Apr. 06, 2024
【金原ひとみ著/河出書房新社】
堂々と不倫しながらも、頼りがいがあって憎めない母。
すったもんだの後母の行動を黙認して普通に暮らす不可解な父。
スマホでの省略語が実際の会話にも浸食したような女子中学生
たちの今風言葉が、おじさんの頭にこれでもかという勢いで降
り注ぐ。
悩みと無縁のような陽気な少女たちにも、自力では対処できない
厄介ごとが現れて、それぞれの焦燥感が伝わってくる。
青春小説のような設定だが、母娘や友人たちとの会話には奥行き
が感じられる場面があって、作家の力量を垣間見ることができる。