3.2トランプ大統領と選挙対策本部が偽選挙人スキームを採用 

 

12月の始め、トランプ選挙対策本部の最高幹部は、チェスブローの偽選挙人プランに注目し、そのオペレーション化を始めた。12月6日、大統領首席補佐官マーク・メドウズは、チェスブローの2020年11月18日覚書の写しをトランプ選挙対策本部上級顧問ジェーソン・ミラーに送付し、「これに関して明日話し合おう」と書いた。ミラーは、その件に関して記者たちと議論したと回答したが、メドウズは、「君がそれに賛成なら、会うことは気にしないで欲しい。我々はただ州の選挙人を調整することだけが必要なだけだ」と書いた。ミラーは、「我々はこれまで単にPR視点からだけで活動していた」こと、そして、二人は依然会うべきだということを明らかにした。メドウズは、「了解した」と回答した。

 

その週の遅くになって、ミラーはメドウズにトランプ選挙対策本部が編集したスプレッドシートを送った。それは、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルバニアそしてウイスコンシンに関する11月選挙の選挙人団に指名された79名のほぼすべての共和党員の連絡先を列挙していた。そして12月8日、メドウズは、ある元ルイジアナ州議会議員からのテキストメッセージを受け取った。それは、「アリゾナ、ミシガン、ジョージア、ペンシルバニア、ウイスコンシン、ネバダから提案されるトランプ選挙人のすべてが来週の月曜日に彼らの州議会議事堂で集会し、開会を宣言し、選挙人を選び、彼らの票を(トランプ)大統領に投票する。その後、彼らは彼らの票を認証し、その証書をワシントンに届ける」ことを提言した。メドウズは、「我々はそうするつもりだ」と回答した。 

 

大統領に対する特別補佐官で大統領首席補佐官マーク・メドウズの補佐官であったキャシディ・ハッチンソンは、メドウズの同プランへのかなりの関与を確認した。ハッチンソンは、特別委員会に対して、メドウズが偽選挙人の取り組みの進展を細かくフォローしたこと、メドウズが頻繁に多くの人々と電話、会議、接触を持ったこと、そしてこの件が我々のオフィスでの議論での目立った話題であったことを記憶していると語った。彼の電話や会合でその話題がどれほど多かったかを聞かれ、ハッチンソンは「数十回」と推定した。 

 

12月7日また8日までに、トランプ大統領は、偽選挙人プランを追求する決定を行い、それを推進していたことを証拠が示唆している。トランプ選挙対策本部の副法務顧問ジョシュア・フィンドレーは、12月7日から8日ごろに、同対策本部の法務顧問マシュー・モーガンから、トランプが敗北した一握りの州の認定されていないトランプ選挙人を集める可能性について探る任務を与えられた。フィンドレーは、「大統領がこの決定を行ったというのが私の理解です」と、特別委員会に述べた。フィンドレーが詳しく語ったように、モーガンは、顧客(トランプ大統領)が選挙対策本部の弁護士たちに「これらの争いとなる可能性のある州の選挙人を調査する」よう指示したと伝えた。 

 

トランプ大統領は、このスキームに対する協力を求めるため、12月14日の数日前に共和党全国委員会(RNC)委員長ロナ・マクダニエルに自ら電話をかけた。トランプ大統領は、マクダニエルをジョン・イーストマンに紹介することで会話を開始した。イーストマンは、「共和党全国委員会が継続している法的異議申し立てがいくつかの州で選挙結果を変えた場合に備えてこれらの選挙人を集めることに手助けすることの重要性」を説明した。マクダニエルによれば、彼女は会話が終わった直後にトランプ大統領に電話を折り返し、彼女がその要求に同意し、同党全国委員会の一部のスタッフがすでに支援していることを知らせた。 

 

12月13日と14日、トランプ大統領は、ルディー・ジュリアーニと同プランの実行について共同して動いた。13日には、ミラーが彼の一部の仲間に対して翌日に計画されていた偽選挙人集会に関して宿泊するようテキストメッセージを送った。彼は、ジュリアーニが彼に対して「大統領は、「その取り組みを継続するためだけに」4つの州で彼らが訴訟を提起することになることを知っている」と告げたと彼ら知らせた。特別委員会は、それは偽選挙人がなお遡って有効であると主張するための口実を作り出すことであったと確信している。(その後の訴訟において、連邦地方裁判所は、トランプ大統領は裁判所を通じて、法的救済を得るためでなく、1月6日の連邦議会手続きを妨害するあるいは遅らせるために特定の訴訟を提起したと宣言した。)その翌日、ミラーは、選挙人に関するプレスリリースを出すかどうかを尋ねるEメールを送ったが、「市長(訳注:元ニューヨーク市長であったジュリアーニを指す。)が大統領と話をしている」と告げられた。 

