前回にブログで書いた「穀物高騰」を人口問題にからめて、とある政治関係者と話していたら、彼はこのテーマについて怪訝そうしていた挙句に、「世界的な人口問題なんて、現在の私たちの生活には関係ありませんよ、第一にそんなことを考えていても金にもなりませんし」と捨て台詞を吐いていった。


 私はあきれてモノも言えなかった。あまりにも愚かなので、あえて反論などしなかったが、本当はこう言いたかった。

 「生活に関係ないだと、金にもならないだと、お前はバカか、金が欲しいのなら、こんなチャンスはめったにないはずだ!」


 この話をしたのが今月の初め頃、その時にはコーンも東京市場では22000円そこそこだった。それから一か月足らずで29000円まで値上がりしたのだ。

 もし商品先物市場で買っておけば、たった1枚でも30万円以上の利益になったのに。100万円の投資がゆうに500万円以上にはなったのだ。まさに5倍だ。(商品先物はレバレッジが高く、様々なテクニカル、内部要因、資金配分など多くの要因が複雑にからむので、素人が手を出すと思わぬやけどをおうこともあるが、今回のような場合はたとえ素人でも5倍とはいかずとも2倍くらいは楽に狙えるチャンスであった)


 だいたい「商品先物」といえば、多くの人々にとっては「ナニワの金融道」に出てくるような、怪しく危ない世界との印象がある。たしかに「赤いダイア」(小豆相場)という言葉もあるように、多くはギラギラした投機相場の世界と思われていることも事実である。しかしこれは本来の市場の存在目的とはかけ離れた、歪曲された異質の側面である。

 元来、商品先物市場とは、一攫千金を狙う連中の投機の場ではなく、生産者および消費者のリスクヘッジの場である。将来におけるリスクを現時点で軽減するための手段のひとつである。

 たとえば、日常的に乗用車を活用している者にとって、原油価格の高騰によるガソリンの値上がりは、直接的に自分の生活を圧迫する要因となる。そんな時にはガソリン市場において、小単位で先物の買いを入れておくことが良い。

 将来、たとえガソリンが値上がりしても、先物市場で買ったガソリンの利益で補うことができる。逆にガソリンが値下がりしたら、先物市場では損失が出るが、毎日の生活で購入するガソリンに費やすお金は減っているので帳尻が合うというわけだ。

 そして原材料の値上がりが最終消費財に転嫁されるまでには時間的なズレがあり、値上がりは反映されやすく値下がりは反映されにくいので、この場合でも「売り」よりも「買い」で入る方が賢明である。

 この理屈、納得していただけたであろうか。


 どのようなモノにも表と裏がある。正しい表の方をきちんと認識していこう。「アイスピック」はバーテンダーにとっては、氷を上手に砕くたねには必要不可欠な道具だが、犯罪者にとっては「人を殺すための凶器」にもなりうるのだ。

 システムに関しても同様である。これをうまく使いこなすインテリジェンスこそ、一番に大切なものだ。