建築コストは上がる。耐震化とは、安全性とコストをどうはかりにかけるかの問題でもある。

住宅性能表示による耐震性の等級を上げれば、耐震性能は1・25倍、1・5倍へと上がるから、予算と照らし合わせ、どのレベルにするか選ぶ。選択を間違えないためには、「地震の仕組みをよく理解し、きちんと安全とコストの考え方を説明できる建築士や施工会社を選ぶことが大切」と中村さんは話す。

 地震が起きると地盤が揺れ、建物に揺れが伝わる。地盤と建物の相性によっても、揺れ方や被害が異なってくるという。建物は構造によって、もっとも大きく揺れる「固有周期」が異なる。

やわらかい建物は揺れやすいから周期は長く、堅い建物は短い。地盤にも、地震の揺れが行って戻るまでの「卓越周期」がある。やわらかい地盤は周期が長く、堅い地盤では短い。「建物の固有周期と地盤の卓越周期がほぼ同じになった時、建物が大きく壊れることがわかりました。

関東大震災の時、木造住宅は下町で多く壊れ、土蔵は山の手で多く壊れました。やわらかい建物とやわらかい地盤、堅い建物と堅い地盤の組み合わせが被害を大きくしたのです」。そんな特徴を知った上で、地盤の改良や建築工法を決めないといけない。
320耐震試験 3

●耐震化改修工事への支援と啓発を

 一昨年の新潟中越地震では木造家屋に被害が多かったことから、木造住宅の耐震診断と補強方法が見直され、今年から「改正耐震改修促進法」が施行される。国は建築物の耐震化率を今後10年で90%に引き上げることを目標にしている。
 それだけ耐震改修工事が遅れているとも言える。「阪神大震災後の神戸市で、耐震改修が必要とされる8万8000棟のうち、この10年間で工事が進んだのはわずかに約100棟程度」と中村さん。

国土交通省によると、現在の住宅の耐震化率は約75%で、住宅ストック約4700万戸のうち約1150万戸に耐震性への不安があるという。このままでは、東海大地震や東南海・南海大地震が発生した時には多くの死亡者を出す予想も。
 工事にかかる費用も耐震改修を遅らせている要因の一つだ。「兵庫県の実績では1棟あたりの耐震化の平均工事金額は約200万円でした」と中村さん。住居で暮らしながら耐震補強工事を行うのも容易ではない。

「室内を美しくするためのリフォームも大切ですが、いつ地震がおきてもおかしくない時期なのだから、命を守る住まいの耐震化工事を優先した方がいい」と中村さんは指摘する。

改修工事にかかる費用への財政支援 や、国や自治体を挙げての啓発活動がもっと必要だろう。

 一方、独自の取り組みをしている自治体もある。静岡県は、東海地震を想定して住宅の倒壊による圧死者をゼロにすることを目標に「TOKAI 0(ゼロ)」事業を開始。耐震診断、補強、それらへの補助、人材の養成などを進めてきた。補助金は少ないが、国が定めた耐震化のための改修工法とは別の工法も広く紹介した。そのため、この3年間で約3900棟もの耐震改修がおこなわれた。

 横浜市でも、耐震診断の総合評価が0.7未満(危険)と判定された住宅に対し、上限500万円の耐震改修工事の一部を助成している。「自治体が耐震化に意欲的になり、国が耐震改修に有効でコストを抑えられる新しい工法に対して認証する必要があるでしょうね」と中村さんは話す。

 中古住宅を購入する時にも、耐震診断をした住宅か、耐震性能はどうか必ず聞くようにするといい。人命と財産を守るためにどんな建物を選ぶか、いわば安全と安心を手に入れるための知恵が問われている。
2006年1月21日(土)朝刊、産経新聞に「建築家10人展」のコラム
建築家

