《記憶に蓋をするのは勿体無いよ》

 (夏夜のマジック/indigo la Endから) 


そうだよね


確かに。


酸いも甘いも人生を彩る味だよね 


でも


繊細過ぎる私には この記憶と感情は


少し強すぎるんだよ、解るだろ? フラン。 




私は


心が動いた出来事は忘れない。



保育園でお昼寝の部屋を抜け出して

遊び場の押し入れを開けたら

キティちゃんのぬいぐるみが降ってきて

怖かった2歳 


帰りの会を抜け出して先生に探されたかった

けど誰にも探されずに

悲しい気持ちになった4歳 


学校で万引きが流行って、

やらないといじめられそうな雰囲気の中

ポケットに入れたゼリーの紫と水色。 


それを見つけて怒鳴る駄菓子屋のじいちゃん。 

「この子達はいいこだからそんなことしないよ


手に持ちきれないだけ ちゃんとレジに並べるよ」 

そう言って、信じてなだめてくれた

駄菓子屋のばあちゃん。 


そのお陰で もう悪い事はしないと誓った

小2の夏。 



 全部、全部覚えてる。



でも、君の事だけは___。





前回どこまで話したっけ? 


そうそう、Twitterで知り合ったフランと

初めて会って、お店に来るまでだよね。


📎おはうよ、三代目エース 第一章 リンク


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フランって名前を想い出すだけで


まだ脳がチカチカする。


ポリゴンショックを浴びた後みたいだ。

 (わからない人は調べてね #ポリゴンショック) 


想い出すと、心臓が痛くなる 


会うたびに髪色が変わる小柄な君の姿


ガラスの破片を飲み込んだみたい__。 




前回のつづき。 


初めてお店に来てから何日か経った休みの日_


ご飯に行ったあと


都内のちょっと田舎の方のホテルに行ったよね 


壁が茶色っぽくて、看板が紫かな? 


なんでホテル? 


って思うかもしれないけど


僕は二人きりの空間でゆっくり


深い話をしたりして関係性を築くのが好きなんだ。 


自分をさらけ出したりね。 



で、当時の私の夢や理想を話した。


嘘はついてない


僕は、 

僕と関わってくれる人達が本当に好きだから


出来るだけ一緒に、幸せに暮らしたい


という理想と崇高な未来設定があった。


大きい豪華で贅沢な洋城のような宿泊施設。

建物内にはシアタールームや図書室


カフェもや水槽も併設して、 

僕の囲いたい人達と一緒に生活できて


働きたい人が居ればそこで働ける。 

遊びたい人は遊べる。理想の宿泊施設。


僕の"城"だ。 


その理想を実現するために、 

僕は今ホストをやっていて


売上も応援して貰ってるし貯金もしている。


もちろん、"お城"を作ったときには


着いてきてくれたお客様には


招待券や宿泊無料や割引などの

リターンを渡すつもり。応援に応じたね。 


そんな恐ろしく巨大な理想を包み隠さず


建物の内装など細部に至るまで話し、伝えた。


君はニコニコ嬉しそうに、そして真剣に


僕の話をうんうんと聞いていた。


僕 

『ふぅ、疲れた、お風呂に入るね…』 


 フラン

 「はい」 


 『いっしょに入る??』


 「いっ、良いんですか!?!?」 


 『いやならいいけど笑』


 「いいえ、こんなに嬉しい事は無いです。」


 《こんなに嬉しい事は無いです。》 


 この言葉はこの先数十年は忘れられないだろう


僕がバスタブに浸かっている浴室に


君はバスタオルを巻いて入ってきた。 


嬉しさと恥ずかしさでタジタジしている姿

紫の髪 


 『そのままじゃ入れないよ』 


 「はい」 


バスタオルをほどいた姿


君は両腕で身体を隠すように歩き


シャワーの下に縮こまって軽く身体を流したあと


僕に背中向きで湯船に入った


溢れるお湯。花の香りの薄い紫色。 


 『こっち向かないと見えないよ。顔。笑』


 「…」 


 『顔見て話さなくていいの?』


 君は一度立ち上がって両手で顔を隠し

僕の方を向いて入り直した。 


 「恥ずかしい…」


 『隠すなら身体じゃないの?普通。笑』 


 君は更に顔を隠した…


君があまりにも話さないし顔を隠したまま進まないからか


僕は鼻歌を歌っていた。


お風呂って程よくエコーがかかって


歌うの気持ちよくない?


