平成23年第1回定例会に当たり、こどもがまんなかの街「千代田」を目指し、こども施策について、また、たばこ対策について質問致します。

 「こどもまんなか宣言。」
これは、私が勝手に宣言しているだけですが、いま家庭や社会の中で「こども」の居場所がありますか?
核家族化や近所付き合いの希薄化により、こどもの居場所がどんどん失われています。
本気で叱ってくれる先生がほとんどいなくなりました。
家に帰っても、ただいまと言える相手もいない。
隣の家から出てきた人でさえ、誰だかわからず、声も掛けず。
私が、こどもの頃の環境と明らかに異なってきています。

 私が小さかった頃、家でも学校でも地域でも、こどもがいつもまんなかに居て、こどもがいつも主人公でした。
 私が佐久間小学校に通っていた当時、栗岩英雄校長先生は私たちを「家の子、学校の子、地域の子」とおっしゃっていました。
学校や地域が皆で、こどもをまんなかに育てていく、その理想形を作ったのが栗岩先生でした。

 昔は、学校の先生が体で教育に当たっていました。今は体罰と訴えられます。
近所のおじさんやおばさんが本気で叱ってくれました。今は、余計なお節介と親に言われます。
家に帰って、学校で先生に叱られたこと、友達と喧嘩したことを、台所に立っている母親に「あのね、あのね」と一生懸命その日の出来事を毎日話しました。今の子は真っ暗な家に、鍵を開けて入り、誰に言うのでもなく「ただいま」とつぶやき、ゲームを始め、お腹が空いたら、テーブルに置いてある、コンビニ弁当をレンジで温めて、誰に言うのでもなく「いただきます」とつぶやき、食器を洗うことを知らず、ゴミ箱に捨てる。
ひとりでお風呂に入り、寝床につきます。
 家の子でもなく、学校の子でもなく、地域の子でもなく、こども自身のみが単独で存在している気がします。

 こどもをまんなかに、こどもが主人公の世の中をもう一度作り直したい。
今一度、全ての大人が立ち止まってみる必要があるのではないでしょうか?
 特に、子育て中の親は、こどもの声に耳を傾ける必要があります。
社会状況の変化により、共働き、深夜労働が珍しくなくなりました。
それにより、少子化が進み、こどもがいても、こどもと接する時間が無くなってきました。
ひきこもりや、キレるこども、いじめ、など様々な社会問題が新たに発生しました。
 「こどもをまんなかに」私たち大人が常に考えて行動して、もう一度、それが当たり前の世の中にしていきたい。
様々な施策を通じ「こどもがまんなかの街」を作っていきたく、何点か質問いたします。


 まず初めに、こどもの予防接種について質問いたします。

 以前は「予防接種よりも、その病気にかかったほうが免疫はつく」と言われていました。
しかし、病気にかかると後遺症が残る場合があることや、周りの人にうつしてしまう心配などから、「ワクチンで予防できる病気はワクチンで防ぐ」が合言葉となってきています。
ワクチンで予防できる病気のことをVPDと言います。
VPDは、こどもたちの命にかかわる重大な病気です。日本では、毎年多くのこどもたちが、VPDに感染して、重い後遺症で苦しんだり、命を落としたりしています。世界中に数多くある感染症の中で、VPDはわずかです。しかしながら、防げる病気だけでも予防して、大切な子どもたちの命を守ることが重要ではないでしょうか。

 予防接種には定期予防接種と任意予防接種があり、定期接種は無料で行われておりますが、任意接種は有料となっており、自治体毎に助成額も異なっています。
しかし残念ながら、無料で行われている、法定予防接種の接種率でさえ100%ではありません。
予防接種の有用性が浸透していないのでしょうか?
それだけではないようです。なかには、面倒だから接種させていない親もいるとのことです。
また、うちの子は大丈夫といった、どこからくるのか分からない自信をもった親もいます。
本区においての予防接種毎の対象者は400人前後です。どの予防接種も未接種児は数十人という数です。そのくらいの数であるならば、追跡も可能と思われます。
いま海外にいるなどといった物理的なものは除き、接種できる環境にあるのに接種をしていないこどもをもつ親に対しての指導も区の責務ではないでしょうか。
来ないからしょうがないのではなく、出向いて接種する位の姿勢を求めます。
 
