2024年9月議会で行った、私の2つの一般質問の詳細ご報告です![]()
※やり取りは抜粋&要約しています。
榎本
担当部長等
市長 としてご覧ください。
《一般質問テーマ①-2》
市民のいのちと人権を守る国保を~国保税引き上げはあり得ない!
今年度、国民健康保険税の引き上げがありました![]()
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2027年度の県内税水準の統一化に向けて、全ての市町村が今よりも高い水準での標準保険税率に統一しようと、国・県が大きな旗振りを行っているからです。今後もあと2回の引き上げが予定![]()
されています![]()
今ですら高くて払いたくても払えない国保税と言われる国保税ですが、さらに引き上がれば、支払えない方が増えたり、仮に支払ったとしても診察を受ける余裕がなくなる方も出るなど、「国民皆保険制度」と言いながら医療が受けられない人が出てきてしまう恐れがあります。市民の命と人権を守る国保を、市としてどう支えていくのかが問われています。
私の国保に関する一般質問は今回で5回目でしたが、改めて国と自治体とが責任を持つ社会保障としての国保を支えるために市がなすべきことについて求めました。
国保の現状と課題について
法定軽減世帯数と加入世帯数に占める比率(7・5・2割軽減それぞれ)
2023年10月時点では以下の通り。
7割軽減の世帯
2376世帯、29.78%
5割軽減の世帯
1664世帯、20.86%
2割軽減の世帯
1520世帯、19.05%
法定軽減世帯は、合計で69.69%
所得に応じて税額の軽減(7・5・2割)を受けている世帯数を合計すると、全体で約7割弱の方が軽減対象世帯となっていることが分かりました。
昨年度同じ質問をしたのですが、合計で48.9%だったので、20.8ポイントも増えている状況です。
各軽減世帯における職業別の割合は、一番多いのが無職の方で、次に被用者(主に非正規)となっています。
国保加入者の大半は、そうした軽減を受けなければならないほど厳しい状況だということが分かりました
所得別滞納世帯数と全滞納世帯数における割合
(100万円未満、100~300万円未満、300万円以上それぞれ)
2023年度は以下の通り。
所得100万円未満の世帯のうち、滞納のある世帯の割合は8.55%
所得100万円以上300万円未満の世帯のうち、滞納のある世帯の割合は8.29%
所得300万円以上の世帯のうち、滞納のある世帯の割合は5.92%
※国保加入全世帯のうち、滞納のある世帯の割合は8.21%
所得が300万円未満の所得の方については滞納率が高い状況でした。
所得が低いほど滞納せざるを得ない苦しい現状が見えてきます。
保険税減免(国保法第77条)について
(減免を申請した世帯数、実施した世帯数、事由別の内訳、総額)
令和5年度は以下の通り。
減免を申請した世帯数
105世帯
減免を実施した世帯数
105世帯
事由別の内訳
災害や収入減・・・申請なし
旧被扶養者(※)・・・102世帯
その他の事由・・・3世帯
減免総額
135万4200円
※旧被扶養者とは
会社の健康保険などの被保険者本人が後期高齢者医療制度に移行することにより、その被扶養者であった方が新たに国民健康保険に加入する場合、世帯の保険税負担が急激に変わることのないよう、申請により国保税の一部が減免となるもの。
「自分は減免できるのか」ということが分かりにくいのでは。
県内他市では一定数利用があるが、蓮田市ではどのような周知がどの程度されているのか?
蓮田市では、市の公式ホームページに保険税の減免制度があることを掲載しており、詳細は市役所にご相談に来ていただくように周知を図っている。
「収入減」とは、実際どの程度になると減免になるのか?
