不必要な顧客を見極める
●提供すべきお客様は一体誰か?
いいサービスを提供していくのに、必ず「売れるサービス」を基準に誰がお客様なのかということを
はっきりと定義づけしなくてはならない。
こだわりの蕎麦屋で、
「どうしてうどんがないんだ!企業努力をしろ!」
という人は、そもそも事業者が本腰を入れて提供したいサービスとは
全く異なるものを要求しているのだから、サービス提供者はこれを
「顧客ニーズ」だとか、「クレーム」として応える必要は全くない。
この人のためにも、本当にうまいうどん屋に行ってもらった方がお互いが幸せです。
本当にうまい、こだわりの蕎麦を出す店にとって必要はお客は、
「この店の蕎麦じゃないと嫌なんだよ」
「ここの蕎麦は日本一おいしい」
「ここは蕎麦だけじゃなくて、全体的になんていうか落ち着くんだよ」
「こういう蕎麦を出す店主の人となりがいい」
というお客様が対象になります。
もちろん、こういったことを中心に「近いから」とか、「たまには蕎麦を食べたいから」
というロイヤルティの低いお客に来てもらうことも間違いではない。
満足してもらった先に、感動を望む人がリピーターになってくれればそれでいいのです。
それが「お客様」です。
接客の本当に重要で、まず最初にやらなくてはいけないことは、
「誰がお客様なのか」ということを自社のサービスの基準に合わせて判別し、
ふるいにかけること。
誰にも彼にも応えていると、本当にお客様ではない人のクレームやわがままに応える体質ができる。
たとえばこだわりの本当においしい蕎麦屋でうどんがメニューに加わったらどうなるだろう。
もっとエスカレートして、ランチ客のためにカレーや天丼、挙句の果てにはラーメンまで
メニューに加わったとしたら。
こうなってしまうのも、元を糺せばサービス提供者側が
「誰がお客様で、誰がお客様ではないか」
を明確にしなかったか、明確にしたとしても接客でそれが実行されなかったかのどちらか。
誰がお客様かをはっきりさせて、お客様には最高のサービスを、
そうでない人にはお断りをすることが接客のキホン。
誰もそんなこと言わないと思いますが・・・。
●サービス理念を明確に
不必要なお客様を位置づけたり、決めたり、まして断るのは経営者も
現場のサービス提供者もとても勇気が必要です。
ただし、経営者としてはスタッフに見境のない接客を強要してサービスそのものの
レベルが、長い目で見れば引き下がることを考えなくてはいけません。
と、同時に、結局はそれがスタッフ自身のクビを締めることにつながるということを
良く理解して、伝えなくてはなりません。
何事も最初行うときがいちばん大変です。
スタッフにこのような意識を持ってもらうことや、伝えた結果
「個人の感情的に気に入らないヤツだから断ってやる」というスタッフが
出てきたときのことを考えると、なかなか踏み切ることを躊躇してしまうものです。
また、そんなことをして売り上げが下がったらどうするんだ、という意見もあるかもしれません。
しかし、何もせずに今のままであれば、業界の景気が継続すれば多少スタッフの
笑顔が消えても、今の売り上げをキープできるかもしません。
しかし、長い目で見ればロイヤルティの高いお客が離れていくのは確実ですから、
景気に関係なく売り上げをキープすることは難しくなります。
一気に「改革断行!」とやってしまうとスタッフだけではなく、
既存客からも反感を持たれてしまうので、まずはサービス理念を決めるところから
やってみるといいでしょう。
経営理念とは違って、サービスはそれを提供するスタッフも一緒に考えていいかもしれません。
サービス理念は自分達が本当に一生懸命提供したいサービスを決める作業です。
理解を示してくれるお客様になら寝食を惜しんでもサービスを提供したい!
そうでないお客様には良さを伝えてもっとロイヤルティの高いお客様になってほしい!というものです。
●サービス理念を決めたら手段を考える
サービス理念が決まったら、スタッフが心の底からそれを理解している状況を作りましょう。
経営者の力の入れどころです。
そして意思疎通が確実にできる段階になったらこう問いかけてみてください。
「このサービス理念を、まず現場からやっていこう。現場でできることは何があるかな?」
この質問でスタッフの自主性を促すことができますし、サービス理念がより明確になります。
経営者はここで大きく方向性がずれたり、目標を見失ったりしていないかということ
にさえ気をつけていれば十分です。
あとは状況をよく見て、最終的にお客様でない人を「断る」ところまで
徐々に接客力を伸ばしていくことができればロイヤルティの高いお客様に支えられた
素晴らしいサービス提供者に生まれ変わるでしょう。