二条彪先生に出会って間もないころ、「貞観政要」と言われる本を勧められた。
7世紀の中国で、唐帝国の二代目皇帝になった太祖と家臣のやりとりをまとめた本だが、永続的に継承するリーダーに必要な話がたくさん出てくる。
貞観政要の中に出てくる代表する言葉として、「草創は易く、守成は難し」というフレーズがよく使われるが、実際の明確な答えなんてない。
ただ太祖の時代は、守成の困難に立ち向かったというエピソードが際立っているだけで、二人の家臣はそれぞれに「草創が大事」「守成が大事」と意見が食い違っている。
個人的な立場で言うと、ボクも守成って大事だなと思う。
まずは、足りないながらも後継者として生まれた使命を、ありのままに受け止めようということだ。
後継者である自覚を失った時に、まわりにもたらす影響は意外と大きいのだ。
それを自覚させてくれたのは、ある3代目のエピソードだ。
彼は親父さんとのコミュニケーションがとても苦手だった。
彼の親父さんは、とても仁徳のある社長さんだったが、二人とも業務に関すること以外はほとんど会話をすることがなかったらしい。
ある日、彼の会社から一通の封書が届いた。
そこには親父さんが社長を引退し、外部から連れてきた幹部を社長にするという挨拶が書いてあった。
ショックだったのは、新任役員の中に、彼の名前が無かったことだ。
そして皮肉なことに、新社長になったのは、彼ともっとも折り合いの悪かった幹部だった。
ほどなくして、数名の若手のリーダーが、その会社を離れていった。
彼の姿勢を見ていた親父さんが、「継ぐ気がない」と錯覚したことが、事の発端に思えて仕方ない。
これがいい成果かどうかはわからないし、その会社はちゃんと経営を継続している。
ただ、将来有望な若手が離れていったのは、個人的には残念に思ってしまう。
足りないながらも、後継者として守成の困難に挑戦していく!!
そんな生き方を貫こうと決意できたのは、彼と親父さんのおかげさまなのだ。



