クラシック & モダニズム -6ページ目

師走・・・


     窓の外陽射しが我を誘ひて
            外に出でれば師走漂ふ


     店頭を眺めて思ふ季節感
            ああクリスマス次は年越し


     世の常にいつも微笑む光景よ
            宗教問わずクリスマスイブ


     慎ましいけれども優雅我が庵
            せめて飾ろふサンタキャンドル


     十二月極月師走クリスマス
            来ては過ぎ行く歓喜か無情



枇杷の花


     枇杷の花風に漂ふ香りかな


     ふと見ればそっと咲きをり枇杷の花


     枇杷の花葉に囲まれて正座かな


     枇杷の香に花が咲いたと気付きをり


     枇杷の花この身を埋め委ねたり


     和むほど癒されたもふ枇杷の花


     枝先にこんもり枇杷の花や花


     荒れた地も香り潤ふ枇杷の花


     雨だれにポツンと揺れる枇杷の花


     枇杷の花雨に霞みて浮き立ちて


藤袴


     藤袴淡き小花の冠り咲く


     儚げな想ひ漂ふ藤袴


     藤袴いと淋しけれ恋しけり


     ためらひの息吹に濡れし藤袴


     藤袴真綿泡立つごとく咲き


     藤袴渇きし花の香りかな


     冠り揺れ雨に囁く藤袴


     彼の人の思い慰む藤袴


     愛しげに何故か魅かるる藤袴


     振り返り眺むるほどに藤袴


竹の春


     誰が為に風にさわさわ竹の春


     竹の春天を目差や見下ろすや


     円の字を描き立ちをり竹の春


     竹春や節目節目の墨絵かな


     竹春の墨絵は節の手形かな


     竹の春下から上となぞり見ゆ


     見上げれば青空に映え竹の春


     眼を閉じて聴くや調べは竹の春


     雨に濡れ雫こぼれり竹の春


     青空に雨にもたるる竹の春


水の掬び・・・


薄氷に映る姿は歪んでも
        陽射す水底清流流る


真心のこもったものを感動と
        言葉に変える美の掬びかな


生きること感じつ響く魂に
        水を掬びて禊し我を


「森の花ざかり」より