ゆうくんが何を考えているのか、


さっぱりわからなくなっていた






「気配を消す」







って感じ。



同じ場所にいるはずなのに、



どうしたら、私がどこにいるか



わかるの?!って思うほど



会えない。



私がどこにいるかわかるから、



避けられるんじゃないか?と思うほど、



同じ場所にいるはずなのに、



すれ違いが何度も生じた。







カマをかけて、私がくるりと向きを変えて



あり得ない動きを見せたとき



かろうじて、背中が見えたりした。










ある時、新人の男の子が入ってきた。



その子はゆうくんと同じ年で



夜中にバーテンダーをしているそうで



入らない日にはこちらに掛け持ちで



アルバイトで入ってきたんやけど、



とにかくよく私のそばに来ようとした。



気のせいかな?と思っていたけど



「あの子、いつもnomさんの近くに行くよね」



と、マネージャーに言われた。








防犯カメラでチェックしていたらしい。








その日も、新人くんが私をジーっと見てきた。



私は気まずいから、下のゴミとか拾ってたら



足が私の横に止まって動かない。



靴で、ゆうくんとわかったけど



すぐに気づかないふりをした。



そしたら、足をパンパンと踏みならして



合図してきた。



私がびっくりしたフリをして



ゆうくんに笑いかけると



ゆうくんも、ふふふっと笑って



また何処かに行った。



折角駆け寄ったのに、スッとまた戻っていく。



それを新人くんが見てた。









新人くんがいる日は、



いつもそばに来た。



それ以外は、姿が見えないし



目も合わないのに…!?











そういえば、私の髪の毛を触った日





あのときも、他の男の子バイトがいた。







あーこが



「マーキングじゃないん?笑」



と言ってきた。



https://marouge.jp/p/columns/748042643975439455/




「取られたくはないから、俺ら仲いいねんでー



 的な??勝手やなぁ!」



と言ってた。








たしかに、振り返ると他の男性社員の前で



「ご飯いつ行く?何食べたい??」



と、大きな声で言うから焦ったこともあった。



わざわざ、大きな声で言うこともないのに



なんで急にそんな話をするのかな?



と、思っていたけど



なるほど…。








いやいや、



私だけの日はめちゃくちゃ避けるやん!!





何ぃー!?アセアセ訳がわからん!!



って、かなり頭を悩ませた。











このときくらいから、



ほんまに、ゆうくんがわからんなってきた。







作業中に、横にきたあきちゃんが



「そういえば、ゆう、明日から旅行行くらしい」



突拍子もなく言ってきた。



「え?まだ葬式してから間も無いやん」




ドキっとしたけど、平然を装うのはお手の物。




「さぁ〜…嫁が落ち込んでるからじゃない?



 こんな時に休むなよなぁ〜!」




「…忙しいのになぁ 笑」



あきちゃんに、意見を合わせた。









優しいなぁ…







そりゃ、奥さんやもんな…













それでも…



前みたいに、こちらを見てくれなくて



他の男性がいるときだけ、話しかけてきて



避けられて



うまく話せなくなってきて…







でも、



喪に服す時間だから、



私も距離感とってたけど…








どんな顔したらいいのかも



距離感を置かれていると、わからなくなるのに



近くに来たら笑顔でいないとおかしいし



でも、【旅行】と聞いて



ものすごい嫉妬心が出た。












あきちゃんが続ける。



「私さぁ、ゆうの嫁好きじゃないねん」



「え?なんで?同級生やんな?」



「同級生やけど、別に友達でもないし 笑」



「そうなんや、仲いいと思ってた」



「え、全然やで?ゆうがいてるから仲いいだけ。


 ゆうの妹とは友達やからな」



「へー…」



「てか、ゆうも離婚してるのに何でそこまで


するんやろうな?やっぱ子供の為か?」










え?








「え??」









「もう、2年前に離婚してるねん、、



 え?ゆうから聞いてないの?」