夏休みの宿題。

中学生はやはり例年と同様、「読書感想文」に苦しめられてました。

ぼくも、ここに読書感想文を書こうと思います。

ぼくが読んだ本は、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」という、おまわりさんが主人公の漫画です。読んだ時期は、10代のほぼすべてと、20代も、わりと。30代は、たまに。

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こち亀が終わるそうです。

たしか学生の頃に100巻までは読破しました。

「うちの子は本が嫌いで読解力が心配」と面談で言われたときは、「こち亀を読めばいいですよ」と答えてました。今の中3のKくんも、中2の頃の面談で伝えて、お母さんに「こち亀」を買ってもらってました。

世相の中でも少しマニアックな知識が紹介される回が、ぼくは大好きでした。G.I.ジョーやリカちゃん人形、戦車の回あたりは、バイブルでした。

世相だけでなく、常識にとらわれない自由な心も、この漫画から教わりました。自由=両さんとしたら、対になるのは堅物の大原部長。でもほかの漫画と違い、その構図は敵味方ではなく、信頼関係の中で見事に調和、共存しています。

ぼくが小学生の頃は、近所に駄菓子屋があって、放課後の気の遠くなるような長い時間を、そこのベンチで友だちとかんしゃく玉鳴らしながら無為に過ごしていました。年上、年下、毎日顔を合わせる子、見知らぬ子が入り混じるなか、みんなを見守り続けていた駄菓子屋のおじちゃん。振り返ると、学校の先生とはまた違った、もうひとりの「教育者」だったと思います。高校生になったら話しかけもしなかったけれど、不思議と心の中に残っていて、子供のころに声かけられた一言一言が、今でもしみじみと思い出される。

こち亀の両さん、正確に言うと、作者の秋本治さんも、そんな「教育者」でした。表現をする人、そしてその作品に共通して言えることなのかもしれないけれど、心に残り、時に道標になってくれました。軽快に、何の後腐れもなく。

ぼくもいつか、そんな塾の先生になりたい。破天荒とかそういうのではなくて、授業の合間の生徒との会話や思い出が、何となく軽快に生徒の心に残れば、と。今はまだビジネスとかライフワークとかの範疇だけれども、コツコツ頑張って、20年後くらいにそんな風に成れてればいいなあ、と。

「ありがとう」と言える漫画は少ない。しかし「こち亀」は、我々の世代から最大の敬意と祝福と感謝を受けながら、最終回を迎えるでしょう。ありがとう、こち亀。

ちなみにぼくは、海パン刑事が大好きでした。

山崎直人