先日行った定食屋のラーメンの上にはベーコンが乗っていた。
チャーシュー麺を頼んだ場合、ベーコンが沢山並べられているのだろうか、その事を考えると今も愉快な気持ちになれる。
高齢の夫婦が営むそのお店のラーメンには、油葱酥と呼ばれるフライドエシャロットが乗っている。
ここ15年くらいで宇都宮でも気軽に買えるようになったのと引き換えに、ラーメンでも炒め物でも何にでもふりかけて出てくるお店が多くて辟易していたが、ベーコンの脇に添えられた油葱酥を見て、自分もいつまでも新しいものを取り入れようとする事を忘れないでいようと思えた。
新規開店するお店には出来ない芸当。
こんな言い方は失礼であるが、今どきのラーメン屋の多くは、手間とお金がかかって、きれいに盛り付けられて洗練されていて、美味しすぎるくらいおいしくて、それ故に何処も同じようなつまらなさを感じてしまい、中々新しく出来たお店に足を運ぶ気持ちになれない。
「美味し過ぎて何が悪い」という意見もごもっともで、何も外食に違和感や面白味を求める必要もない。
あえてそれを「インチキ」と呼ばせてもらえるなら、冷蔵庫にあった適当な屑野菜で作った、どこか不安定な魔法のようなラーメン、もうそのようなお店は新しく出来る事はないはずで、やがて消えゆくものを愛さずにはいられない。
定食屋で食べたベーコンの乗ったラーメン。
洗練された今時のラーメン。
中華料理屋で食べるラーメン。
そのどれもが違うものだけど、全てラーメンと呼ばれるもの。
「たかがラーメンじゃねえか、だけどもそれが好きなのさ」
今日は、ラーメンが食べたい。
おはよう。