ウォールストリート紙の記者だったラッファー氏が考案した、経済学の基礎的な理論が「ラッファー曲線」である。これは「税収」と「税率」との関係を表したものであり、「税率が0%ならば当然税収はゼロになり、また税率が100%になれば、誰も働こうとはせず同じように税収はゼロになる」「国家にとって、最高の税収を見込める税率は、0%から100%の間のどこかに存在する」というものである。


 何を当たり前のことを言ってるのかと思われる方も多いでしょう。しかし、現在のように増税の議論が巻き起こっている時には重要な概念と言えます。

 税収増にとって最適の税率というものがシュミレーションで存在する以上、やみくもに税率を上げる(増税する)ことが、結果的には税収増には結びつかないということが言えます。

 結果としての税収増が大切であって、単純に税率を上げれば良いというわけではありません。


 たとえば、新宿区における「たばこ税」を例にあげましょう。かつては新宿区のたばこ税による税収は60億円」以上ありました。現在は40億円強です。税収は減少しました。

 しかし、この間、たばこ税の税率は上がっています。これに連動してたばこ自体の値段も上がっています。そしてこのため人々は禁煙するなどして、たばこ人口も減少して、たばこの売上が減っていったわけです。これに合わせて、全体としてのたばこ税による税収が減少することになるわけです。

 たばこ税の減収については、たとえ税収が減っても人々の健康が増進されるなどのプラスの面がありますが、単なる消費税などの場合は、いくらやみくもに税率を上げても、結果として税収が増えなければ(長いスパンで考えても)意味がありません。

 つまり、税率を上げて(増税を断行して)、景気自体を冷やしてしまえば、全体として税収は伸びず、結果として意味のないことになりかねません。