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野分 No huaqueroのブログ

個人的メモ、雑記、等。

毎年「このマンガがすごい!」というのをランキングにして発表していて、その話題性も少なくなってきてはいるが、それを見てもやはり自分と世間の漫画に期待するものの差がはっきりあると感じる。
多くの人はどんなジャンルであれ漫画的な漫画を求めていて、個人的には漫画から逸脱した未知のものを求めている。とはいえ当然面白いものとして成り立っているものだが。

『孤高の人』という新田次郎の小説と、それを現代版にアレンジした坂本眞一の漫画がある。
自分は先に漫画を読んでから小説を読んだが、漫画をなかなかすごいと思ったが小説の方が圧倒だった。その差は何だったかというと、小説と漫画という異なる媒体やら作者の力量やらもあるかもしれないが、時代である。小説は大正から昭和初期という時代を背景に、実在した加藤文太郎という登山家を書いている。漫画はそれを作者なりに現代に置き換えて描いたものなのだが、どちらにも山という大自然とそれに付随する人間の儚さ、死にテーマを大きく置いている。日常生活と山に身を置く時の差。死と隣り合わせなれどそこに不快感はなく、総てを受け入れられる山。各々の思惑が絡み合い、精神的に辛い人間社会での生活。山に時代は大差ない。しかし読んでいて現代版である漫画の方は、社会における文太郎の不安がリアルに伝わるため、こちらにもストレスになる。小説の方のそれは昔である。共産主義のいわゆるアカや戦争や貧困や、現代にいてリアルに感じることのない不安は、好奇心やスリルになる。この差はとても大きい。かたやストレスかたやスリルである。読後感が全く違うことは当然である。
しかしかといってストレスを与えるものが悪いというわけではない。実際漫画を読んで、しんどかったけれどそれが充実感に繋がっていた。大切なのは場合による使い分けである。緊張と緩和のようなものもだが、何にでも使いようによっては活きも死にもする。