 

3.3 選挙対策本部法務チームが身を退き、ジュリアーニが介入

 

トランプ選挙対策本部のすべてのスタッフが偽選挙人プランを熱心に追求したのではなかった。12月11日に、連邦最高裁判所がペンシルバニア、ジョージア、ミシガンそしてウイスコンシンにおける選挙結果に異議を申し立てるというテキサス州が提起したことで極めて注目された訴訟を拒否した。その判決後、トランプ選挙対策本部の上級法務スタッフは、トランプ大統領がその異議を唱えたいかなる州においても彼が実際に勝利したと裁判所が判断することになるだろうという現実的なシナリオが明らかに存在しないことから、彼らは偽選挙人の取り組みへの関与を減らしたと述べた。トランプ選挙対策本部の法務顧問チームを監督したジャステイン・クラークは、彼が基本的に「私は外れる」と述べ、法務チームの彼の同僚に同じようにすることを奨励した。

 

フィンドレーは、「我々はこのことから手を引いた」と特別委員会に告げ、彼のボスのモーガンは、彼が「その責任をゼロにする私のやり方で」フィンドレーに選挙人に関する責任を放棄させたと述べた。クラークは、特別委員会に対して、「私は、これらの選挙人票が集計されるような偶発事態がなかったことで受け入れることができなかった」と述べた。クラークは、「それは私が同意しなかったものに変わってしまったので、そのプロセスには本当に問題があると思った」と、特別委員会に述べた。彼の見解では、偽選挙人は、正式に指名されたものとして彼らの前に提示されたにもかかわらず、「必ずしもそうではなかった」。彼は、「これらの州で我々が係争中の訴訟を持っていない限り、これが適切であると私は思わないように、これはなすべき正しいことではない」と彼の同僚に警告をしたと思うと述べた。

 

モーガンは、それらの選挙人と称される者たちが州政府の確認する証書によって正式に認定されていない場合、選挙人とされる者たちの名簿を押し付けることには何の価値もないと考えたと特別委員会に述べた。モーガンによれば、「私の考えでは、確認証書を持っていない限り、うまい言い方がないのだが、この選挙人は、決して好ましくはなく、有効ではない」ということであった。フィンドレーは、モーガンが12月11日の最高裁判所の判決後に、「我々がこのプロジェクトを進める理由はほんとうに何も残されていない。我々がこれに関わることはいい考えではないようだ」と彼に告げたことを確認した。

 

選挙対策本部の弁護士たちだけが偽選挙人プランの合法性を疑っていたのではなかった。大統領法律顧問室も同様にこれに関して懸念を表明していた。特別委員会での証言で、大統領法律顧問のパット・シポローネは12月半ばまでに、選挙プロセスは「終わっていた」という彼の見解を確認した。シポローネは、大統領法律顧問室が「おそらく」その選挙人プランについて議論を行っていたことと彼の部下のパット・フィルビンがその選挙人問題の評価に関わっていたと思うと特別委員会に告げた。非公式の特別委員会での面談において、フィルビンは、この期間中の偽選挙人スキームを「モグラたたきゲーム」のような「使えない理屈」の一つとして描いた。シポローネ氏は、彼の性格付けに同意した。

 

キャシディ・ハッチンソンは、特別委員会に対して、大統領法律顧問室の少なくとも一人のメンバーがそのプランは合法的ではないと述べたことを聞いたと証言した。

 委員会スタッフ:「・・・・あなたは、大統領法律顧問室がドナルド・トランプの敗北した州で代替選挙人が集会を行い、投票をするというこのプラ

ンが法的に健全ではないと述べたことを確かに聞きましたか。」

ハッチンソン:「はい、そのとおりです。」

 

ハッチンソンはまた、12月の中旬あるいはそれ以前に、この見解が大統領法律顧問室の弁護士たちによって、ジュリアーニと彼のチームのメンバーに伝えられた会合があったことを思い起こした。

 

12月11日までに、フィンドレーは、激戦州6州の彼の主要な連絡先にEメールを送り、「大統領選挙人プロジェクトに関する作業に感謝します」と書いた。そして、彼の責任をやり過ごすために、今後は、「ルディーのチームがケネス・チェスブローを法律文書に関する窓口に指定しました」と彼らに知らせた。

 

