5.4 トランプ大統領、ペンスの生命を危険にさらし、副大統領、彼の家族そしてスタッフが議事堂を襲撃している暴徒にすんでのところで遭遇する原因となった
アリゾナ州の合法的な選挙人をめぐる討論が上院本会議場で生じるに従って、副大統領のスタッフは、場外でトラブルが発生したことを目にした。副大統領の儀式用オフィスの中側から、スタッフは、連邦議事堂の東側に群衆が膨れ上がっているのを目撃した。その後、暴徒は、防護壁を突破した。ペンス副大統領の法律顧問のジェーコブは、「副大統領のオフィスがこの区画で現在最も不人気なオフィスとなっていることから、若いスタッフたちに窓から身を退くように」と助言した。
暴徒からの騒音が聞こえるようになり、暴徒が連邦議事堂内に侵入したことを上院本会議場にいた人々が理解したとき、ペンス副大統領は、アリゾナ州に関する異議申し立てをめぐる議事を進行していた。シークレットサービスは、ペンス副大統領を上院本会議場から退避させた。12分後の午後2時24分、トランプ大統領は、「ペンス副大統領が我が国と我が国の憲法を護るためになすべきことを行う勇気を持っていなかった」とツイートした。その時間までに、シークレットサービスは、廊下を隔てた反対側にある儀礼用オフィスに副大統領を移動させた。しかしながら、状況は制御不能に陥り、彼らはそこに長くとどまることができなくなった。ホワイトハウス副報道官のサラ・マシュ―が後に説明したように、トランプ大統領のツイートは、「火にガソリンを注いだようなものだった。」
トランプ大統領のツイートの30秒後、既に連邦議事堂内に入った暴徒は、廊下を隔てた「イースト・ロタンダ」(円形の広間)のドアを開けた。わずか30秒後に、暴徒は、副大統領よりも一階下にある地下室に侵入した。
ペンス副大統領は、シークレットサービスが行った儀式用オフィスから彼を退避させようとした最初の二回の試みを拒否したが、状況はすぐに防御不能となり、副大統領は、急速に制圧されつつあった議事堂内におけるこのオフィスではもはや彼を保護することができなくなると、シークレットサービスによって告げられた。マーク・ショートは、副大統領のシークレットサービスの警護チームのヘッドであるティム・ジーベルズが「この時点では、このこれらのガラスのドアの後ろでは、あなたを警護できません。したがって、あなたを移動させる必要があります」と述べたことを思い起こした。これは3回目の警告であり、シークレットサービスは、ペンス副大統領に移動するように頼んではいなかった。副大統領が移動させられなければならないという事実を述べていたのであった。午後2時20分、無線通信を傍受していた国家安全保障会議(NSC)のスタッフは、連邦議事堂の二階と上院議場へのドアが今や破られていると報告した。
午後2時25分、シークレットサービスは、一連の廊下と地下道を通じて安全な場所へとペンス副大統領、彼の家族そして彼の上級スタッフに対して急いで階段を降りさせた。副大統領と彼のチームは、その同じ場所にその後4時間半とどまった。
ペンス副大統領が退避していた時、怒り狂った暴徒が、彼の10数メートル近くまで迫っていた。トランプ大統領は、ペンス副大統領の安全性を確認するための電話をかけてこなかった。そこで、副大統領首席補佐官のマーク・ショートは、副大統領が安全で無事であると告げるために大統領首席補佐官のマーク・メドウズに電話をした。ショート自身は、トランプ大統領にとって「好ましくない人物(persona non grata)」となっていた。ペンス副大統領が合衆国憲法に対する誓約を破ることを拒否した後、トランプ大統領は、マーク・ショートのホワイトハウスに対する接触を禁止していた。マーク・ショートは、それ以降、再びトランプ大統領と話をすることは決してなかった。
安全な場所に到着した後、副大統領のシークレットサービス・チームのヘッドは、副大統領を連邦議事堂から離れた場所に移動させたがっており、スタッフは待機中の車に急いだ。しかし、副大統領は、車に乗り込むことを拒否した。グレッグ・ジェーコブは、彼の特別委員会の証言で次のように説明した。:
「副大統領は彼の車に乗り込むつもりはなかった。彼は、彼の身体の安全に対する差し迫った危険性がない限り、連邦議事堂を放棄し、副大統領を逃亡させるか、議事手続きをその日の後刻に再開することを困難にさせるという勝利を暴徒に与えるつもりはなかった。」
それは、アメリカの歴史の中で前代未聞の光景であった。合衆国大統領が彼自身の副大統領を追い求める群衆を激怒させたのだった。
副大統領のスタッフは、副大統領には合同会議で果たすべき役割があったという、国民に対して「突き付けられ、売りつけられた」理論が連邦議事堂に対する襲撃の原因であったと確信した。「連邦議事堂が襲撃された理由は、連邦議事堂に侵入した人々が「選挙結果はまだ決定されておらず、したがって、それを決定するためにワシントンDCで行われるべきと想定されていた何らかの行動があると信じたからであった」と、ジェーコブは、述べた。「私は、[暴力]は彼らが心の底から信じ込んだ人々に継続的に押し付けられ、売りつけられつつあった立場の結果であったと強く信じている。」人々は、合同会議の間に「副大統領には選挙結果を決定する権限がある」と告げられていた。
