Jan. 24, 2024
【コルソン・ホワイトヘッド著/早川書房】
20世紀半ばのニューヨーク。
ハーレムの一角で中古家具店を営むカーニー。
表の顔とは別に盗品の処分にも手を付けている。
亡くなった父は犯罪に手を染め続けたならず者で、
仲よく育った従弟のフレディは、正業に就かず怪しげな
輩と付き合っている。
そんな従弟が強盗団に加わって、盗品の処分役にカーニーの
名をあげたという軽はずみな言動から、カーニーは予想外の
犯罪事件に巻き込まれていく。
小説は、1959年、1961年、1964年に起こった3つの事件で
構成されていて、カーニーの裏の顔が徐々に深みを帯びていく。
「地下鉄道」や「ニッケル・ボーイズ」のような重苦しさとは
対照的に、エンターテインメント作品としても楽しめるのだが、
米国社会での黒人たちの行きづらさは十分に伝わってくる。
読み始める前は、目を背けたくなるような残酷なシーンが出てく
るのかと気重だったが、そうでもなくてホッとしながら読んだ。