2.7 公務員を悪者扱いすることによってもたらされた危害(続き)

本章で取り上げる各州からの例は、以下のとおり。ただし、このリストは決してすべてを網羅していることを意味していない。

・アリゾナ:ケイティ・ホッブス州務長官の自宅住所と息子の電話番号が公表された後、「我々はお前を見張っている」と叫んで、デモ隊が彼女の自宅の周りを取り囲んだ。その時、あるソーシャルメディアのユーザーは、「彼女の家を焼き尽くそう。そして彼女の家族を殺し、これらの詐欺師に教訓を教えよう」と提案した。ホッブス長官は、それ以降、脅迫を受け続け、「お前は追いつめられるだろう、そしてアリゾナでは決して二度と安全ではいられないだろう」との2021年9月のボイスメッセージを含む100件以上の脅迫があったと連捜査局(FBI)に報告した。

・アリゾナ:マリコパ郡記録官(Maricopa County Recorder)エイドリアン・フォンテスは、避難する必要があった場合に備えて彼の家族が非常持ち出し袋を詰める必要があったこと、脅迫があったことから、彼の家族に対する深刻な脅迫があった後に彼の子供たちを3日に少なくとも一度、自宅から外に移したことを連邦議会で証言した。

・アリゾナ:共和党州議会上院議員のポール・ボイヤーは、選挙紛争をめぐりマリコパ郡の郡監督委員(County Supervisors)に懲役刑を科すことに反対投票を行った後に、彼の家族を避難させ、警察の保護を受け、電話番号を変えることを余儀なくされた。

・アリゾナ:2021年1月5日、あるブログのコメントが、マリコパ郡監督委員会の一部の委員が「裏切りへの罰としてよき古き時代のスタイルのネクタイ・パーティを獲得した」(訳注:「よき古き時代のスタイルのネクタイ・パーティ」とは葬儀パーティを意味するようである)ということを示唆した。監督委員会の委員であるクリント・ヒックマンによれば、「脅威は決してなくならなかった」。そして、1月6日、警察は、ヒックマンと家族に彼らの自宅から退避するよう説得した。

・ミシガン:州務長官ジョセリン・ベンソンと彼女の家族は、彼女が息子と時間を過ごしていて、彼を就寝させようとしていた間に、メガホンと銃器を所持した数十名の抗議者が自宅の周りで卑猥でどぎつい脅しをメガホンで叫びながら集合したことから、その後の数日間、自宅を離れざるをえなかった。ベンソン長官は、脅威が継続した結果として安心と感じたのは「時々」だけだったと述べた。

・ミシガン:ウェイン郡開票点検委員会(Board of Canvassers)の数名の委員が、ミシガン州開票点検委員会の共和党委員であるアーロン・バン・ランゲヴェルデが脅迫を受けたのと同様に、脅迫を受けた。バン・ランゲヴェルデは、ミシガンの選挙を認証した後に、通信に激しい攻撃を受け、群衆が彼の自宅の周りに現れ始めたことで、警察は彼とその家族の安全を確保することと、彼を州全域でエスコートすることを余儀なくされた。

・ミシガン:民主党員であるデトロイト市職員ジャニス・ウインフリーと共和党員であるロチェスター・ヒル市職員テイナ・バートンの二人がターゲットにされた。バートンは、選挙係員としての10年間にわたる業務において殺しの脅迫を受けたことはなかったが、2020年大統領選挙の結果として、「彼女と彼女の家族を殺すと繰り返し脅した」匿名の電話などの「連発する脅迫といやがらせ」を受けた。ウインフリーは、彼女を監視していたと言い、「お前はこの選挙でのお前の行動に対して法外に高い代償を支払うことになるだろう」と述べた男と自宅の外で遭遇した。彼女は、彼女に対する殺しの脅迫が続いたことで銃を携行し始めた。