建築不信に答える。

2006年1月21日(土)朝刊、産経新聞に「建築家10人展」のコラムが掲載されました。
以下全文

「オープンシステム」と呼ばれる方式で住宅建築を進めている関西の十人の建築家が、このほど大阪市内で、同システムの特長をアピールする建築展示会を開催した。

一般的に個人が家を建てるさいには、ハウスメーカ―や工務店などの元請に設計と施工を依頼する。

元請は、基礎工事や木工事、屋根、外壁、内装など、それぞれ下請に出し、実際の工事は下請けの専門業者が行う。

これに対してオープンシステムでは、工務店などの元請を通さずに、施主が建築家のアドバイスを受けながら、各専門業者と直接契約を結んで建設を進める方式だ。

これにより、多重請負によるコストアップを防ぎ、施主の思いを細かい部分まで反映できるのがメリットという。

今回、オープンシステムの建築家が共同で展示会を開いたのは、耐震偽装問題で揺らいでいる住宅建築への信頼を取り戻そうという意図から。

会場には、基礎を鉄筋でなく鉄骨で作り、上部構造と一体化させて耐震性を向上させる取り組みや、家の素材となる樹木の伐採から監理する取り組みなど、意欲的な試みが紹介されていた。

もちろん、建築家に悪意や過失があれば、同システムによっても欠陥住宅は造られる。

しかし、施主から見てコストの透明性が高く、また任せきりでないこのシステムは、安全性が高いといえるだろう。

施主自ら決定し、契約を結ぶオープンシステムは、施主た“勉強”を要求する。その意味で“自己責任”時代にふさわしい方式なのかもしれない。

自己責任というのは面倒なものだが、一生に一度の住宅建設であれば、結構楽しめるのではないか、と思ったりする。(ふ)

昨年末におきました構造計算書偽造事件は「住」の安全に深い疑問をなげかけました。


建築業界で活躍する全ての人が、某建築士、某コンサル、某ゼネコン、某デベロッパーと同じ項目でくくられ、日々切磋琢磨し頑張っている大方の建築業界人が、不信の目で見られ大変残念な思いをいたしました。


そのような中で、社会の一辺をにない「住」の安全はもとより品質向上や建築業界の体質改善・よりユーザーにみじかな家造りを実践し、凛とした建築家倫理をもって、建築業界、現場にのぞんでいる人たちが大勢存在します。


今回は、そのような建築家グループの日々の働く姿を通して完成した住宅、住宅づくりを見てもらう展示会をご案内します。


「建築家10人展」 住まいの安全を守る現場に建築家あり


■「建築家10人展」住の安全を守る現場に建築家あり

■ 2006年1月13日(金)~1月17日(火) 場所(キャナル長堀)

■ 時間:11:00~19:00
  最終日は17:30まで
 
■ 会場:gallery キャナル長堀
  
■ 〒542-0083 大阪市中央区東心斎橋1-11-14
        TEL&FAX:06-6251-6198
20060113建築家展 耐震現場

日本建築家協会(JIA)の登録建築家規定に、設計監理者と施工者の職業分離の規定があります。


「建築設計事務所をやりながら、工務店などの建設業をしてはいけない」

http://www.jia.or.jp/qualify/qualif_arch/index.html


すなわち、建物を設計する人(設計者)、それを設計図どおりできているか監理する人(監理者)、工事をする人(施工者)、の中で設計監理者と施工者を職業として兼用しはならないという規定です。


本来、職責職能として分かれていないといけない所が、職とし一諸にやるとチェック機能が働かないという主張からです。


この様な観点で今回の事件をみますと、シノケン、ヒューザー、木村建設などは、設計事務所でありながら施工業者でもあり、これらを企画開発した建築主でもあります。事件の背景を考えると社会的責任を問われても仕方がありません。


また問題の姉歯一級建築士は、この仕組みの中で下請構造設計事務所として関与していたと思われます。事件の解明が急がれます。


ここで倫理の問題として職業観の整理、すなわち何のために働くか?をもう一度職業人として考えてみましょう。


職業観は人によって、色々とありますが、自己保存的職業観(自分が生きる為に働く)や種族保存的職業観(女房子供を養う為だけに働く)、欲望満足的職業観(欲しい物、やりたい、遊びたい事があるから働く)の方がとても多いと思います。


これらは働く事を労働と考え、「ただお金がほしいから働く」という考えです。


そこで職業人として、お金は必要でしょうが、「それぞれが専問の分野で知識と技術と真心をもって、人の世の為、私はこの職業で、社会のこの部分をにないます」という個々の誇り・存在意義・価値のある職業観をしっかりと持つことも、必要ではないでしょうか。(社会的職業観)


なぜなら、我々一人一人は多くの人々の「力」をかりて生かされ、活きて、社会に存在していると思うからです。


最近は、この様な職業観をもった人は、私の様にシーラカンス的存在となっているのでしょうか。


私は建築家として恥かしくない、いい仕事をこれまでも、これからもやっていこうと思います。凛として!