そこで伺います。

①法定予防接種の接種率100%を目標とすべきと思いますが、区の見解をお聞かせ下さい。

 次に、任意予防接種について伺います。
これから審議されます、23年度予算の中でも任意予防接種の助成額が拡充されており、先駆的な取り組みがなされております。
 「ワクチンで予防できる病気はワクチンで防ぐ」ことを完全に行っていくには、もちろん国レベルでの対応が不可欠ですが、区においても出来うる限りの支援をすべきと思います。
 現在の任意接種の定期接種化は議会と行政が共に国に対し訴え続ける必要がありますが、暫定措置として行政の取り組みが必要です。
現在日本で承認されている、全ワクチンを自己負担なしで接種出来る様になれば、最低限VPDの被害を少なくすることが出来ます。
 保健所としては、ワクチン接種による副作用を懸念して勧奨していないと思われます。
しかし、防げるワクチンがある以上、全てのこどもたちが接種出来る様な下地を作る必要があるのではないでしょうか。

そこで伺います。

②現在日本で承認されている、全てのワクチン接種について自己負担をなくす対策として、任意接種費用助成額の拡充、あるいは費用の全額を税額控除とし、非課税世帯は費用の還付をすべきと思いますが、区の見解をお聞かせ下さい。

 次に、未承認ワクチンについて質問いたします。
 平成21年11月27日に、グラクソ・スミスクライン株式会社、また、平成22年3月31日に万有製薬株式会社が「ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン」の製造販売承認申請を行いました。
 ロタウイルス胃腸炎は、ロタウイルスの感染によって引き起こされる胃腸炎であり、世界中の5歳以下の小児の約95%がロタウイルスに感染しています。主な症状は激しい下痢や嘔吐で、重症化すると脱水症状や合併症から死に至ることもあり、世界での年間死亡者数は60万人以上と推定されています。
医療が充実している日本での死亡例は少ないものの、年間約80万人の乳幼児が小児外来を受診し、約7万8,000人の5歳未満の小児が入院していると推定されています。
 このロタウイルスワクチンが間もなく承認されるとの情報があります。
ロタウイルスはほぼ全ての乳幼児が罹患すると言われていますので、ワクチンの承認、発売は大変喜ばしいことです。
また、ワクチン効果は高く1年目で約9割リスクを減少させるとも言われています。
 もし、承認の見込みが事実であるのなら、今からワクチン接種の啓発を行っても早くはありません。
 感染症は時間との戦いでもあります。発売されてから制度設計をしてもその間に患者は増え続けます。
その為にも早い段階での対応が求められます。

