今日は嵐だ。生暖かい真夏の大気、風の怒る声が、静かな室内にまで伝わってくる。力強く、重い潮のような情念が、不安定な夏の期待が、平穏な都市の昼に浸透していく。嵐の時は、感じることが多い。そんなことをつらつら思いながら時間を過ごしていたら、ある映画を思いだした。



 「夏の嵐」  ルキノ・ヴィスコンティ監督


 ヴィスコンティ監督の映画は、有名な「ヴェニスの死す」もそうだが、とにかく映像が美しい。どのシーンもカットして、ピンナップとして部屋に飾りたいほどだ。

 特に、この作品は映像から拡がるイメージが幅広い。濃い空気、通りの匂い、湿った風までも、感じさせてくれる。私の好きな素晴らしい作品だ。