どんなに
傷つけられた体験をしても
嫌いになれない私、がいる。
どんなに酷い言葉を吐かれても
どんなに相手に嫌悪感を抱いても
嫌いになれない私が、確かに居る。
どうしてかわからない。
どうしてかわからないけど。
その人の生まれた日を
思い描いてしまうんだ。
あの人が
この世界に生まれたその日を。
あの人が
赤子だった時。
あの人が
みんなに抱っこされて
おっぱい飲んで
大人の忙しさで
放っておかれて
泣くしかなくて
それでも
たくましく、生き抜いてきた
その人を
嫌いになることが、出来ない。
嫌いになる、必要も、ない。
その場面で、大っ嫌いになって
ほんと、嫌い。と
言い放っても
ほんとのほんとは
好きでしか、ない。
あの人が生まれた日は
晴れてたのかな。
あの人が小さい頃
世界はどんなだったのかな。
あの人が悔しい思いをした数は
数えきれないだろうな。
あの人が
人を好きになった時。
あの人が
はじめて人を殴った日。
あの人が
はじめて自分を情けないと思った日。
結婚すると決めた日。
自分の子供が生まれると知った日。
抱っこした感触。
それでもお金を稼ぐ毎日に
がむしゃらだった日々。
いつのまにか
たくさんの人と関わってきたと
立ち止まった日。
有難い。。と
言葉にならなかった瞬間。
それでも強気で生きるしかなかった時。
弱音を吐いた夜。
1人で泣いた時。
誰かに涙を見せた時。
老いを感じはじめた時。
プライドが折れた日。
自分に優しくなれた時。
自分を愛してくれてた人が
こんなにもいたんだと
身に沁みた時。
残りの生き方を
考え出した日。
その全てを思い描いてしまい
誰のことも
嫌いになれずに、好きでいる。
それは
私の生きたこれまでを
愛したいのだと思った。
私が好きになった人が
生きてきたこれまでを
愛してしまうのだと思った。
それでいい。
私は
誰のことも嫌いになれん。
私は
誰のことも好きでしかなく
私は
私のことが好きでしかないんだろう。
人を嫌いになれない自分は
弱さだと思っていた。
けど。
弱さでも
強さでもなかった。
ただ、
これが、私なんだ。
それだけのことだ。
