■第19回読響アンサンブル・シリーズ(10/22よみうり大手町ホール)
[リーダー]日下紗矢子
[チェンバロ]北谷直樹(ビーバー、バッハ)
[フルート]フリスト・ドブリノヴ(バッハ)
ビーバー/バッターリア
J.S.バッハ/ブランデンブルク協奏曲第5番 二長調
(アンコール)バッハ/トリオ・ソナタ ハ短調 BWV1037より ジーグ
バルトーク/弦楽のためのディヴェルティメント
(アンコール)モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調 K136より 第3楽章
今回の読響アンサンブル・シリーズは、昨年6月以来の日下紗矢子リーダーによる室内合奏団。ビーバー、バッハ、バルトークという変則3大Bを、お馴染みの立奏スタイルで聴く。
1曲目の「バッターリア」は初めて聴く作品。舞台中央にチェンバロの北谷さん、その周りを9人の奏者たちが囲む。10分ほどの小品だが、8つの短い楽章から成るとても興味深い内容である。コル・レーニョあり、手で叩くのあり、足踏みあり…という効果音を交えながら、戦いの様子を描写していく。酔っぱらった兵士たちがおのおの調子っぱずれに歌うさまを描いたり、ピチカートで銃声を模倣したり、ある楽章では装飾的なソロを弾く日下さんと、弦と指板の間に紙のようなものを挟みそれを弓で叩き続けるコントラバスのデュオだったり。最後は負傷した兵士がガクッとくずおれるようにして終結。
2曲目はなかなか改めて実演で聴く機会が無いブランデンブルク協奏曲の第5番。第1楽章では超絶的に速い北谷さんによるカデンツァを堪能、第2楽章では日下さん、北谷さん、そして読響のドブリノヴ首席のフルートでトリオをじっくりと味わった。ビーバーでは外されていたチェンバロの反響板がこの曲では取り付けられたが、その内側にはベニスのカナル・グランデと思われる雅びな風景画が描かれていた。休憩前のアンコールは、トリオの3人にチェロの富岡さんも加わった4人編成で、伝バッハによるジーグが演奏された。
後半はバルトークの「弦楽のためのディヴェルティメント」。考えてみるとこの曲も、実演で聴くのは初めてかもしれない。そしてこれまでに聴いたこのシリーズでも屈指の名演だったように思う。5-5-4-4-2という20人編成によって、ハーモニーの愉悦、ユニゾンの陶酔、弱音の神秘、ピチカートの躍動…といった弦楽アンサンブルの魅力と可能性が次々と展開されてゆく。とりわけ暗鬱な緊張感が張りつめた第2楽章が絶品で、とても室内楽とは思えない圧倒的なスケールの広がりを感じさせた。演奏も良かったが、曲の良さも再認識。バルトーク最良の仕事のひとつだと個人的には思う。
ディヴェルティメントつながりで、アンコールには定番のモーツァルト。でもアンサンブルがいささかワイルドで勇ましかったのは、未だ濃厚に余韻が残るバルトークのせいだったに違いない。