長谷部選手にして。 | 若き親友への手紙

長谷部選手にして。

長谷部選手の『心を整える。』には、
「勝利をたぐり寄せるための56の習慣」という
副題がついている。

この56の習慣が
そのまま目次になっているが、
それをそのまま紹介しよう。

「第1章 心を整える。
  01  意識して心を鎮める時間を作る。
  02  決戦へのスイッチは直前に入れる。
  03  整理整頓は心の掃除に通じる。
  04  過度な自意識は必要ない。
  05  マイナス発言は自分を後退させる。
  06  恨み貯金はしない。
  07  お酒のチカラを利用しない。
  08  子どもの無垢さに触れる。
  09  好きなものに心を委ねる。
  10  レストランで裏メニューを頼む。
  11  孤独に浸かる。―ひとり温泉のススメ―
 第2章 吸収する。
  12  先輩に学ぶ。
  13  若手と積極的に交流する。
  14  苦しいことには真っ向から立ち向かう。
  15  真のプロフェッショナルに触れる。 
  16  頑張っている人の姿を目に焼きつける。
  17  いつも、じいちゃんと一緒。
 第3章 絆を深める。
  18  集団のバランスや空気を整える。
  19  グループ内の潤滑油になる。
  20  注意は後腐れなく。
  21  偏見を持たず、まず好きになってみる。
  22  仲間の価値観に飛び込んでみる。
  23  常にフラットな目線を持つ。
  24  情報管理を怠らない。
  25  群れない。
 第4章 信頼を得る。
  26  組織の穴を埋める。
  27  監督の言葉にしない意図・行間を読む。
  28  競争は、自分の栄養になる。
  29  常に正々堂々と勝負する。 
  30  運とは口説くもの。
  31  勇気を持って進言すべきときもある。
  32  努力や我慢はひけらかさない。
 第5章 脳に刻む。 
  33  読書は自分の考えを進化させてくれる。
  34  読書ノートをつける。
  35  監督の手法を記録する。
 第6章 時間を支配する。 
  36  夜の時間をマネージメントする。
  37  時差ボケは防げる。
  38  遅刻が努力を無駄にする。
  39  音楽の力を活用する。
  40  ネットバカではいけない。 
 第7章 想像する。
  41  常に最悪を想定する。
  42  指揮官の立場を想像する。
  43  勝負所を見極める。
  44  他人の失敗を、自分の教訓にする。
  45  楽な方に流されると、誰かが傷つく。
 第8章 脱皮する。
  46  変化に対応する。
  47  迷ったときこそ、難しい道を選ぶ。
  48  異文化のメンタリティを取り入れる。
  49  指導者と向き合う。
 第9章 誠を意識する。
  50  自分の名前に誇りをもつ。
  51  外見は自分だけのものではない。
  52  眼には見えない、土台が肝心。
  53  正論を振りかざさない。
  54  感謝は自分の成長につながる。
  55  日本のサッカーを強くしたい。
  56  笑顔の連鎖を巻き起こす。」

君なら理解できるだろうが、
この小見出しそのものが、
ひとつひとつ君へのアドバイスにも
なっているだろう。

実は、この後の抜き書きは、
この本を読んでもらいたいと思っていた
君とは別のある未来ある若者のために
したものだ。

自分自身への抜き書きと、
他の誰かへの抜き書きとでは、
抜き書く内容も変わってくる。

その誰かが変わってくれば、
そのひとに応じて
抜き書く箇所は違ってくる。

今回は、あえて
君のために抜き書きした訳ではない
その抜き書きを並べてみよう。

「愚痴だけでなく、負の言葉はすべて、
 現状をとらえる力を鈍らせてしまい、
 自分で自分の心を乱してしまう。
 心を正しく整えるためにも愚痴は必要ない。」

「変化を受け入れなければ進化することはできない。」

「運とは口説くもの。」

「読書は自分の考えを進化させてくれる。」

「試合に負けて気分が沈んでいるときも、
 逆に試合に勝って高揚しているときも本を読むと心が落ち着く。

「負けたあとなら、乱れた気持ちを整えてくれる。
 勝ったあとには、浮ついた気持ちを抑制してくれる。」

「ラスト10メートルを『もうすぐゴール』と
 意識するのではなく、『マイゾーン』として、
 自分が最もカッコ良くゴールするための
 美学を追求しながら泳いで欲しい」

「勝負所で100%+αの力を出せる選手に
 なりたいと思っている。」

「プロになってからは、大げさに言えば毎日が岐路だった。」

長谷部選手も、長友選手も、
決して順風満帆な日々を
送ってきたわけではない。

数年前まで、
世の中では知られていない
存在だったといってもいいだろう。

だが、
彼らは、今日の結果を生み出すための
原因をつくる努力を重ねてきた。

はっきりいって、
君はいま、結果を出すための
不断の努力を重ねているだろうか。

才能とか過去の努力とか
そんなものの残り火で、
燃え滾る結果を出すことはできない。

努力したからといって
すぐに結果が出る訳ではない。

だが、
努力せずに
結果を出したひとなどいないと
いっておこう。

いや、もしかしたら
いるのかもしれない。

だが、
その確率を考えてみてほしい。

人生の宝くじに当たるひとも
きっといるだろう。

だが、君は
宝くじに当たらなかったら仕方ないと
あきらめてしまうのか。

当たりそうな宝くじ売り場を探すことは
決して努力でもなんでもない。

いや、宝くじを否定しているわけではない。

だが、宝くじに当たる確率を
考えてみてもらいたい。

長谷部選手は謙遜されているが、
彼もまた天才のひとりだろう。

そんな天才が
ここまで細やかな不断の努力を
重ねているのだ。

君が天才かどうか
僕は知らない。

天才とは努力しないでも
なにかを成し遂げられるひとのことを
いうのだろうか。

努力したときその努力が実を結ぶひとを
僕は天才だと思っている。

いや、天才的な努力ができるひとが
天才なのだと思っている。

そういう意味で、
僕はほんとうに馬鹿だったし、
才能もなかった。

だからこそ、
少なくとも僕よりは遥かに賢く、
才能にあふれる君が、
馬鹿で終わって欲しくはないのだ。

君はきっと天才になれるひとだから。



$若き親友への手紙