・ミシガン:ミシガン州議会下院議長リー・チャットフィールドは、「私と私の家族が、共和党と民主党の両方の議員と共に、非常に多くの脅迫を受けた」ことを確認した。これには、州議会下院監督委員会の筆頭民主党議員のシンシア・ジョンソンが含まれており、彼女はジュリアーニが彼女の委員会に提供した証人の発言に疑義を提起した後に絞首刑による殺害をすると脅迫された。

・ペンシルバニア:ペンシルバニア州務長官キャシー・ブックバーは、「非常に多くの脅迫を受けたことから、街頭を犬を連れて歩くことが不安であった」と述べた。これは、2020年11月の夜の自宅にいたときの彼女を殺すというメッセージがあったからであり、これによって彼女と夫は1週間、避難することを余儀なくされた。

・ペンシルバニア:州議会下院議長ブライアン・カットラーは、彼の地方事務所あるいは彼の自宅の外で少なくとも3回の抗議活動に出会い、最初の抗議があったとき、当時15歳であった彼の息子は自宅に一人でいたと、特別委員会に証言した。州上院議員ジェーク・コーマンのスポークスパーソンは、彼も暴力の脅威の対象となったが、それは、州上院議会多数党総務キム・ワードが受けた脅威と同様のものであったと、2020年12月に明らかにしていた。

・ペンシルバニア:フィラデルフィア・シティ・コミッショナー(訳注:選挙管理委員会委員)のオマール・サビィアは、彼の自宅から避難して数夜を過ごし、2020年選挙後の1年間継続して殺害の脅しを受けていたが、「私は自宅の外を歩くときは常に不安を覚えていた」と思い起こしていた。もう一人のシティ・コミッショナーのリサ・ディーレイもまた、殺害の脅しを受けており、その結果現在でも時々不安発作に悩む時があると述べた。

・ジョージア:ジョージア州務長官ブラッド・ラッフェンスパーガーのEメールと電話番号が公表された後、彼と彼の妻は、頻繁に敵対的なメッセージを受け取り、そのいくつは、「典型的に性的な攻撃」という形をとったとラッフェンスパーガーは述べた。その結果、彼の妻は、子供たちの安全性に対する恐れがあることから彼らの孫たちを訪問することキャンセルした。それは、警察が彼らの自宅の外に「オースキーパーズ」のメンバーであることを自認する者たちがいたことを発見し、何者かが彼らの義理の娘の自宅に侵入した後に起きたことなので、過剰反応ではなかった。

・ジョージア:2021年1月5日、ケンプ知事とラッフェンスパーガー州務長官は、「これらの裏切り者の命を終わらせること」を人々に奨励する「クレイグスリスト」上の投稿の中でその氏名が挙げられていた。

・ジョージア:フルトン郡選挙局長リチャード・バロンは、トランプ大統領が12月5日の集会で再生したビデオのスクリーン上で名前を挙げられ、描かれた。バロンは、このことによって、彼自身を含む選挙係員をターゲットにした殺害脅迫の急増を招いたと述べた。彼のチームの登録係の主任であるラルフ・ジョーンズは、選挙の後、「撃ち殺されるべきニグロ」と彼に向けたものと、もう一件は「トラックで身体を引きずり回して彼を殺せ」と脅すものを含む殺害脅迫を受けた。

・ジョージア:ジョージア州の10の郡選挙事務所は、「ボストン爆弾テロ事件を子供の遊びのように思わせるような爆弾テロになるだろうといい、「トランプが合衆国大統領となることが保証されるまで死と破壊が続くこととなる」というEメールでの脅しを受け取った。

トランプ大統領と彼の盟友が引き起こした恐怖の最も顕著な例の一つは、ジョージアで発生した。母と娘である、選挙係員のルビー・フリーマンとシェイ・モスは、合衆国大統領によって引き起こされ、あおりたてられた人種差別的暴力とリンチ殺人をしばしば呼び掛ける、常軌を逸した恐るべき嫌がらせと脅しに責め立てられたのだ。