そこで伺います。

③ロタウイルスワクチンの承認の情報と発売前の啓発の必要性について。
また、発売後即、接種費用助成が開始出来る体制作りを求めますが、区の見解をお聞かせ下さい。

 次に、急性(きゅうせい)灰白髄炎(かいはくずいえん)(Polio)ワクチンについて伺います。
 日本では、野生株による急性灰白髄炎(ポリオ)の発症例は、1980年以降報告がありません。
しかし、今現在、年に数人、生ワクチンが原因のポリオ患者が出ています。昨年2月には、生ワクチンからの二次感染による患者発生が報じられました。
生ワクチン投与を続ける限り、100万人に2人から4人のポリオ患者が発生するとWHOも警告しています。
 何より危険なのは、生ワクチン投与を続ける限り、人体内で変性して強毒化したポリオウイルスをまき散らし、二次感染や三次感染、つまりポリオの再流行を引き起すことです。
 私もその一人ですが、昭和51年、52年接種分は製品に問題があり、免疫獲得率が低いとされ、わが子からの感染が懸念されています。
 いままさに免疫獲得率が低い世代のこどもたちが生ワクチンを投与されています。
大変悩みましたが、一昨年私のこどもも生ワクチンを投与しました。
 投与後、便など排泄物処理後に経口感染するおそれがあることから、おむつの取扱い等、便など排泄物の取扱いに際し十分注意をし、便など排泄物処理後は手洗い等を入念に実施すべきでありますが、その時、保健所で何の指導もなく、慌てて改善を求めたことを記憶しています。
 その後、文書と口頭の両方で注意を促すようにしたそうですが、大変ずさんな対応でありました。
 こうしたことも、ポリオワクチンを生ワクチンから不活化ワクチンに切り替えれば、被害は完全に防げます。
 法律で定められている以上、千代田区だけ不活化ワクチンを導入できませんが、被害を最小限にとどめる努力は怠ってはいけないことであります。
ポリオの会などの患者団体や、日本医師会や小児科学会では、不活化ワクチンの早期導入を訴えています。
法律で決まっているから、生ワクチンを投与し続けるのが良いのか、国に対しはっきりと物申したほうが良いのではないでしょうか。
 何より保健所として必要なことは、正しい情報を正しく伝えることです。
全て、国が正しいとは限りません。ポリオ対策については明らかに後れを取っているのです。
しっかりと、生ワクチンの危険な情報も合わせて周知をお願いいたします。
 例えば、「定期予防接種に指定しておりますが、千代田区では不活化ポリオワクチンを推奨します」位の事は言えないのでしょうか。

そこで、伺います。

④不活化ポリオワクチン接種勧奨すべきと思いますが、区の見解をお聞かせ下さい。


 次に、こども関連施設の安全対策について伺います。
 平成13年6月8日、大阪教育大学附属池田小学校に凶器を持った、当時37歳の男が侵入し、次々と児童を襲撃し、児童8名が殺害され、児童14名、教諭2名に傷害を負わせる事件が起きたことは記憶にも新しいと思います。
 この事件を受け、文部科学省は学校施設の防犯対策について定め、門の施錠管理、防犯監視システムの導入など、具体的な対策を講じることが重要とされました。
 本区においても、様々な対応がされましたが、今日に至っても、まだ安全対策が万全でない施設がうかがえます。
 昨年開設された、小学館アカデミー神田駅前保育園は、敷地入り口の門扉に、オートロックの電子錠とカメラ付きインターホンを設置し、なおかつ、施設の入り口もオートロックの自動ドアとカメラ付きインターホンが設置されています。
保護者にICカードが貸与されていますが、万が一紛失した場合、不審者が敷地内に侵入できても、施設入り口は職員の目視が無ければ開錠されませんので、室内に侵入することは出来ない2重3重にも安全対策がなされています。
 この様な万全の対策のとられている施設がある一方、対策が不十分な施設もあります。
 本会議はオープンですので防犯上、施設名は申し上げませんが、その一例を指摘させていただきます。
 この施設は、複数出入口があり、1つはオートロックで、登下校・登降園時は先生が出入口に立たれドアを開放しています。
 しかしながら、もう一方の出入口は2経路から出入が出来、2経路とも手で開錠が出来る扉しかありません。防犯カメラは付いていますが、常時監視しているわけではありませんので、万が一事件が発生した場合、犯人の特定には役立ちますが、事前に防ぐ事は出来ません。
 その他の施設でも、防犯カメラだけで扉が開放状態である等、安全対策が万全とはいえないのではないでしょうか?

