今年の年末の「第九」は、都響と東響の2公演を聴いた。公演日は2日違いで、会場は共にサントリーホール。
■都響スペシャル「第九」(12/26サントリーホール)
[指揮]大野和士
[ソプラノ]小林厚子
[メゾソプラノ]富岡明子
[テノール]与儀 巧
[バリトン]清水勇磨
[合唱]二期会合唱団
当初予定の準・メルクルを久しぶりに聴きたくて選んだ公演。入国制限により指揮者が音楽監督・大野和士に変更となったが、こんなことでも無ければ大野さんの第九は聴いていなかったかもしれない。結果的にこれが大正解。大野&都響の最近の好調ぶりは他公演のレビューでも伝え聞いていたが、それを証明する熱演となった。
と言っても、何か特別なことをしている訳ではない。特定のパートやフレーズが殊更に強調される場面も無い。演奏の印象としてはむしろクラシカルで、最終楽章における歓喜の主題の昂まりや、合唱とオケとの息詰まる掛け合いや、熱く燃えるコーダの疾走感など、この曲でここが聴きたいというツボを悉く満たしてくれる。要所でぐっと腰を落とすように溜めるテンポも王道を征く如し。ソプラノの小林厚子が好演。
■東京交響楽団 特別演奏会「第九」2021(12/28サントリーホール)
[指揮]ジョナサン・ノット
[ソプラノ]盛田麻央
[メゾソプラノ]金子美香
[テノール]小原啓楼
[バリトン]甲斐栄次郎
[合唱]新国立劇場合唱団
ノット&東響の第九もこれで3年目。12月前半の公演を振ったノットはそのまま居残りで出演できたが、こちらは独唱陣が当初予定の外国人歌手から4人とも日本人歌手に変更となった。
基本的なアプローチは前2年と大きく変わっていないはずだが、直近で聴いた公演によっても演奏の印象は変わる。大野&都響の第九ががっぷり四つに組んだ力勝負の横綱相撲だとすれば、こちらは張り手も足技もある手数の多い第九。臨機応変の自在性はあるものの、盤石の構えで勝負する前者に比べ、終始せかせかと落ち着かない印象を与えるのも確か(超高速のアラ・マルチアはテノール泣かせ…)。
昨年に続き、少数精鋭の新国立劇場合唱団が実に正確無比な合唱を披露。終演後は恒例の「蛍の光」。ちなみに、昨年書いた小骨の件(第2楽章主部後半のくり返し)は、大野&都響は無し、ノット&東響は例年通り有り(それでも全体の演奏時間は前者の方が長かった)。
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以上で今年のコンサート予定も終了。通ったコンサートの総数は83公演(演劇・ダンス・配信を除く)。一昨年が93公演、昨年が55公演で、外来オケを一度も聴かなかったことを考えれば、思っていたより早くコロナ前の水準に戻った気がする。ただその内訳は、以前とは確実に変化しているとも思う。さて、来年の今頃は、どんな変化を実感しているのだろうか? 来る年もまた、素敵な音楽との出会いがありますように。