仕事が早めに終わった日の
帰り道のことだった。
聞いたことのあるメロディが微かに聴こえてきた。
あ!サノバロックだ!!
話しかけたい衝動。
こんなオバさんが声をかけたら、
きっと驚くだろう。
そう思い躊躇する私は先月41歳になった。
声をかける代わりに、
彼女を少し遠くから怪しまれぬよう観察してみる。こんなに若い子が、
サノバロックを聴いているなんて…。
世界は今日も平和だ。
一つ目の駅で彼女は降りていった。
どんな家族と暮らしているんだろう。
と想像してみる。
いや、帰宅途中ではなくどこかへで出かけるためにあの駅を降りたのかもしれない。
イヤフォンから漏れて聞こえたメロディが、
会話を交わすこともなかった彼女へ、
親密な感覚を抱かせる。
音楽がつなぐものには不思議なチカラがあるのだ。
これから北海道は短い夏がやってきて、
お盆がきたらあっという間に冬支度。
ふと、北海道の夏は短いのだろうかと考える。
季節が移り変わっている時期が長いのだ。
それが北海道の良さだ。
全ては移ろう。
全ては変わっていく変わり続ける。
あの子も私も。
そんなことを思いながら、
彼女が降りた次の駅を降り、
自宅へつづく上り坂を歩いた。
街を見下ろせるところで振り返ると、
私の暮らす街が斜めに差す光に照らされていた。
もう間も無く沈む夕日。
お月様は明かりが灯るのを待っている。
冬になったらこの街に
真っ白な天使が舞い降りる。
濃い闇の中に、
ひらひらと舞いながら落ちてゆく雪片のように、
サノバロックがやってくる。
夏が短いのも悪くない。
冬に楽しみをみればいい。
どうしたって変わってゆくのだから。
サノバロックのボーカルの彼は沖縄の人だ。
大学生活を北海道で過ごしていたらしい。
大学時代の憧れだったベッシーホール。
そこでのステージを楽しみにしているという。
彼の夢がかなうのだ。
夢をかなえることは
生きる喜びのひとつだ。
となりの駅のあの子にも会えるかもしれない。
次は話しかけてみよう。
この仲がこのまま途切れてしまうのは
なんだかとても残念だから。
〜私の夢。
札幌にサノバロックを呼ぶこと。
短編小説風に夢を語ってみました。
最後まで読んでくださり
ありがとうございました(〃ω〃)