そこで伺います。

⑤こども関連施設を全調査し、十分な安全対策を至急講じることを求めますが、区の見解をお聞かせ下さい。

 次に、保育園や公園等の遊具の安全対策について伺います。
 昨年だけでも、私の周辺で、園庭で遊戯中砂場の角のタイルにおでこをぶつけ、何針も縫う手術をしたり、公園の遊具から落下し、救急車で搬送され骨折が判明したりと、様々な事故を目にしています。
 特に乳幼児は予測不可能な動きをするため、通常では考えられない事故が園内で発生しています。
幼稚園にもなると、一人の先生が何人ものこどもを監督しなければならず、広い園庭では目の行き届かないのは仕方ないと思います。
ただ、万が一に備え、事故の予防策を図っていれば小さな怪我で済む場合もあります。
タイル貼りの砂場では、角は鋭利ですので、何針も縫うことになってしまいましたが、タイル貼りでない構造であれば、こぶで済んだと思われます。事故後対応はとられたのでしょうか?
 こどもの動きは確かに不可解です。ですから、事故が発生し、初めてその危険性に気付きます。
保育園や公園での事故ゼロを目指し、今一度、区内の施設の遊具等の再点検を求めます。

そこで伺います。

⑥区内の事故情報は各保育園等でどの様に共有されているのか?
また、他の自治体で発生した事故情報の入手と各園との情報共有は行われているのか?
お答え下さい。

また、
⑦公園を含むこども施設の安全点検の実施状況と遊具等の全調査について、お答え下さい。


 次に、たばこ対策について伺います。

 公園は誰のものでしょう?
こどもや子を持つ親からしてみれば、こどものものですし、お年寄りは自分たちの憩いの場であるし、喫煙者からしてみれば、路上禁煙の千代田区の中で堂々とたばこを吸える喫煙所であります。
 皆、それぞれが居場所としての公園を求めており、誰のものでもない、全ての利用者のためのものというのが、所管課の答えでしょう。
 しかし、公園は誰のもの?と聞かれて、殆どの方は「こども」と答えるのではないでしょうか。
特に都心千代田の住宅事情を考えると、こどもたちが思いっきり遊べる空間は、公園しかありません。
 その公園が、いまや喫煙所と化しているのです。

 たばこにまつわる動向としては、まず神奈川県が挙げられます。
平成21年、受動喫煙の防止を目的とする全国初となる「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」が公布され、昨年4月に施行され、さらには「神奈川県海水浴場等に関する条例」が施行され、海水浴場においても完全分煙が始まりました。

 これを機に、全国の自治体で受動喫煙対策の機運が盛り上がり、平成22年2月25日、厚生労働省健康局長は、「受動喫煙防止対策について」に関する通知を都道府県等向けに発出しました。
その中で、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性が示され、受動喫煙対策として「全面禁煙」が極めて有効であることから、「多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべきである。」とされました。
さらに「特に、屋外であっても子どもの利用が想定される公共的な空間では、受動喫煙防止のための配慮が必要」と明示されたのも大きな特徴です。
また、「受動喫煙については、子どもや妊産婦など特に保護されるべき立場の者」とされており、こどもや妊産婦が多く利用する施設での対策が重要視されています。
 これを受け、千葉県柏市では「世界禁煙デー」でもある、昨年5月31日から市内の全公園を禁煙化し、他の自治体でも検討がなされています。
 海外に目を向けますと、今月2日、ニューヨーク市議会で市内の公園での喫煙を禁止する法案を可決し、間もなく施行されるとの事です。

 本区議会においても、公園での喫煙の問題が議論されてきました。
しかしながら、公園の利用者に制限をかけないとするまちづくり推進部、分煙を決定しているとする環境安全部の方針があり、両部とも苦渋の結論と思われますが、議論は平行線を辿ったままであります。
この問題を保健福祉部に尋ねれば、もちろん健康への害の懸念がありますから、全面禁煙が望ましいとなります。

 屋内においての分煙は効果があるのかも知れません。
しかし、公園といった屋外では、たばこの煙を完全に閉じ込めることは出来ません。
いくら、仕切りを設けて分煙をしたところで、こどもたちは、その煙の害にさらされるのです。