収入減を事由とする保険税の減免は、蓮田市国民健康保険税条例第25条第1項第2項に定めているが、当該年度において所得が皆無となったため生活が著しく困難となったもの、またはこれに準ずると認められるものが対象となるもの。
ご病気とか事業の廃止などによる収入減も減免であると思う。そうした方も分かるように丁寧に周知をしていただきたいが、いかがか。
個別相談による対応が必要な制度となりますので、まずは市役所にご相談に来ていただきたい。そのような周知を図ってまいりたい。
一部負担金(※)減免(国保法第44条)について
(申請した世帯数、実施した世帯数、総額)
※一部負担金とは
病気やケガをしたとき、医療機関等の窓口で支払うお金のこと。
窓口で国民健康保険証を提示することにより、実際に払った医療費の1~3割を負担することで、医療を受けられる。
2023年度は申請なし、実施もなし。
毎年、埼玉県社会保障推進協議会が県内の全自治体に対して行っているアンケートがあり、それをまとめた「自治体要請キャラバン資料」がある。それを見ると、県内ほか市町村ではこれについての利用がある。これはどういう方が対象になるのか。
一部負担金の減免は蓮田市国民健康保険に関する規則第13条第1項に定めており、第1号の震災・風水害・火災・その他これらに類する災害により死亡し、第2号の災害で著しい障害を受け、または資産に重大な損害を受けたとき、第2号の干ばつ・冷害・凍霜害等による農作物の不作・不漁、その他これらに類する理由により収入が減少したとき、第3号の事業又は業務の休廃止、失業等により収入が著しく減少したときといった理由により、生活が困難となった場合に受けられる制度。
本当に減免が必要な方でも「自分なんかがいいのか」とか「もっと困ってる人がいるんじゃないか」とか、市役所に相談することが非常にハードルが高いことだと思う。
困ったときには、もっと気軽に来てもらえるようなわかりやすい周知を求めるがいかがか。
一部負担金の減免は、個別相談による対応が必要な制度というふうに考えており、個別の事情をしっかりと受け止めながら相談をしていくということが必要。ホームページでも、そのような周知を図っている。
減免に該当するかどうかの判断を自分でするというのは大変難しいこと。
とはいえ、榎本議員がおっしゃるように「初めて市役所にこんなことで相談に行くのはいいのか」というようなお気持ちになっていらっしゃる方もいらっしゃるのかと推察する。
今後、ホームページの掲載内容には、お困りの方がいつでも市役所に相談していいんだというふうなことがわかるように、私どもが皆さんのご相談をお受けすることの体制を整えているということが伝わるような表現を検討してまいりたい。
窓口に相談に来られた人に対し、気持ちに寄り添った丁寧な対応も求めました。
国保/財政調整基金の残高推移と今後の見込み
国保/財政調整基金の残高推移は以下の通り。
2019年度末
12億1982万6000円
2020年度末
12億6293万6000円
2021年度末
12億684万6000円
2022年度末
10億712万6000円
2023年度末
7億9268万1000円
2026年度末
約2億円(見込み)
第3期国保運営方針では、2027年度に保険税準統一と示されているが、その後の基金の扱い(約2億円)について、まだ示されていないのか。
現在のところまだ示されていない。
基金は加入者の皆さんから集めたものであり、できる限り加入者へ還元すべきと思っています。独自の保険事業など、2億円でどれくらいできるのかは分かりませんが、どのように還元できるのか、みなさんの声を聞きながら考えたいと思います。
国保年税額の推移見込みと2023年度との差
2023年度の一人当たり保険税調定額決算額と、2024年度当初付加時点での一人当たり保険税調定額との差は1万93円。
国保税は世帯に課税されるので、単純計算で家族が2人ならプラス2万円、3人なら3万円増えていく。今回の国保税引き上げで、国保の年税額がどう変わったか、シミュレーションを表にした。
(埼玉県社会保障推進協議会のキャラバンの資料からデータ抜粋)
1人世帯・2人世帯・4人世帯の、所得100万円・所得200万円・所得300万円の場合の金額となっている。
保険税率等がどのように変わったか?