もちろん、それは、ずっとトランプ大統領とイーストマンの計画であった。その計画とは、選挙が盗まれており、ペンス副大統領が1月6日の上下両院合同会議中にその結果を変える措置を講じることができるというものであった。
ジェーコブは、連邦議事堂が襲撃されたとき、イーストマンにEメールを書いていた。 退避する直前の午後2時14分に、ジェーコブは、彼のEメールの送信ボタンを急いで押したが、「あなたのたわごと(bullshit)のおかげで、我々は、今、包囲されている。」と付け加えた。
イーストマンは、すぐにジェーコブのEメールに返信したが、信じられないことに、襲撃に関してペンス副大統領とジェーコブを非難した。「包囲は、君と君のボスが、アメリカの国民に何が起こっているが理解できる公の方法でこれが報道されることを可能するために必要なことを行わなかったからだ」と、イーストマンは書いた。当然ながら、ジェーコブは「愕然として激怒した。」ペンス副大統領が単純に法に従っただけであり、彼を襲撃の原因として非難することは、「馬鹿げていた。」
両院合同会議再開:「仕事に戻ろうではないか」
上院は、おおむね午後8時06分に再開された。連邦議会の指導部層とペンス副大統領は、国民のための仕事を完了させることに固執した。
ペンス副大統領は、次のように述べた。「本日は、合衆国連邦議事堂の歴史における暗い1日であった。しかしながら、連邦議事堂警察、連邦、州そして地方の法執行機関の取り組みによって、暴動は鎮まった。連邦議事堂の安全は確保され、国民のための仕事は継続している。本日、我々の連邦議事堂で大惨事を引き起こした者たちよ、君たちは、勝利しなかった。」そして、ペンス副大統領は、次のように続けた。:
「暴力は、決して勝利しない。自由が、勝利する。そして、ここは依然として国民の議事堂である。我々がこの議場で会議を再開するに当たり、世界は、この議事堂における前代未聞の暴力と破壊行為の後においてさえも、我が国の民主主義の回復力と力強さと、合衆国の国民の選挙で選ばれた議員たちが合衆国憲法を維持し、擁護するためにその同じ日に再び集まったことを目撃した。」
「仕事を再開しましょう。」と、ペンス副大統領は、締めくくった。
連邦議事堂で拡げられた暴力にもかかわらず、イーストマンは、さらなる遅れを扇動し続けた。 1月6日午後11時44分、イーストマンは、グレッグ・ジェーコブにもう1通のEメールを送った。ショッキングなほどとんちんかんな態度で、イーストマンは、2時間を超える討論を認めたことで、選挙人集計法がすでに破られたので、トランプ大統領とイーストマンが彼に行うように圧力を行使したことが同法に違反することを副大統領はもはや気にしていないと主張した。ジェーコブが指摘したように「もちろん、暴徒による数時間の介入によって、討論を2時間は完結することができなかった。」
イーストマンは、ペンス副大統領が「議会が彼らの調査を完了し、この選挙で起こった大量の違法な活動の全面的なフォレンシック監査(法廷で証拠として通用する証言・証拠の調査を行い監査)を可能とするために10日間の延期を行うべきである」と主張した。イーストマンは、これ(アメリカ民主主義の中心地である暴力的な襲撃に続き、不正選挙に関する真実のように見えるが実際には虚偽であり、誤りであることが証明された主張に全面的に基づいている、法的、歴史的前例や根拠のない選挙人票の認証と政権の平和な移行を遅らせること)を「比較的小さな違反」と説明した。
ペンス副大統領は、イーストマンのEメールを興奮して暴れる患者などを隔離・保護するための「ゴムの壁の部屋のようなもの」と描いていた。
5.5議事堂襲撃事件の直後
イーストマンは、ジョージアにおけるトランプ選挙対策本部のために訴訟について話し合うためにハーシュマンに電話をした。これは、ハーシュマンにイーストマンに対してもう一度非難する機会を与えた。「あなたは、正気なのか?」ハーシュマンは質問した。「私は、これ彼はあなたの口からふたつの言葉を聞きたいだけだ。秩序ある政権移行だ。」と、ハーシュマンは告げた。何かをガミガミ言った後、イーストマンは、「秩序ある政権移行」とハーシュマンの言葉を繰り返した。ハーシュマンは告げた。「では、あなたがあなたの人生の中でこれまで得たことのない最良の無償の法的助言をあなたに提供する。最良の刑事事件弁護士を探すことだ。あなたはそれが必要になる。」その数日後、イーストマンは、ジュリアーニにEメールを送り、彼がどれほど大きなトラブルに見舞われていたかをそれとなく認めた要求を行った。「私は、まだ間に合うなら、恩赦リストに掲載されるべきだと決心した。」
ペンス副大統領と彼のチームは、トラン大統領の容赦ないプレッシャーに決して屈しなかった。彼らは、1月6日を祈りの言葉で始めた。連邦議事堂に対する襲撃は、平和な政権移行を遅らせた。両院合同会議は、1月7日の早朝まで終わることはなかった。
その日の朝午前3時50分、ショートは、新約聖書「テモテへの手紙二」第4章 7節からの1文「私は、闘いを立派に闘い抜き、走るべき道のりを走り終え、信仰を守り通しました。」を携帯メールでペンス副大統領に送付した。
(第6章「連邦議事堂に集合しよう、荒れるだろう!」に続く。)