 確かに、公園の利用に制限はつけるべきではないと思います。
ただ、それは利用者の制限であって、行為の制限は現在でもされています。
例えば、ボール遊びの禁止です。
私個人としては、こどもの遊びに制限をつけるのはいかがなものかと思いますが、ボール遊びを禁止して、喫煙を許可していること自体、一体誰のための公園か?と思います。
たばこ臭いから、喫煙者は公園に入るなとは誰も言いません。公園で吸わないで欲しいだけなのです。これを利用者の制限と言えるのでしょうか?

 公園こそこどもの遊び場であり、まさに、こどもをまんなかとした、利用が望ましい施設ではないでしょうか?
こどもの遊びを制限して、おとなにメリットを与えるのは、公園の本来在るべき姿とは違うと思われます。

 これらのことからも、公園の全面禁煙化を求めます。
平成9年に全国に先駆けて「生活環境条例」を策定し、歩きたばこを禁止した、素晴らしい実績がある千代田区です。
しかし、その一方で、公園が喫煙所化したのも事実です。
公園の灰皿から煙が立ち込め、吸殻が溢れかえり、砂場が大きな灰皿と化し「たばこの人だらけだから、公園に行ってはいけません」と親に注意される、施設になってしまいました。
こどもが遊べない児童遊園。
こどもの声が聞こえない公園にしてしまったのであります。

「区民等がより一層安全で快適に暮らせるまちづくりに関し必要な事項を定め区民等の主体的かつ具体的な行動を支援するとともに、生活環境を整備することにより、安全で快適な都市千代田区の実現を図ることを目的とする。」とした、生活環境条例は大人だけの目的ですか?

⑧公園の全面禁煙化について、まちづくり推進部でもなく、環境安全部でもなく、保健福祉部でもなく、千代田区としての見解を是非お聞かせ下さい。

 生活環境条例施行により、秋葉原定点観測からもわかるように、吸い殻のポイ捨ては激減しました。
定点観測では激減しましたが、区界、公開空地等のポイ捨てが激増しました。
千代田区でたばこを吸うと過料を取られるから、手前の台東区や新宿区の路上でたばこを捨てて千代田区に入る姿を良く見かけます。
あまりにもひどいので、手前の信号機に灰皿を設置した他区の区民の方がいるくらいです。
 また、公道上が禁止のため、わずか30センチのセットバックした建物の入口前で喫煙している人や、公開空地で堂々と歩きたばこをしている人もいます。
 条例によって、公園だけでなく、軒下喫煙所や台東区道という名の灰皿が生まれたのです。
 これこそ条例の理念に反していると思わざるを得ません。
現在の条例上、これらの場所は対象とはなっていません。
 しかし、現実としてこういった弊害が発生している以上、見過ごすことは出来ません。
また、いくら公道上でないにしろ、多数の者が利用する道と接していることからも、先に述べた厚労省通知の対象と思われます。
ここは対象外だから大丈夫といった、都合のいい解釈が通用されるようでは、民有地の所有者や近隣区の方々に大変迷惑な話であります。
 他区に影響が出ていることは、特に速やかに対策を講じるべきと思います。
また、たばこ販売事業者とより一層の連携をはかり、禁煙施策を推し進めていくべきと思われます。