君は気づいたら顔から手を下ろし


私の鼻歌を嬉しそうに聴いてくれていた__


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何を歌っていたかだけ思い出せない 

鼻歌って、無意識に出ているものだから 

記憶に刻まれていないのかもしれない。

もし思い出したらいつかこの日記に 

追記しよう 


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 バスルームから出た二つの影は


重力に引き寄せられるようにベッドへ。


木から落ちる林檎


流れに任せれば交ざっていく影。 


僕はそして君と初めて繋がっている途中から


右の壁をただじっと見つめた


お洒落な北欧風の街灯のような間接照明を


ただじっと見た。


 フラン

「どうしたの…?」 

『ん…?なにが…??』 


 「さっきから壁ばっかり…」 


 『ああ…』


 「…良くなかったですか???」


『ううん。良い時間だから覚えていたいな、

 と思って』 


 「…」 


 『この瞬間を全て記憶しようと思ったんだ。』


 「そう…なんですか…」


 『そう、僕が物をそのまま記録したいとき、 

 関連する何かを見つめてから…


 とにかく今の時間をそのまま記憶するために

 あの照明を見ていたんだよ

 フランの顔を見た方がいい?』 


 「いいえ、

 覚えていて下さったら嬉しいです。私の事を」




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君は、 

「覚えて下さったら嬉しい」ではなく 

「覚えていて下さったら嬉しい」と言った

未来まで見えてたのかな

そんな君の繊細な言葉遣いが 

私にとって魔法となり いつか呪いになっていく


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『もう記録したから大丈夫だよ。』 


そこからは君の顔を見て… 


時間を溶かしていく__


 … 


 ……… 


 ……………二人で横になった。


宇宙に放り出されたように


世界に二人しかない。 


 「…なんで私なんですか」 


 『わからない。気づいたらここにいた』 


 「他にもいっぱい居るのに…」 


 『…』 


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私は当時、新店とはいえ、 


全歴代ホスト年間売上No.1に数えられる

規格外の社長、"草摩由希さん" がNo.1


その次に僕が


売上も本数もお客様数もほぼ毎月トップの

"次世代No.1"だった。 


強い(強い?)お客様も何人か目立ちはじめて

抱える(指名して下さる)お客様の数も増えてきた


"本物"の売れっ子だったら

忙しくはならない程度の

お客様の数かもしれないけど


未経験で売れ初めの僕には時間が足りない

目眩がするような日々だった。


そんな駆け抜ける道の途中で咲いていた花に


僕は立ち止まってしまったのかもしれない


心まで見透かされそうな

あまりにも真っ直ぐな視線に


その趣さえ感じる言葉遣いに …


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 「なんで私なんですか」 


 『わからない。気づいたらここにいた』 


 「他にもいっぱい居るのに」 


 『…』 


 質問されるのは嫌いだ。 

ホストの常套句を使いたくない 


 『配信で見かけた時感じた

 笑った顔の奥にある影みたいな。

 その影が私に似てると思った』


 「そうなんですか…?」


 『私も普通じゃないから。そして

 会って話したら、やっぱり

 フランにしかない色があって、似てる』 


 「嬉しいです」


 『ううん、私も嬉しい』


 「でも私、高いお酒入れられないですよ」


 『あの日居てくれただけで心が落ち着けた』 


 「何かしたいですけど、何も出来ないです…」


 『じゃあ もし………』


「はい」


ゆっくり息を吸う僕。 


人に何かをお願いするのは凄く苦手だ 


『…もし、何かしたいと思ってくれてるなら


 毎週水曜日にお店に来てくれないかな』


 「行くだけで良いんですか?」 


 『うん』 


下を向き指を折り 何かを数えている君 


 「なんとかなります!!」 


 『本当に!?そうしてくれたら助かるよ…』 


 「シャンパンっていくらですか?」 


 『小計5くらいだから、1本入れたら色々

 合わせたら最低10くらいになっちゃうな。』


 「それは出来ないかも…出来るけど、

 毎週会うのが無理になってしまいます」 


 『無理はしないで。毎週来てくれるだけで、 

 私の仕事量や精神がどれだけ楽になるか…』

  (今回はいつかみたいには悩まない。本心だ) 


 … 


 ……… 


 …………… 


 『一応、シャンパン半額の日はあるんだ』


 「そうなんですね?でも…」 


 『大丈夫。 

 フランから貰えたら本当に嬉しいけど、 

 無理はしないで大丈夫。 

 毎週会える方が今の僕にとっては嬉しい。』


 「わかりました。ありがとうございます」 


 "ありがとうございます。" か


お願いしたのは 私 なんだけどな。



君のそういう所が


忙しい私を立ち止まらせたんだろうな。 


そうやって二人はまた一歩


世界から切り離された 世界へ近づいていく


三代目エース フラン へ

第二章 完
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中途半端だけど、今日はここで終わり。 


これ以上書いてたらまた体調崩してしまう。


でもあまり待たせても前作を忘れてしまうね。


だからまた話すよ。


聴いてくれてありがとうね


お店で待ってるよ


おやすみ。