彼の存在が無ければ、私は酷くネガティブなマイナス思考のまま生きていたことでしょう。ボクにとって、もっとも尊い師匠であり、生きる理由でもあります。
先生 その91
君がお母さんのお腹に命を授かった時、ボクはまだ自分のことしか考えられない若造だった。
でもね、君の命の存在を知ったボクは、お母さんと君を幸せにするために生きるって決めたんだ。
カッコいいだろ? でも、不安で仕方がなかった。
当時のボクは、君のおじいちゃんの会社に入って1年も経たない頃で、会社の中で自分の役割すら分かっていなかったんだ。
毎日、おじいちゃんと話をすれば喧嘩、他の人たちの前では生意気なことばかり言ってる、どうしようもないバカ息子だった。今の君とは大違いだね。
12月5日、予定日よりちょっと早かったけど、無事にお母さんのお腹から生まれてきてくれた。
「新生児って、こんなにしっかりした顔してるんだっけ?」と思うぐらいに、君の目は綺麗に輝いていたんだ。
それからの日々は、お母さんはもちろんのこと、ボクの生活も目まぐるしく変わっていった。
お風呂はほとんどボクと一緒に入ったよね。時々手を滑らして、浴槽の中に落としたこともあったけど、トラウマにならなくてよかった。
かけっこで最初は先頭を走っていたのに、後ろで転んでいる友達を気にしている間に抜かれて、二位になっちゃった。でも、君は満足そうに走っていたね。
ボクは君の心の優しさに、とても感動した。この子は将来、嘘をつかない子に育つだろうって確信した。
気がつけば、君は小学校の6年間、毎日元気に学校に通ってくれたね。
学校で起きたこと、聴いてきた話を、楽しそうに語ってくれたね。
ボクにとっても、君が小学校に通い始めて6年の月日が経つなんて、信じられません。
明日、ボクも君も大好きな校長先生から、卒業証書をもらいます。
勉強も運動も得意じゃなかったから、校長先生から賞状をいただく最初で最後の時ですね。
君の凛とした姿を目に焼き付けて、ボクも明日は一人の父親として、感動させてもらいます。
泰久、ボクの息子に生まれてくれてありがとう。
ボクをお父さんとして成長させてくれて、ありがとう。