そこで伺います。

⑨公道上のみならず、公開空地をはじめとした、接道している民有地にも、禁煙や受動喫煙対策を求めるべきと思いますが、区の見解をお聞かせ下さい。

 最後に、卒煙対策について伺います。
 世論調査やアンケート等では、実は喫煙者の70%以上は内心「やめられれば、やめたい」と思って吸っていることが明らかとなっています。
 従って、厳しい喫煙規制対策は、タバコの煙に悩む多くの非喫煙者を救い、同時に「やめたい」と悩んでいる喫煙者を救うことに直結します。
喫煙者対策をしなければならないのが行政でしょうが、「喫煙所」を設けたり、「分煙」したりということでは、内心「やめたい」と思いながら吸っている喫煙者の「禁煙」の意欲を大幅になくしてしまう、最大の原因となっているのも事実であります。
 能動喫煙・受動喫煙ともに人間の体に害があることはご承知と思います。
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約をはじめとして、全世界的にたばこの害は共通認識となり、公共の場での受動喫煙防止対策を促進することとなっています。
 たばこの問題もいまや全世界的なものとなり、受動喫煙防止対策に加えて、さらに禁煙支援という行政課題が出てきました。
 たばこ害を排除するだけでなく、たばこをやめる支援も同時に行う必要があります。
喫煙所の設置に税金を使うのであれば、そもそも、たばこを吸う人を減らせば良いと思われ、むしろその支援に税金を使うべきではないでしょうか?
 平成10年頃より、我が国でも禁煙外来を扱う医療機関が増え、平成18年には一定の基準を満たす患者における禁煙治療に関して保険適用がされるようになりました。
また、厚労省でも「禁煙支援マニュアル」を策定する等、たばこをやめるための支援体制が整ってきている状況であるといわれています。

 また、昨年10月にはたばこの販売価格が大幅に値上がりし、禁煙に拍車がかかるとされました。
ファイザー株式会社が喫煙者9400名を対象に調査を行い、喫煙者の半数以上(52.8%)が「増税前に禁煙する」と回答。
実際、禁煙をした人も多くいると伺っています。
しかし、他の調査では、禁煙失敗のデータもあり、まだ、値上がりの影響の全容はつかまれていません。
 どうも値上がりだけでは、たばこはやめられないそうです。

 さらに、禁煙を推進するためには、行政の支援も必要ではないでしょうか?
禁煙外来の医療にかかる費用などの、助成制度を設けるべきと思います。
保険適応に際し、診療報酬について話し合う国の中央社会保険医療協議会の審議では、保険適用に反対する意見も複数の委員から出され「喫煙は個人の嗜好である」ことや「禁煙は個人の責任で、公的保険の給付にはなじまない」と言った意見もあったように、卒煙対策に税金を投入するのは以ての外だ、という意見もあります。
 しかし、喫煙者が減れば本人の医療費はもとより、受動喫煙の害も減少となり、全体の医療費抑制に繋がるという見方もあります。
 禁煙を行政が応援する仕組みづくりをしていくべきではないでしょうか。

 本区においても、ポイ捨て禁止キャンペーンや喫煙マナー向上に向けた取り組みはなされておりますが、それらを卒煙キャンペーンに切り替えてみてはいかがでしょうか。
 たばこの害についても、積極的な啓発活動が必要であります。
例えば、喫煙所の内部に、喫煙者の肺の内部の写真を掲示する等、奇をてらった取り組みはいかがでしょうか。
喫煙者に対しては、本人はもとより周囲にどれだけ悪影響かを周知する必要があると思われます。

そこで伺います。

⑩喫煙マナー向上ではなく、能動喫煙・受動喫煙の害を周知する事業への転換について
また、
⑪禁煙外来医療費助成制度等、卒煙対策の積極的な取り組みを求めます。

たばこの煙から守るべきは、こどもだけではありません。
全ての人がその被害にあっているのです。
明日2月18日は、「嫌煙権確立を目指す人々の会」の設立日で「嫌煙運動の日」や「嫌煙権の日」と言われています。
嫌煙は反煙ではありません。上からの禁煙でもありません。「私は嫌なのです」と穏やかに立場を表明しているのです。
喫煙者の皆さんには、圧力と思わず、真摯にたばこ問題と向き合って戴きたいと思います。

これから23年度予算審議が始まります。
こどもをまんなかにした視点で施策の再点検を是非して戴きたく、私の質問を終わります。