320耐震改修

穂積邸中庭から


私の事務所を訪ねて来られるクライアントの方に最初にお尋ねし、お話しする事があります。


「どうして、家を建てられようと思われたのですか」 と、いきなり大きなキィワードで私が問いかけるものですから、たいていのクライアントは、少しとまどわれた表情から、建てるに至った諸条件をおもむろに、話されはじめます。


子供が大きくなって手狭になってきたから、家が古くいたみがひどくなってきたから、昼間でも暗くて寒いから、地震が心配だから、定年退職後の終の家をつくりたいからとか、


建てるに至った諸条件は、クライアントの数程ありますが、全てお聞きします。


これらの諸条件を、ひととおりお聞した後に、家を建てる為の最大の目的を整理しお話しいたします。


すなわち家を建てる最大の目的は、 当たり前のことですが「いい家を、より幸せになる為につくる事である」と確認させてもらいます。


そこで、いい家をより幸せになる為に実現させる5ッの原則について、お話しします。


1. 予算の設計がしっかりできる事→お金でつまづくと、幸せが遠のきます         (資金計画)


2. 信頼できる相性の良い、経験豊富な建築家 (設計士、営業マン、経験の浅い建築士でもなく) を選ぶ            

                →人でつまづくと、幸せが遠のきます              (人選人事計画) 

  ※出版されている本、プロフィールがあれば経歴を見て、法学部、経済学部等の出身でない方を選ぶ 

                               

3. トーメイ性の高い建設システム(建設方法)でつくる事          

    →無駄な費用が多くなり選択巾が狭まり、幸せが遠のきます  (コンストラクションマネージメント)

    ※建設システムには、上記以外に一式請負型、ハウスメーカー型があります

4. その人、その家族に基ずいた住まいの設計をする事        

  →住み方ででつまづくと他人の家になり、幸せが遠のきます   (その家族のためのソフトをデザイン)

   ※住まいは、人が颯爽はつらつと活きる為、生活を楽しむ為、休息する為にあります


5. 構造工法、断熱気密換気、音、採光、風通、室内環境、湿気対策、防犯等の物的条件をバランスよく

  整理解決する事                                   

   →基本性能が悪いと快適さがなくなり、幸せが遠のきます。   (シェルターの性能デザイン化)


上記の5ツの原則と、けっしてつくる側の一方的な論理、営業トークで家づくりをしない事、いい家の設計図はクライアントの頭の中にある事をお話します。


頭の中に貧しい家のイメージしかないと、決していい家は実現しません。


次は「いい家」とは、その2を書きます


穂積邸










1979年第31回建築学会作品賞に輝いた、住吉の長屋の安藤忠雄さんと、松川ボックスの宮脇檀さんが同時に、この年、住宅をテーマにして受賞された。


凛として、外部とのつながりをたった住吉の長家と、地域とのつながりを模索した松川ボックス。


この2ツの家は共通して中庭がありますが、外部とのかかわりはとても対照的です。


人が主の「住まい」を考える時、「いい家とは」の答が、今はなき宮脇さんの松川ボックスの中庭にヒントがあるように思える。


まつかわボックス


住吉の長屋



住吉の長屋


安藤さんの住宅


2005年10月9日、住吉大社の近くを散歩中見かけた鉄筋コンクリート造の不思儀な住まい。


前の道路は狭く、建売住宅のたてこんだ場所に建っていた。


採光、通風、断熱結露、居住性、駐輪、駐車、地域とのかかわり、いっさいを無視するように建っていた。


まわりを圧倒するような、凛とした姿、美しい・・・・


未熟な私には、まだまだ理解できない住まいだ ! 



20050902産経

産経新聞の見開き一ページを使って 、オープンシステムの『価格の見える家づくり』が掲載された。


(以下掲載記事より)



「オープンシステム」の利用者の中心は三十歳代。この層は、「団塊の・世代」の子供たちの「団塊ジュニア世代」に当たる。

自分のライフスタイルにこだわりをもつこの世代は「戸建て志向」が強く、家にも「自分らしさ」を求める。オープンシステムの利用者が多いのも、この方式を活用した家づくりが、自分の意思を反映させやすいからのようだ。