3.6 偽選挙人プランからの脱落

トランプ選挙対策本部の偽選挙人の票に真正性の輝きを与えようとした取り組みにもかかわらず、彼らは失敗した。連邦議会上院の議事規則専門家は1月3日までの通信において、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ニューメキシコそしてペンシルバニアにおけるトランプ・チームの主張する選挙人からの資料は「州の紋章」を欠いており、「選挙人による署名に関して、いかなる票も州政府による証拠が交付されていなかった」こと、そして、その結果として、これらの資料が連邦法の要件を満たしていなかったことを指摘した。同様に、同上院議事規則専門家は、ジョージア、ニューメキシコそしてペンシルバニアからのトランプ・チームの選挙人名簿は、代わりとなる選挙人に関する知事の認証を要件とするもう一本の州法に違反しているようだと指摘した。
さらに、ミシガンとウイスコンシン州の文書は連邦議会に期限内に届くことはなかったので、彼らはまた要件とされていた法定期限を守ることができなかった。

トランプ・チームの偽選挙人名簿のいくつかもまた、彼らがどこで集会を持つべきかに関して明記している州規則に従っていなかった。ジョージアとウイスコンシンにおいては、州議会議員あるいは彼らのスタッフが彼らの州議会議事堂内で参加者が集会することを支援したように思われる。しかし、ミシガンでは、偽のトランプ選挙人たちは、州議会議事堂ビルに入ることを阻止された。それにもかかわらず、彼らが「ミシガン州ランシング市にある州議会議事堂において集会を行い、午後2時に我々に要求された義務を遂行したことを確認する」という文書に署名をした。その文書は、実は、その日の速い時間に別の場所で署名されていた。そして署名人の1人は、彼女が「そこまで行く必要がなかったので、」州議事堂までの行進に参加しなかったと、特別委員会に告げた。

偽選挙人の票の全体の前提が不十分であった場合、これらの欠陥はまた、彼らには法的妥当性がなかったことも意味している。副大統領が、有権者によって選ばれた真の選挙人を無視するためにこれらの票を決して利用することはなかった。
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月14日と1月6日の間の数週間に、トランプ大統領のチームは、偽選挙人には目標があるという考えを抱いていた。ジュリアーニと大統領のスピーチライターであったスティーブン・ミラーは、12月14日に、認証されていないトランプ票は単なる偶然であることを示唆したパブリックコメントを行ったが、その口実は短期間で放棄された。

例えば、12月17日、ホワイトハウス報道官のケイリー・マケナニーは、フォックス・ニュースで、多数の州で「連邦議会が1月に決定することになる代替選挙人候補者が投票を行った」と述べた。12月21日、トランプ大統領とペンス副大統領がホワイトハウスでの会合に参加したが、その会合では、「フリーダム・コーカス」の連邦議会議員が、争われている7州の1州あるいはそれ以上の州からのバイデン選挙人を副大統領が拒否するように要請した。そして数日後、イーストマンは、ジュリアーニの法務チームのメンバーであるボリス・エプスタインに対するEメールの中で偽選挙人票の存在に言及し、「我々が選挙人の複数の名簿を持っているという事実は、いずれについても不確実性があることを示している。それで十分だ。」と書いた。

第5章でさらに論じるように、そのEメールは、合同会議中にペンス副大統領が上院議長としてバイデン副大統領の選出を妨害あるいは遅らせる一種の権限を主張することができるという誤った法理論に基づいた1月6日の戦略を提案するイーストマンの2頁の覚書を含んでいた。イーストマンが彼の覚書をエプシュタインに提出したとき、彼は、コピーをチェスブローに送ったが、チェスブローはその覚書を編集し、それを「本当に素晴らしい」と称した。

その時点までに、チェスブローとイーストマンは、偽選挙人票とその利用方法に関する議論を調整していた。2021年1月1日、チェスブローは、イーストマンとエプシュタインにペンス副大統領が連邦議会の合同会議を脱線させることを推奨したEメールを送った。その中で、チェスブローは、ペンス副大統領が「いくつかの州で選挙人票の競合する名簿がある」と宣言し、ペンス副大統領だけが、あるいは可能な場合には連邦議会だけがそれらに関するいかなる紛争も解決することができるという立場を採用するというアイデアを提案した。

2日後、イーストマンは、1月6日に関する戦略をトランプ大統領と彼のチームに助言する二つ目の主要な覚書を作成し、再び「7州からの選挙人の二つの名簿」があると主張し、ペンス副大統領がそれらを州議会に再審議するために送り返すか、偽のトランプ選挙人がいる州からの既に認証されたバイデン選挙人を拒絶することで、選挙を覆すことができる措置を講じる「最終的な裁定者」として行動する権限を主張することを要求した。

1月の始めまでに、ミシガンとウイスコンシンからの票以外の偽選挙人の票の多くは、ワシントンに到着した。臆することなく、トランプ・チームはそれらをワシントンまで飛行機で運び、ペンス副大統領その人のためにそれらを連邦議会に手渡しする手配を行った。「最悪なトランプの馬鹿どもがオリジナルな選挙人に関する書類を誰かが上院議長に空輸することを望んだ。」とウイスコンシン共和党役員のマーク・ジェファーソンは、1月4日に同党委員長ヒットに書いた。ヒットは、「わかった。私は[マイク]ローマンからの電話とほかの誰かのテキストメッセージを受け取り損じた。あなたは彼らと既に話をしたのか?これは、まったくのくそったれだ・・・」と返信した。