フィンドレーによれば、「ルディーがこれを担当しており、これは彼が望んでいたことなので」、選挙対策本部の中核的な法務チームは12月11日偽選挙人の取り組みの第一線から退いたが、それにもかかわらず、同本部はこれを前に進めた。取り組みをジュリアーニの下で進めるというこの決定は「あなたのクライアントである大統領からのものであったのか」とフィンドレーが質問されたとき、フィンドレーは、「はいそう思います。ルディーがこれを担当すること、ルディーが彼の望んだことを実行しつつあるということを大統領が明確にした」と答えた。

 

フィンドレーはまた、チェスブローの選挙人覚書が「ルディー(ジュリアーニ)とケン(チェスブロー)がこの件を前に進めようとしていた理由を正当化する材料となったと告げられたことを思い起こした。彼は、ジュリアー二がこの件に関するケンの理論を本当に受け入れていたことと、その時点以降「二人がこれを推進するある種の中心人物であった」と説明した。クラークは、「このプロセスを推進していたのはジュリアーニ市長と彼のチームであった」と、特別委員会に語った。12月10日、ケネス・チェスブローがネバダにおける偽選挙人の取り組みに関わっていた同州の共和党幹部の一人にEメールを送ったとき、「私は、トランプ・ペンス選挙人のすべてが12月14日に確実に投票することを可能にすることに焦点を絞っているジュリアーニ市長と今晩話をした」と報告した。

 

この件を引き渡した数日後、チェスブローが、その後トランプ・チームの偽選挙人による儀式で利用され、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ニューメキシコ、ペンシルバニアそしてウイスコンシンにおける主要な関係者と共有されることが意図されていた文書の草案作成を行い、配布することとなった。チェスブローはまた、選挙人がいつ、どこで集会をし、選挙人それぞれが写しに署名を何部すべきか、そして書留便で連邦議会に偽選挙人票を送付する方法等についての一つひとつの実施手順に関するガイダンスもそのいくつかの集団に送付した。「非常に簡単です!」と、彼はこれらのEメールの中でコメントした。

 

マイケル・ローマンという名前の選挙対策本部の活動家もまた、偽選挙人の取り組みにおける重要な作戦上の役割を担った。フィンドレーがこの取り組みにおける一定の責任の引き渡しを行ったEメールを送ったとき、彼はまた、ジュリアーニ・チームがローマンを「12月14日月曜日の投票の実行に関するリーダー」に指名したと書いた。ローマンは、トランプ・チームが今や12月14日に偽選挙人たちを緊急に集会させる必要があった激戦州における政治的働きかけと動員に特化したチームメンバーと共に活動する、トランプ選挙対策本部の「選挙日オペレーション本部長(Director of Election Day Operations)であった。

 

彼の選挙日オペレーション・スタッフ、そしてジュリアーニ・チームとトランプ勝利委員会の一部として選挙対策本部内で働いていた共和党全国委員会のスタッフと共に、ローマンは、急造の「選挙人動員オペレーション(Electors Whip Operation)」を運営した。例えば、ローマンは、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルバニアそしてウイスコンシンの見出しで、連絡先、接触の有無、12月14日の集会への参加に同意したか否か、参加に積極的でないか参加不可能である偽選挙人がいる場合に必要な代りの選挙人の氏名等を列記した「選挙人追跡リスト」を作成することを指示したEメールをスタッフに送付した。ローマンは、このEメールで他の連中を「動員チーム」と称し、彼らに対して、「既に終わっていることとこれから必要なこと」とその日の夕刻における電話の計画を彼に知らせ、スプレッドシートに記入することを指示した。

 

その数日後、このグループは、先にトランプ大統領の選挙人団への被指名者として名前が挙げられていた共和党員の誰が偽選挙人の儀式に姿を見せるのかの追跡、参加を拒否した者の適切な代りとなる者の発掘、そして12月14日に7つの州での認識されてはいなかった選挙人の署名儀式の実際の調整にその焦点を絞った。7州すべてにおいて、これらの偽選挙人を動員する取り組みは、共和党全国委員会と州共和党からの支持を享受した。しかしながら、「我々は選挙人を就任させるために戦った。トランプ選挙対策本部がそうするように我々に依頼したのだ」と、2022年1月に、偽選挙人の一人であり、後にミシガン州共和党の副委員長となったメショーン・マドックが聴衆に語ったように、このプロセスを最初から最後まで推進したのは、トランプ・チームであった。

 

(「3.4 提案された偽選挙人の一部は偽選挙人プランに懸念を表明」に続く)