「敗者の条件」   会田雄次著   中公文庫


 敗者の条件とはいかにもユニークなタイトルではないか。同作者による「勝者の条件」という作品は有名だが、この「敗者の条件」という方が面白い。


 1965年、高度成長時代に書かれた著作であるため、現代とはいささかの感覚的なズレがあるが、書かれていることの本質は変わらないだろう。


 負ける者は、その能力や性質によるのではない、その物の考え方や物事のとらえ方の大本に敗因が潜んでいるのだ。

 すべての局面のうち、ここ一番の重要な場面で、正しい判断や行動ができないために必然的に負けていくのだ。


 ある意味で、とても考えさせられる一冊だ。