世帯にかかる国保年税額のシミュレーション
4人世帯の所得300万円の世帯では、年額54,900円も引き上げになりました![]()
国保自体、他の公的医療保険と比べても既に高いのに、更に高くなってしまいました![]()
大人でも子どもでも同じ税額がかかる“均等割”分があるため、家族が増えれば増えるほど課税が増えます![]()
滞納者がもっと増えてしまったり、保険税が引かれて手元に残る分が少なくなり、医療の受診控えをしてしまうなどの懸念があります。
市民のいのちを守るため、市が独自に緩和策を打つ必要があります。
今後の市の取り組みについて
国・県への意見
国に対しては毎年、全国市長会から国民健康保険に関する重点提言を出しており、令和6年度も国民健康保険制度等の改善・強化に関する重点提言として国庫負担割合の引き上げや子どもの均等割減免制度の拡大等を要請した。
一番重要である「加入者のいのちと健康を守れているのか」、そうした観点から、お困りの声や、滞納率もしくは収納率の変化、減免の申請数の変化など、しっかりデータを収集して、国や県に対して国保運営方針の見直しの時期に、市としての意見をしっかり提出すべきと考えるがいかがか。
埼玉県国民健康保険運営方針第3期の見直しは、計画期間が令和6年度から令和11年度までの6年間となっており、今年から3年で見直しを行うこととなっている。こうした機会を捉え、その時点での状況を踏まえながら市としての意見を提出してまいりたい。
市が「市民の健康を守っていくんだ」という意識で、しっかり国や県に意見を言っていくことが、大きな力になります。
引き続き声を上げていくことを求めました。
法定外繰入(決算補填等目的以外)の実施
現在は令和9年度の準統一に向けて、県の赤字削減解消計画に沿い、計画的に法定外繰入金を削減しているところ。実施は難しい。
自治体キャラバン資料集によれば、今年度は県内で25自治体が「決算補填等目的以外」の法定外繰り入れを行っていた。
この決算補填等目的以外というのは、具体的にどんな内容なのか。
埼玉県に確認したところ、県内市町村の決算補填等以外の法定外繰り入れ金の理由の主なものは、保健事業費に充てるためとのこと。
法定外繰り入れの理由となる「決算補填等目的以外」の内容としては、『保健事業費』だけではなく『保険税の減免額に充てるもの』(新型コロナウイルス感染症関連減免なども該当)も、決算補填等目的以外の法定外繰り入れとして法的には認められています。
そのため、「法定外繰り入れはすべて解消せよ」という県の指導はあっても、これは国以上の求めとなるので、あくまで助言であり、市の施策として繰り入れることは可能です。
子ども分(均等割分)の減免実施について
子どもの保険税軽減は、全国市長会から国に対する重点提言の中で、国が財源を確保した上で、子どもの保険税軽減の対象年齢や軽減割合の拡大について毎年要望をしており、国においても継続的な検討課題として位置づけている。
現在は令和9年度の準統一に向けて、各市町村が取り組みを進めているところであり、市の独自制度を新たに行うことは難しい状況。
また、国民健康保険は国の皆保険制度に基づくものであり、保険税を軽減する場合はその軽減分の財源を市が単独で全て負担するのではなく、国庫負担を前提とした軽減措置として制度化されることが望ましいと考えているところでございます。
県からの指導もあくまで技術的助言であって、法定外繰り入れを行うことは法的に認められている中、県内でも11市町村で子どもの均等割免除を行っている。
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税額がこれからどんどん引き上がっていく中で、せめて子どもが多いほど負担が重くなる、子どもの均等割分が免除されれば、その世帯にとって非常に大きな助けになる。
市の子育て支援策として、18歳までの子どもの均等割減免を求めるがいかがか。
ご質問の趣旨は十分理解している。
全国市長会を通じ、子どもの税軽減の対象年齢や軽減割合の拡大について毎年要望をさせていただいている。
しかし、繰り返しになるが、県内準統一、その後の完全統一に向け、各市町村とも取り組んでいる中、独自施策を新たに始めるというのは、非常に厳しい状況というふうに考えている。
市長に伺う。
毎年、私たち日本共産党蓮田市議団では、当初予算の提案がなされる3月には、子どもの均等割免除を導入するための条例改正案と予算組み替えの提案を提出している。
国が本来やるべきものだが、国がやらない中にあっては、市がやるべきだと思っている。
18歳までの子どもの均等割免除、市長のお考えでの実施を求める。
趣旨はよくわかっている。しかし、そうできない。
子どもの保険税軽減は、私も特に国がやるべきだと、本当に思っている。
その中で今年6月に私も出席した、第94回の全国市長会議では、子どもにかかる均等割保険料を軽減する支援制度について、国において必要な財源を確保した上で、対象年齢や軽減割合を拡大する等制度を拡充すること、と重点提言の中で決定した。
そして7月に全国市長会から国に要請をした。
市だけが負担するのではなく、国民皆保険と榎本議員もよくおっしゃるが、それは国の施策であり、国庫負担を前提として法制度化すべきものと考えている。