先に述べられていたように、ジョージアの州議会におけるヒアリングで、ジュリアーニは、公然とそして根拠もなしに、フリーマンとモスが犯罪行為に関わったと非難をした。ジュリアーニは、二名の黒人女性が「あたかもそれらがヒロインかコカインの小瓶であるかのように」USBドライブをこっそり持ち出していたと主張する前に、フリーマンがモスにジンジャーミントを手渡しているビデオを見せた。

トランプ大統領もまた、フリーマンとモスにこだわったようであった。彼は、ジョージアにおける12月5日の集会のあった「ステート・ファーム・アリーナ」の中で彼らを見せた監視ビデオを上映した。そして、トランプ大統領は、彼の勝利を確保するために十分な票を単純に「見つけだす」ように依頼したラッフェンスパーガー州務長官に対する1月2日の電話中にフリーマンの名前を18回言及した。

フリーマンとモスの人生は永久に変わった。彼らの連絡先が公表された後、彼らは、大統領の支持者によって責め立てられた。2020年12月始めに、フリーマンは、「数百回の脅迫が自宅にあったと警察に告げた。」モスの息子もまた、「ニグロの母親の側で首を吊るべきだ」と述べたものを含む脅迫の電話を受け始めたと述べた。

トランプ大統領の2020年12月5日の集会の後、フリーマンは、数名の不審者が彼女をおびき出そうとして彼女の自宅にやってきて、脅迫するEメールとテキストメッセージを送ってきたことから、911(警察)に電話をした。ちょうど午後10時前、彼女の自宅のドアを大きく叩く音を聞いた後、彼女は助けを求めて911の通信指令係に訴えた。「神様、警察官はどこにいるのですか。」彼女は通信指令係に尋ねた。「自宅のドアを誰が叩き続けているのかわかりません。助けてください。」最終的に、フリーマンは、連邦捜査局(FBI)の助言に従って自宅から避難した。彼女は、数か月間自宅に戻ることはなかった。

特別委員会に対する証言で、フリーマンは、彼女が「数百件の人種差別的な、脅迫する、怖ろしい電話とメッセージを受け取った様子について詳しく話をし、「今では、どこにも自分が安心と感じる場所がない」と述べた。しかし、大統領と彼の支持者がフリーマンから奪ったものは安心感だけではなかった。彼女はまた、彼女の名声と評判も失ったと特別委員会で述べた。
「私の名前は、ルビー・フリードマンです。神があなたの名前を素晴らしいものにするという時、私は常にそれを信じてきました。しかし、それは、そうではありませんでした。2020年大統領選挙後に起こった出来事は、私には思いもよらないことでした。私の職業生活全体において、私はレディ・ルビーでした。私が生まれてこれまでの私の全人生を生きてきたジョージアの私のコミュニティは、私をレディ・ルビーとして認識していました。・・・今では、私はもはや私の名前で自己紹介をすることさえありません。食料雑貨店で私が私の名前を呼ぶ知人の誰かに遭遇したとき、私は、神経質になります。誰かが聞いているのではと不安になります。食品の注文にあたって名前を告げるとき
に気を使います。誰が周囲にいるかについて常に懸念しています。
私は、私の名声を失い、私の評判も失いました。

私は、私が安心でいるという感覚を失いました。・・・・これはすべて、第45代という称号から始まる人(第45代大統領トランプ)と彼の盟友であるルディ・ジュリアーニのグループが大統領選挙は盗まれたという自分たちの嘘を広げるために私と私の娘のシェイをスケープゴートにすると決定したことで起こったことです。」

フリーマンの恐怖の感覚には十分な根拠に基づくものであった。連邦検察当局によれば、1月6日の暴動で果たした役割に関して複数の罪で有罪を宣告された「オースキーパーズ」民兵のあるメンバーは、その上部に死んで欲しい人物の名前を載せた「デス・リスト」と書かれている文書をその自宅に保管していた。
彼のデス・リストには、まさに二人の名前が記載されていた。ルビー・フリーマンとシェイ・モスの二人だ。

(第2章終わり。以下、「第3章 偽選挙人と「上院議長戦略」」に続く)