その翌日、トランプ選挙対策本部の選挙日オペレーションのデピュティ・ディレクターであったG・マイケル・ブラウンは、他の選挙本部スタッフに対して、彼が偽選挙人票を連邦議会に配送する手配をした人物であることを示唆するテキストメッセージを送信した。連邦議事堂を背景にした彼の写真をグループに送信した後、ブラウンは、「この写真は、私がいつか書くことになる本の表紙でなければならない。・・・・私はおそらくこれを私に送ってくれたことに関して[マイク・]ローマンにネクタイか何かを買ってプレゼントしなくてはならない。これは1876年以降行われてはおらず、これを行ったのはわずか3州だけであった」と述べた。1876年に対する言及は、ある州での選挙人票に関する大統領選挙に関する論争を示唆するものである。

トランプ大統領と彼の選挙対策本部はこの取り組みに関して、ロン・ジョンソン上院議員、彼の首席補佐官、マイク・ケリー下院議員の首席補佐官を始めとする連邦議会の盟友からの支援を明らかに受けていた。ただし、ジョンソン上院議員は、「偽選挙人の書類を届けるというその取り組みにたいする[彼の]関与は、数秒しかからなかった」と述べていた。1月6日の朝、ケリー下院議員の首席補佐官は、副大統領の補佐官であるクリス・ホジソンに偽選挙人票を合同会議前に副大統領チームに手渡すことに関してテキストメッセージを送ったが、ホジソンはメッセージを無視した。そのメッセージは、「あなたあるいはあなたのチームの誰かがミシガンとウイスコンシンの小包を受け取る機会に関してのフォローアップです」というものだった。

ロン・ジョンソン上院議員のオフィスによれば、ケリー下院議員の首席補佐官は、ケリー下院議員のオフィスが持っている選挙人名簿をジョンソン上院議員のオフィスに届ける方法に関して当時ジョンソン上院議員の首席補佐官と午前11時58分に、電話で話をした。午前11時30分過ぎ間もなく、トランプ選挙対策本部のウイスコンシンの主任弁護士がジョンソン上院議員に対して、「ウイスコンシン選挙人に関する文書を副大統領のためにあなたに直ちに届ける必要がある。私がすぐ話をできるスタッフはいますか」と書いたテキストをジョンソン上院議員に送付した。ジョンソン上院議員は、その後、問題を処理するために彼の首席補佐官を選挙対策本部に接触させた。

その後まもなく、ジョンソン上院議員の首席補佐官は、「ジョンソン上院議員が副大統領に引き渡したいものがある。連絡をください」とテキストメッセージを副大統領補佐官のホジソンに送った。ホジソンがそれは何か質問したとき、彼が受け取った回答は、「ミシガンとウイスコンシンに関する代わりの選挙人名簿であり、国立公文書館が受け取らなかったからだ。」というものであった。ホジソンは、「それを彼[副大統領]に渡さないでくれ」と、はっきり述べた。

彼(訳注:ペンス副大統領)は、合同会議の議長をつとめるために歩いて行こうとしていた。これら(訳注:偽選挙人票)は郵便で届くはずであった。トランプ・チームが何週間もかけてこれらの偽選挙人票を作成し、届けようとしたが、それらは副大統領に届くことはなかった。しかしながら、たとえ間に合ったとしても、それらは無効であった。トランプ・チームの活動は、連邦議会の合同会議でこれらの偽選挙人票が決定的な役割を果たすだろうという嘘の主張に基づいていた。とはいえ、それらは、我が国が大統領間での権力の平和な移行を実現する方法を決定する公式手続きを違法に妨害することに役立ってしまった。

実際に、合同会議が近づくにつれ、マイク・リー上院議員は、トランプ・チームの上級法務顧問の一人に対する一連のテキストメッセージにおいて偽選挙人に関する深刻な懸念を表明していた。リー上院議員は1か月間競合するトランプ選挙人を州議会に支持させるというアイデアを奨励していたが、トランプ・チームがいかなる州政府機関からの権威付けもないにもかかわらず、1月6日に選挙人票を連邦議会での審議の対象にしようと望んでいたことが明らかになったことで、警戒するようになった。

12月30日、リー上院議員は、トランプの顧問であるクレタ・ミッチェルに対して、1月6日は「共和国それ自体にとって」も含め、「危険なアイデアである」と、テキストメッセージを送った。リー上院議員は、「単純に彼らが彼らの選挙をうまく処理をしたと我々が思わないか、あるいは違法な活動を疑っているからという単純な理由で、どちらかの州の大統領選挙人に異議を申し立てることができるというのは真実ではないので、私は我々が選挙人に異議を申し立てるいかなる根拠も持っていないと思うと、説明した。彼はまた、クレタ・ミッチェルに、そのプランの持っている危険な長期的影響に関して質問した。「これが将来のすべての大統領選挙にとってすべりやすいスロープという問題を作り出すこととならないかどうかについて説明してくれないか。」


(「第4章「選挙が不正だったとだけ言ってくれ、そして後は私に任せてほしい」に続く」